FEATURE

2017年(下半期 7~12月)に開催スタートの
注目の展覧会を一挙ご紹介!(第1弾は、関東編)

「運慶展」「ボストン美術館の至宝展」「北斎とジャポニスム展」「安藤忠雄展」ほか

トピックス

フィンセント・ファン・ゴッホ《郵便配達人ジョゼフ・ルーラン》1888年(左)、《子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人》1889年(右)
フィンセント・ファン・ゴッホ《郵便配達人ジョゼフ・ルーラン》1888年(左)
《子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人》1889年(右)

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上半期に続いて、7月以降の12月までの下半期におすすめの展覧会、第1弾として主に東京で開催される8つの展覧会(関東編)をご紹介します。(第2弾では、6月に関西&全国編をご紹介予定です。)

ひとつ目に、平安時代から鎌倉時代にかけて、輝かしい彫刻の時代を牽引した天才仏師・運慶の展覧会「運慶展」。運慶と縁の深い興福寺の中金堂が約300年ぶりに再建されるのを記念して、東京国立博物館にて2017年9月26日(火)より開催。

国宝 大日如来坐像 安元2年(1176) 奈良・円成寺蔵 写真:飛鳥園
国宝 大日如来坐像 安元2年(1176) 奈良・円成寺蔵 写真:飛鳥園

現存最古、運慶20代の作といわれる 国宝「大日如来坐像」(奈良・円成寺蔵)、生命力がみなぎる国宝「八大童子立像」(和歌山・金剛峯寺蔵)、肖像彫刻の最高傑作である国宝「無著菩薩立像」「世親菩薩立像」(奈良・興福寺蔵)などの天才仏師・運慶の代表的な傑作が一堂に会する貴重な展覧会が今秋に開催されます。

2017年下半期 注目の展覧会 第1弾 関東編(1)
興福寺中金堂再建記念特別展 「運慶」
開催美術館:東京国立博物館
開催期間:2017年9月26日(火)~2017年11月26日(日)
(左)国宝 世親菩薩立像 (右)国宝 無著菩薩立像 建暦2年(1212)頃 奈良・興福寺蔵 写真:飛鳥園
(左)国宝 世親菩薩立像 (右)国宝 無著菩薩立像
建暦2年(1212)頃 奈良・興福寺蔵 写真:飛鳥園

平安から鎌倉時代に向かう新しい時代にふさわしい、写実的で力強い作風を生み出した運慶の代表作を初期から晩年まで、さらに父・康慶(こうけい)の作品や運慶の実子・湛慶(たんけい)、康弁(こうべん)ら親子3代に渡る作品が紹介されます。

運慶の兄弟弟子であった快慶の特別展 「快慶 日本人を魅了した仏のかたち」が、奈良国立博物館で開催されるのに続いて、運慶の大規模展覧会展の開催です。

2つ目は、古今東西の多岐に渡るジャンルから、目を見張るような逸品の数々が一堂に揃う、必見の展覧会「ボストン美術館の至宝展-東西の名品、珠玉のコレクション」展。東京都美術館で2017年7月20日(木)から。

フィンセント・ファン・ゴッホ《郵便配達人ジョゼフ・ルーラン》1888年(左)、《子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人》1889年(右)
フィンセント・ファン・ゴッホ《郵便配達人ジョゼフ・ルーラン》1888年(左)
《子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人》1889年(右)
2017年下半期 注目の展覧会 第1弾 関東編(2)
「ボストン美術館の至宝展 ― 東西の名品、珠玉のコレクション」
開催美術館:東京都美術館
開催期間:2017年7月20日(木)~2017年10月9日(月・祝)

約50万点の作品を所蔵する世界屈指の美の殿堂、ボストン美術館のコレクションによる展覧会は、これまでも度々開催がありましたが、今回の展覧会は、古今東西の多岐に渡るジャンルから、目を見張るような逸品の数々が一堂に揃う、必見の展覧会といえるのではないでしょうか。

クロード・モネ《睡蓮》1905年 89.5cm x 100.3cm 油彩、カンヴァス Gift of Edward Jackson Holmes, 39.804 Photograph © 2017 Museum of Fine Arts, Boston
クロード・モネ《睡蓮》1905年 89.5cm x 100.3cm 油彩、カンヴァス Gift of Edward Jackson Holmes, 39.804
Photograph © 2017 Museum of Fine Arts, Boston

古代エジプト美術から《ツタンカーメン王頭部》や、中国美術からは約10mに及ぶ長大な画面に描かれた南宋時代の画家 陳容の《九龍図巻》、フランス絵画からは、ファン・ゴッホにとってモデルとなってくれる数少ない友人であったルーランの夫妻の《郵便配達人 ジョゼフ・ルーラン》《子守唄、ゆりかごを揺らす オーギュスティーヌ・ルーラン夫人》が2点揃って日本へ。

そして、クロード・モネの《睡蓮》《ルーアン大聖堂、正面》やポール・セザンヌ《卓上の果物と水差し》なども。

また、アメリカからは、ジョージア・オキーフの《グレーの上のカラ・リリー》、エドワード・ホッパー《機関車》、ウィンスロー・ホーマー《海難》などの絵画や版画なども。そして、アンディ・ウォーホル《ジャッキー》や村上隆《If the Double Helix Wakes Up…》らの現代美術まで!

これだけ多岐に渡った様々な逸品がどのような競演を見せてくれるか!?楽しみな展覧会です。

3つ目は、天才浮世絵師・葛飾北斎の芸術と、日本の美術が西洋の芸術家たちを魅了した現象“ジャポニスム”を照らし合わせた試みによる「北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」展。2017年10月21日(土)より、国立西洋美術館にて開催。

葛飾北斎《冨嶽三十六景 東海道程ヶ谷》天保元-4年(1830-33)頃 横大判錦絵 ミネアポリス美術館 Minneapolis Institute of Art, Bequest of Richard P. Gale 74.1.237 Photo: Minneapolis Institute of Art
葛飾北斎《冨嶽三十六景 東海道程ヶ谷》天保元-4年(1830-33)頃
横大判錦絵 ミネアポリス美術館
Minneapolis Institute of Art, Bequest of Richard P. Gale 74.1.237
Photo: Minneapolis Institute of Art
2017年下半期 注目の展覧会 第1弾 関東編(3)
「北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」
開催美術館:国立西洋美術館
開催期間:2017年10月21日(土)~2018年1月28日(日)

19世紀後半の西洋において日本の美術は、新しい表現を求める多くの芸術家たちを魅了し、“ジャポニスム”という新しい現象を生みだしました。その中で、もっとも注目されたのが、印象派の画家をはじめ欧米の全域に影響を与え、西洋における新しい造形表現を生み出す原動力となった天才浮世絵師・葛飾北斎(1760-1849)による“北斎芸術”でした。

“北斎とジャポニスム”という観点から、西洋近代芸術の展開を編み直す、世界初の展覧会が開催されます。

葛飾北斎『北斎漫画』十一編(部分)刊年不詳 浦上蒼穹堂 エドガー・ドガ《踊り子たち、ピンクと緑》1894年 パステル、紙(ボード裏打)66×47cm 吉野石膏株式会社(山形美術館寄託)
(左)葛飾北斎『北斎漫画』十一編(部分)刊年不詳 浦上蒼穹堂
(右)エドガー・ドガ《踊り子たち、ピンクと緑》1894年 パステル、紙(ボード裏打)66×47cm 吉野石膏株式会社(山形美術館寄託)

国内外の美術館や個人コレクターが所蔵するモネ、ドガ、セザンヌ、ゴーガンをふくめた西洋の名作約200点と、北斎の錦絵約30点、版本約60点の計約90点(出品点数は予定、会期中展示替えあり)が、比較しながら展示されます。

西洋の芸術家たちが、どのように北斎芸術を見つめたか、この展覧会を通じて、新鮮な発見の数々が期待できるに違いありません。

4つ目は、元プロボクサー、独学で建築を学んだ異色の経歴で知られる建築家 安藤忠雄の挑戦の軌跡と未来への展望を紹介する「国立新美術館開館10周年 安藤忠雄展 ―挑戦―」。2017年9月27日(水)より開催。

プンタ・デラ・ドガーナ,2009年,ヴェニス/イタリア 撮影:© Palazzo Grassi SpA. Foto: ORCH, orsenigo_chemollo
プンタ・デラ・ドガーナ,2009年,ヴェニス/イタリア
撮影:© Palazzo Grassi SpA. Foto: ORCH, orsenigo_chemollo
2017年下半期 注目の展覧会 第1弾 関東編(4)
「国立新美術館開館10周年 安藤忠雄展 ―挑戦―」
開催美術館:国立新美術館
開催期間:2017年9月27日(水)~2017年12月18日(月)

1969年より「都市ゲリラ」として建築設計活動をスタートして以来、既成概念を打ち破るような斬新な建築作品を次々と世に送り出し、1990年代以降はその活躍の舞台を世界に広げ、アジア・ヨーロッパ・アメリカなど各国で、意欲的な作品を実現させてきた安藤忠雄。

1995年には、建築界のノーベル賞とも言われるプリツカー賞を受賞するなど華々しい活躍を続ける一方で、建築という枠組みを超えた環境再生や震災復興といった社会活動にも、果敢な取り組みを見せています。

直島 ベネッセハウス,1992/1995年,香川県直島町 (撮影:松岡満男)
直島 ベネッセハウス,1992/1995年,香川県直島町 (撮影:松岡満男)

この稀代の建築家が、いかに生きて、いかに創り、今またどこに向かおうとしているのか。その壮大な挑戦の軌跡と未来への展望を紹介する展覧会です。

安藤忠雄自身の手によってデザインされた空間に、模型やスケッチ、ドローイングなど、総計200点余りの設計資料が展示されます。

【アートアジェンダニュース|記者会見レポート】「命の限りに生きてやる」、エネルギッシュな生き様で歩み続ける安藤忠雄の“挑戦”、これまでの軌跡と未来への展望。「安藤忠雄展 ―挑戦―」が国立新美術館にて、2017年9月27日(水)より開催

5つ目は、金沢21世紀美術館の中庭に恒久設置された、泳げない人も水中を体験できる!?、不思議なからくりの作品《スイミング・プール》を手掛けた、アルゼンチン出身の芸術家「レアンドロ・エルリッヒ展(仮)」が、森美術館で2017年11月18日(土)より開催。

レアンドロ・エルリッヒ 《スイミング・プール》 2004年 コンクリート、ガラス、水 撮影:Ryo Suzuki 所蔵:金沢21世紀美術館 Copyright MORI ART MUSEUM All Rights Reserved.
レアンドロ・エルリッヒ 《スイミング・プール》 2004年 コンクリート、ガラス、水
撮影:Ryo Suzuki 所蔵:金沢21世紀美術館
Copyright MORI ART MUSEUM All Rights Reserved.
2017年下半期 注目の展覧会 第1弾 関東編(5)
「レアンドロ・エルリッヒ展(仮題)」
開催美術館:森美術館
開催期間:2017年11月18日(土)~2018年4月1日(日)

建築的なインスタレーションの空間に鑑賞者が入り、自らが作品の一部となって鑑賞を楽しむ作風で知られる、アルゼンチン出身の芸術家 レアンドロ・エルリッヒ。金沢21世紀美術館の中庭に恒久設置された《スイミング・プール》は、地上と地下を隔てる水面を通して、地上からは水中で動き回る人々が眺められ、地下からは水中から地上を仰ぎ見るような体験ができる作品です。

レアンドロ・エルリッヒ 《妻有の家》 2006年 写真、照明、金属、木材、鏡 展示風景:大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2006、新潟、2006年 Copyright MORI ART MUSEUM All Rights Reserved.
レアンドロ・エルリッヒ 《妻有の家》 2006年 写真、照明、金属、木材、鏡
展示風景:大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2006、新潟、2006年
Copyright MORI ART MUSEUM All Rights Reserved.

また、越後妻有アートトリエンナーレ2006で展示された「建物」シリーズは、鏡の効果を利用し、人々が建物の壁面にぶら下がっているような光景を作りだしています。エルリッヒは、このように視覚を中心に身体感覚に訴えるトリックを用いて、私たちが普段、当然だとして疑いもせず認識している現実の隙間に入り込み、驚きの体験を与えてくれます。

エルリッヒの24年にわたる活動の全容に迫る、東京における初の大規模個展です。

6つ目は、2期連続で太田記念美術館で2017年7月29日(土)から開催される、幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師 月岡芳年(つきおかよしとし)の特別展「月岡芳年 妖怪百物語」「月岡芳年 月百姿」です。

月岡芳年「新形三十六怪撰 源頼光土蜘蛛ヲ切ル図」(7/29~8/27)
月岡芳年「新形三十六怪撰 源頼光土蜘蛛ヲ切ル図」(7/29~8/27)
2017年上半期 注目の展覧会情報(6)
特別展「月岡芳年 妖怪百物語」
開催美術館:太田記念美術館
開催期間:2017年7月29日(土)~8月27日(日)

特別展「月岡芳年 月百姿」
開催美術館:太田記念美術館
開催期間:2017年9月1日(金)~9月24日(日)

谷崎潤一郎、芥川龍之介、三島由紀夫ら文豪からも愛された月岡芳年は、幕末から明治期に最も活躍した人気の浮世絵師でした。十代の頃には歌川国芳の門下に入り、15歳で処女作を発表するなど、才能にあふれて、若くして人気を博しました。

月岡芳年「つき乃百姿  大物海上月  弁慶」(9/1~9/24)
月岡芳年「つき乃百姿 大物海上月 弁慶」(9/1~9/24)

月岡芳年の幅広い画業の中でも特に評価が高い、「怪奇」と「幻想」をテーマに、2つの展覧会が開催されます。2017年7月29日(土)からの特別展「月岡芳年 妖怪百物語」では、画業の初期に手掛けた「和漢百物語」と、最晩年の「新形三十六怪撰」という二つの傑作シリーズを中心に、芳年の妖怪画が約100点紹介されます。

続く2017年9月1日(金)から開催の特別展「月岡芳年 月百姿」では、月にまつわる物語に登場する武将や美女、幽霊などを幻想的に描いた晩年の傑作「月百姿」全100点が展示されます。

あまりの人気の高まりに、多忙ゆえに神経を病んで、2度に渡り発狂してしまうという波乱の人生を歩んだ月岡芳年ですが、浮世絵の最後の時代に天賦の才を存分に発揮した月岡芳年の作品を存分に楽しめるこの機会、ぜひ堪能したいものです。

7つ目は、日本の建築史に名を刻む56組の錚々たる建築家たちの作品が、これまでにない規模で一挙に紹介される「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」展。東京国立近代美術館にて、2017年7月19日(水)より開催。

西沢立衛 森山邸(2005) © ホンマタカシ
西沢立衛 森山邸(2005) © ホンマタカシ
2017年下半期 注目の展覧会 第1弾 関東編(7)
「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」
開催美術館:東京国立近代美術館
開催期間:2017年7月19日(水)~2017年10月29日(日)

日本の建築家56組による75件の住宅建築を、模型、図面、写真、映像など400点を超える作品資料を通して、13のテーマに分類して展示。

2016 年11月に開催されたローマのMAXXI 国立21世紀美術館での展示風景 ©  シモーナ・フェラーリ 写真提供:アトリエ・ワン
2016 年11月に開催されたローマのMAXXI 国立21世紀美術館での展示風景
© シモーナ・フェラーリ 写真提供:アトリエ・ワン

出品される主な建築家は、青木淳、アトリエ・ワン、安藤忠雄、石山修武、伊東豊雄、乾久美子、岡啓輔、菊竹清訓、隈研吾、坂本一成、篠原一男、白井晟一、妹島和世、丹下健三、西沢立衛、長谷川逸子、長谷川豪、藤井博巳、藤本壮介、藤森照信、山本理顕、吉阪隆正、吉村順三、アントニン・レーモンドなど。

日本の住宅建築を成立させる条件が大きく変わった戦後に焦点をあてて、現在に至るまで、日本の建築史に名を刻む錚々たる建築家たちの作品が一挙に展示される貴重な機会です。

8つ目は、風景画の第一人者として世界的に活躍し、ダイアナ妃や精神医学者フロイトも魅了した画家 吉田博の回顧展「生誕140年 吉田博展」。東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館にて2017年7月8日(土)より開催。

《穂高山》 大正期 油彩 個人蔵
《穂高山》 大正期 油彩 個人蔵
2017年下半期 注目の展覧会 第1弾 関東編(8)
「生誕140年 吉田博展」
開催美術館:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
開催期間:2017年7月8日(土)~2017年8月27日(日)

水彩画、油彩画、木版画、いずれも個性が際立ち、色彩や構図の美しさ、叙情性、迫力があり、息を飲むような作品ばかりなのに驚かされます。

《瀬戸内海集 帆船 朝》 大正15(1926)年 木版 個人蔵(左)《日本アルプス十二題 劔山の朝》 大正15(1926)年 木版 個人蔵(右)
《瀬戸内海集 帆船 朝》 大正15(1926)年 木版 個人蔵(左)
《日本アルプス十二題 劔山の朝》 大正15(1926)年 木版 個人蔵(右)

昨年の6月に郡山市立美術館から始まり、久留米市美術館、上田市立美術館を巡回して、2017年7月8日(土)からが、巡回展最後、東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館での開催となります。

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