5.0
自分の中の日本美術の価値観が、大きく変わりました。何時かこんな展覧会、観たいです。
第4期の「やまと絵展」、12月1日、滑り込みで行って来ました。例によって感想が遅く、ごめんなさい。もともと誰の役にも立たないチンプな感想なので、まあお許しください、勝手につぶやかせていただきます。
出品の多くが展示替えされて、同じ作品でも場面替えや巻き替えした作品が複数あり、1期とはまた違う、魅力迫力、ユーモアも満点の第4期、楽しませて頂きました。1期の時とほぼ同じ金曜午前ながら、人の出ははるかに少なく、ある程度混雑する場所はありましたが、とても観易く、前回観た部分は端折ってぐんぐん進みつつ、観たいものはじっくり、楽しむことが出来ました。
第4期の目玉は何といっても謎に包まれた金剛寺の、国宝《日月四季山水図屏風》(室町時代/作者不明)ですね。伝法灌頂の儀式に用いられていたという、六曲一双の大きな屏風です。1989年、トーハクで開かれた特別展「室町時代の屏風絵」で注目され、つい最近、2018年に国宝に指定された、国宝ニューフェイスです。「日本人が自然の中に、どれほど多くのものを見、多くのことを学んだか、無言の中に語るように見える」と白洲雅子に言わしめた作品。他の室町時代の国宝絵画はほぼ水墨画で、作者も来歴も完璧なのに対し、全てが謎のまま、絵の魅力だけで国宝に指定されたという、破格の名画です。更に通常、日本の絵は、右から左へと季節も時間も流れますが、この屏風では、右から春、夏、冬、秋になっています。これは、屏風を立体にして、波が描かれたあたりに自分が立ったらと考えると分かるそうなのですが、陰陽五行では、東に春、南に夏、西に秋、北に冬があたるので、この屏風はその配置となっているというのです。また、春と夏の間に金の太陽、冬と秋の間に銀の月が描かれて、一日の循環、一年の循環を感じることが出来る仕組みなのだそうです。これを使って行われる密教儀式を思った時、一瞬ですが、ゾワッとしました。それはさておき絵自体の魅力です。ダイナミックにうねる様に描かれた山海、不思議と神々しささえ感じ、観ているこちらにも自然の活力が移ってくるような感じがします。また、今観ても十分鮮やかな色彩で四季の風景を表しているように見えますが、実はデジタル復元の結果では、もっと鮮やかな緑と白の山、箔をふんだんに使って描いた輝く銀の大海に金の天空、そこに華やかな金泥銀泥で浮かび上がる太陽… Read More