5.0
マティスの生涯とその全てをかけて探求し挑み続けた美の表現を辿ることの出来る展覧会でした。
今回の「マティス展」は、日本では約20年ぶりの大規模な回顧展だそうです。確かに2004年秋、国立西洋美術館で「マティス展」観ています。晩年描けなくなってから障害に負けずめげず、切り紙絵で自らの美の世界観を表現し続けた‥、なんとなく「琳派」にも通ずるような、その切り紙絵作品がとても好きで、特にまた、最期まで取り組んだロザリオ礼拝堂は、最高!!と思っていました。一方、その展覧会に行くまでの私は、マティスの絵は鮮やかな色彩は素敵なのですが、印象をちょちょっと線描きしてささっと色を付けた感じで、天才的なそのセンスは凄いとは思うけど、意図的かどうかは知らないけれど、塗り残しもかなり多くて、今一好きではない、などと言って友人に強烈ブーイングされ、少し強引に連れて行かれたのが、2004年の国立西洋の「マティス展」でした。その時初めて、一見簡単に描かれたように見える彼の作品も、実は長い熟慮と試行錯誤による賜物なのだということを知らされました。絵とはどのように生まれてくるものなのか、この決して簡単には答えることのできない問題とマティスは真剣に取り組んだ画家、として新しい認識をすることになりました。更に、彼はその苦悩のプロセスを、とても詳細に記録に残していて、塗り残しから「てきとう」「飽きっぽい」などというイメーイーを持っていた私は、その性格がとてもまじめで几帳面なところがあり、まるで研究者の様な視点で作品に向き合っていたということにも、とても驚かされました。それから後TVの特集番組やら書籍やらも、色々見ることになりました。今回はほぼ20年ぶりのマティスの大規模回顧展、初期から晩年まで、パリ、ポンピドゥー・センターから名品約150点で辿る展覧会と、開催前から注目度が高く、私も楽しみにしていました。で、今回の「マティス展」で驚かされたのは、彼が若い頃からとても沢山の彫刻作品、それもブロンズを制作していたことです。でも、素人目にはとても上手い作品とは言えないと思ってしまいました。それはそれとして、これも彼なりの美の表現の探求の一端だったようです。彼の苦悩や実験の様子が彫刻にはそのまま表れていました。中でも面白かったのは「背中」の連作でした。それから今回私がとても気に入ったのは、有名どころではありますが、「夢」と「ヴァンス室内画」連作です。そしてやはり最後のコーナ… Read More