FEATURE

日本の真ん中、下呂ではじまる国際芸術祭
「下呂 Art Discovery 2026」9月開催

地域の魅力をアートの力で掘り起こす新たな国際芸術祭 下呂アートディスカバリーが、9月11日より開催

アートイベント

西澤利高《すべてに魂があって すべての魂はひとつだった》Photo by Osamu Nakamura 「下呂 Art Discovery」の前身となる、2024年秋開催のアートプロジェクト「南飛騨 Art Discovery」で制作・公開され、継続展示されている作品のひとつ
西澤利高《すべてに魂があって すべての魂はひとつだった》Photo by Osamu Nakamura 「下呂 Art Discovery」の前身となる、2024年秋開催のアートプロジェクト「南飛騨 Art Discovery」で制作・公開され、継続展示されている作品のひとつ

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文:森聖加

2026年秋、岐阜県下呂市が舞台となる新たな国際芸術祭が発表された。「下呂 Art Discovery 2026」は、日本三名泉のひとつ下呂温泉を擁する日本列島の“最深部”で、国内外40〜50組のアーティストが土地に深く入り込みながら作品を展示する。アートを通して、下呂という場所をいかにひらき、再発見していくのか――この秋、姿をあらわす。

岡﨑真理子による「下呂 Art Discovery 2026」のビジュアルデザイン
岡﨑真理子による「下呂 Art Discovery 2026」のビジュアルデザイン
アートフェス情報|岐阜県
下呂 Art Discovery 2026
開催地:岐阜県下呂市内 各所
会期:2026年9月11日(金)〜11月8日(日)※祝日を除く火曜休み
主催:下呂アートディスカバリー実行委員会

森と温泉 × アートの融合で目指す、日本の先進保養地

岐阜県は美濃と飛騨という性格の異なる文化圏がひとつになって形成され、日本列島の「おへそ」とも称される。古くから交通の要所として機能し、壬申の乱、承久の乱、関ヶ原の戦いなど、日本の行く末を左右する歴史的な出来事の舞台となってきた。その岐阜県の、美濃と飛騨の境界に位置するのが下呂市だ。無色透明の滑らかな湯で知られる下呂温泉は下呂市の観光を支える中核として、長く人々を魅了してきた。日本有数の温泉観光地には現在も年間約190万人が訪れる。市域の約9割を森林が占める自然豊かな土地であるが、一方で、日本の他の地方都市と同様に人口減少や高齢化といった社会課題にも直面している。

西澤利高《すべてに魂があって すべての魂はひとつだった》Photo by Osamu Nakamura
西澤利高《すべてに魂があって すべての魂はひとつだった》Photo by Osamu Nakamura

こうした状況のなか、岐阜県は2024年に国民文化祭を開催し、一事業として「南飛騨 Art Discovery」を展開した。その取り組みをさらに深化させる形でスタートするのが「下呂 Art Discovery 2026」だ。総合ディレクターは、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」や「瀬戸内国際芸術祭」などを手掛けてきた北川フラム氏。温泉や自然といった下呂市のこれまでの観光資源にアートを重ねることで、ドイツのバーデンバーデンにも通じる文化と芸術をともに楽しむ先進的保養地を目指すという。

市内の3エリア、4会場を回りながら下呂の魅力を探訪

開催エリアは下呂市内の3つのエリア、4会場となる。〈萩原エリア〉は古くは飛騨街道の宿場町として栄えた場所。「南飛騨 Art Discovery」で会場となった南飛騨健康増進センターと、酒造や肉や和菓子屋などの店舗が並び、地元の新鮮野菜&特産品が集まる天領朝市が立つ萩原商店街の2会場からなる。〈小坂エリア〉は御嶽山の西に広がる、日本一滝の多いまちとして知られる場所で旧湯屋小学校が舞台だ。〈下呂エリア〉は下呂温泉街内の空き店舗や合掌造りの観光施設の屋外で作品を展示する。

下呂エリアで展開予定の台湾出身、トゥ・ウェイチェン[徐維政]作品イメージ
下呂エリアで展開予定の台湾出身、トゥ・ウェイチェン[徐維政]作品イメージ

アーティストは、11の国と地域から40~50組の参加を予定。岐阜県出身アーティストと、初めて地域を訪れたアーティストがその邂逅から生み出す作品に期待が高まる。萩原エリアの南飛騨健康増進センターでの注目は、EAT & ART TAROによる食プロジェクト。下呂一帯は高評価のブランド米が生産されている日本有数の産地。また、清流に育まれる鮎や新鮮野菜を絶賛する北川氏のたっての希望で、「健康」をテーマにした食プロジェクトが予定されている。

ムニール・ファトミ 作品イメージ
ムニール・ファトミ 作品イメージ

海外アーティストでは、バルト三国のリトアニア出身のスタシス・エイドリゲヴィチウスがやってくる。萩原の諏訪神社に伝わる蛇の伝説を参照しつつ、象徴的な彫刻作品を神社に展開予定だ。フランスを拠点とするムニール・ファトミは萩原商店街の旧理容店とそのオーナーが住んでいた住居スペースを用いたインスタレーションを目論む。

地域のコミュニケーションのハブとしての[みんなの学校]プロジェクト

これまで北川氏が率いてきた芸術祭では、廃校となった小・中学校が会場となることが少なくない。実際、全国では毎年平均約450校もの学校が廃校になっているという。「下呂 Art Discovery 2026」では、2012年に閉校となり、やがて取り壊される旧湯屋小学校を舞台にして、多くの人の心のなかにある学校をよみがえらせ、夢の学校をつくるアートプロジェクト[みんなの学校]を実施する。

「みんなの学校」会場となる旧湯屋小学校。1954年建造の築70年の木造校舎は総檜造り。御嶽山の恩恵と、森林率98%を誇り、街の主要産業だった林業を象徴して建てられた
「みんなの学校」会場となる旧湯屋小学校。1954年建造の築70年の木造校舎は総檜造り。
御嶽山の恩恵と、森林率98%を誇り、街の主要産業だった林業を象徴して建てられた

公募には約250もの作品プランの応募があり、そこから選び抜かれたアーティスト、団体が参加する予定だ。授業、給食、休み時間といった日常生活、入学式、運動会、修学旅行などの学校行事などといったプランに沿いながら、これまでにない学校での学び、遊び、冒険が展開されることだろう。

会場間の移動には周遊バスが運行される。森に囲まれた環境でアートと温泉にひたって心身を解放する。土地を歩き、人と出会い、湯に浸かりながら思考をほどく体験を楽しみたい。

アートフェス情報|岐阜県
下呂 Art Discovery 2026
開催地:岐阜県下呂市内 各所
会期:2026年9月11日(金)〜11月8日(日)※祝日を除く火曜休み
主催:下呂アートディスカバリー実行委員会

Instagram: @gero_art_discovery
X: @gero_art_dscv

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