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2023年下半期に開催スタートの注目の
展覧会を一挙ご紹介!(第2弾 関西&全国版)

「決定版! 女性画家たちの大阪」「京都画壇の青春―栖鳳、松園につづく新世代たち」「福田美蘭―美術って、なに?」
「皇室と石川 ―麗しき美の煌めき―」「特別展 東福寺」「宮永愛子展」「みちのく いとしい仏たち」ほか

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アートアジェンダがお薦めする、2023年の下半期(7~12月)に始まる注目の展覧会、第1弾の東京&関東編 に続き、第2弾 関西&全国版のおすすめ展覧会のご紹介です。

今期は、日本画をテーマにした展覧会が多く見られ、「竹内栖鳳 破壊と創生のエネルギー」(京都市京セラ美術館)、「京都画壇の青春―栖鳳、松園につづく新世代たち」(京都国立近代美術館)、「皇室と石川 ―麗しき美の煌めき―」(石川県立美術館)などのほか、特に前期に引き続き大阪の日本画をテーマとしながらさらに女性日本画家を取り上げた展覧会「決定版! 女性画家たちの大阪」(大阪中之島美術館)も、注目したい展覧会です。現代美術家では、それぞれ個展開催となる「福田美蘭―美術って、なに?」「宮永愛子展」なども見逃せません。

今回は、関西&全国の美術館・博物館から、全13の展覧会をご紹介しています。アートアジェンダ展覧会情報 も合わせてご参考にしていただいて、今年もたくさんの美術館・展覧会をお楽しみください。

明治末から昭和初期を近代京都画壇の青春時代ととらえ、土田麦僊を中心に据え、小野竹喬、榊原紫峰、岡本神草などの代表作約80点を4章立てで紹介

土田麦僊 《舞妓林泉》 1924年 東京国立近代美術館
土田麦僊 《舞妓林泉》 1924年 東京国立近代美術館
2023年下半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関西版&全国版(1)
開館60周年記念 京都画壇の青春―栖鳳、松園につづく新世代たち
開催美術館:京都国立近代美術館
開催期間:2023年10月13日(金)~12月10日(日)

京都の明治以降の美術界の歴史は、東京や西欧との対峙の歴史と言っても過言ではありません。その中でも特に明治末から昭和初期を近代京都画壇の青春時代ととらえ、土田麦僊(1887~1936)を中心に据え、小野竹喬、榊原紫峰、岡本神草などの代表作約80点を4章に分けて展示します。

まさに青春時代と重なった画家だけでなく、上村松園、菊池契月、木島桜谷といった先輩作家達や師匠の竹内栖鳳も含んで一丸となり、東京、西欧、そして京都の伝統に挑んだ彼らの、青春時代特有の過剰さと繊細さとをあわせもつ、完成期とはまた異なる魅力を放つ作品群を堪能できる展覧会です。

古今東西の名画に福田美蘭ならではのユニークな視点で向き合った作品から、国内外の時事問題をテーマに鋭い視点で切り込んだ作品までを展観

福田美蘭《ゼレンスキー大統領》2022 年、アクリル・パネル、練馬区立美術館蔵
福田美蘭《ゼレンスキー大統領》2022 年、アクリル・パネル、練馬区立美術館蔵
2023年下半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関西版&全国版(2)
「開館35周年記念 福田美蘭―美術って、なに?」
開催美術館:名古屋市美術館
開催期間:2023年9月23日(土・祝)~11月19日(日)

福田美蘭(1963-)は、東京藝術大学大学院を修了後、具象絵画の登竜門といわれた安井賞を最年少で受賞し、国内外で活躍を続ける現代美術家です。現代社会が抱える問題に鋭く切り込み、ときにユーモアを添えて絵画化して見せたり、意識して「もの」を見ることを促したり、東西の美術、日本の伝統、文化を、意表を突くような手法であらわしたりして、私たちの既成概念を打ち破ってきました。そして現在も、絵画の新たな可能性に挑み続けています。

本展では、1980年代の初期から近年までの作品を、作家を紹介する序章および3章の計4章で構成します。古今東西の名画に福田ならではのユニークな視点で向き合った作品から、国内外の時事問題をテーマに鋭い視点で切り込んだ作品まで、約50点で福田美蘭の世界観を紹介します。本展のために新たに制作された、現在の世界情勢を映した新作も公開予定です。

南山城とその周辺地域の寺社に伝わる仏像や神像を中心に、絵画や典籍・古文書、考古遺品などを展観し、南山城地域に花開いた仏教文化の様相を探る

国宝 阿弥陀如来坐像(9軀のうち その1) 平安時代(12世紀) 京都・浄瑠璃寺[木津川市]
国宝 阿弥陀如来坐像(9軀のうち その1) 平安時代(12世紀) 京都・浄瑠璃寺[木津川市]
2023年下半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関西版&全国版(3)
浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念
特別展「聖地 南山城-奈良と京都を結ぶ祈りの至宝-」
開催美術館:奈良国立博物館
開催期間:2023年7月8日(土)~9月3日(日)

京都府の最南部、奈良市に隣接する地域は旧国名の山城国にちなんで、いま「南山城(みなみやましろ)」と呼ばれています。仏教の伝来後、7世紀にはこの地域でも寺院の建立がはじまりました。

聖武天皇の恭仁京(くにきょう)造営によって、南山城は歴史の表舞台に登場します。木津川への架橋や寺院の建立などに行基(ぎょうき)の活躍がありました。平城京から平安京への遷都以降も南山城は新旧両都をつなぐ回廊的な役割を果たす地域として、重要性を増すことになります。東大寺や興福寺といった奈良の大寺との深い関わりのなかで寺院があいついで建立され、また木津川流域の山々は俗世を離れた聖地として山岳修験の拠点とされました。

浄瑠璃寺九体阿弥陀像(じょうるりじくたいあみだぞう)の修理完成を記念して開催する本展では、南山城とその周辺地域の寺社に伝わる仏像や神像を中心に、絵画や典籍・古文書、考古遺品などを一堂に展観します。

絵本作家谷口智則の『100にんのサンタクロース』『サルくんとお月さま』など新作を含む約20タイトルの絵本から原画を中心に約250点の作品を紹介

「いろがうまれるものがたり」2023年 ©TOMONORI TANIGUCHI
「いろがうまれるものがたり」2023年 ©TOMONORI TANIGUCHI
2023年下半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関西版&全国版(4)
「絵本作家 谷口智則展~いろがうまれるものがたり~」
開催美術館:美術館「えき」KYOTO
開催期間:2023年8月5日(土)~9月3日(日)

「海外の絵本作家の展覧会を見て、たとえ言葉が通じなくても、世界中の子どもから大人までたくさんの人に、想いや感動を伝えられる絵本が作りたいと思った。」と語る大阪在住の絵本作家、谷口智則さん。

金沢美術工芸大学で日本画を専攻しながら、絵本作家になる夢を追い、独学で絵本作りをはじめます。黒い紙に6色のアクリル絵具で色深い独特な世界を描き、2004年『サルくんとお月さま』で絵本作家デビューを果たしました。サルくんが森に落ちて泣いているお月さまを、自分の得意な木登りで空に返して笑顔にしてあげたというストーリー。大人気の『100にんのサンタクロース』は、子どもの数だけサンタがいたら…世界中の全ての子どもたちのところにサンタが来るような世界になればという願いを込めた絵本です。

本展では、新作を含む約20タイトルの絵本から原画を中心にサンタの立体など約250点の作品を紹介します。

島成園、木谷千種、生田花朝など約百年前の大阪で活躍し、その存在が近代大阪の文化における大きな特色のひとつとなった女性日本画家たちを紹介

木谷千種「をんごく」大正7年(1918) 大阪中之島美術館
木谷千種「をんごく」大正7年(1918) 大阪中之島美術館
2023年下半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関西版&全国版(5)
「決定版! 女性画家たちの大阪」
開催美術館:大阪中之島美術館
開催期間:2023年12月23日(土)~2024年2月25日(日)

約百年前の大阪では多くの女性日本画家が活躍しました。大正元年(1912)に島成園(しませいえん)が20歳で文展に入選すると、その成功に触発された木谷千種(きたにちぐさ)や生田花朝(いくたかちょう)なども官展に入選を重ねます。

また、美人画や歴史風俗画に加えて、江戸時代から大阪に興隆した南画(文人画)の分野においても、河邊青蘭(かわべせいらん)や融紅鸞(とおるこうらん)などが実力を発揮しました。成功を収めた女性画家は、自らの画業を追求するにとどまらず、後進の女性を育成するため画塾を開きます。門下生たちも師に続いて公募展や塾展に挑み、大阪の女性画家の裾野はさらに広がりました。

当時の美術界は、東京と京都がその中枢を担い、制作者は男性が大多数を占めていましたが、女性日本画家の活躍において大阪は他都市と肩を並べており、その存在は近代大阪の文化における大きな特色のひとつとなりました。

本展では、「島成園と浪華の女性画家」展(2006年)の開催を端緒とする調査研究に、近年の新たな成果を加えて、全国的にも注目を集めた50名を超える近代大阪の女性日本画家の活動を約150点の作品と関連資料で紹介します。

尚、大阪中之島美術館では、10月から「テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ」も開催されます。東京からの巡回となるこちらの展覧会もお見逃しなく。

みちのくの厳しい風土の中、人々の暮らしにそっと寄り添ってきた、やさしく、いとしい仏たちの、魅力あふれる約130点の仏像・神像を紹介

山神像 江戸時代 兄川山神社(岩手県八幡平市) 撮影 須藤弘敏
山神像 江戸時代 兄川山神社(岩手県八幡平市) 撮影 須藤弘敏
2023年下半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関西版&全国版(6)
秋季特別展「みちのく いとしい仏たち」
開催美術館:龍谷大学 龍谷ミュージアム
開催期間:2023年9月16日(土)~2023年11月19日(日)

江戸時代、全国の寺院では、上方や江戸で造られた金色に輝く立派な仏像が、ご本尊として安置されました。一方、小さなお堂や祠、民家の仏壇や神棚などには、その土地の大工さんやお坊さんたちの手による、素朴でユニークな仏像・神像がまつられ、人々に大切に護られてきました。

この展覧会では、青森・岩手・秋田の3県に伝わった約130点の仏像・神像を紹介します。みちのくの厳しい風土の中、人々の暮らしにそっと寄り添ってきた、やさしく、いとしい仏たちの、魅力あふれる造形をご覧ください。

画壇の重鎮として、第一線で活躍しながら多くの弟子を育成したことでも知られる竹内栖鳳。画壇をリードした栖鳳の奮闘を振り返る大規模回顧展

重要文化財 竹内栖鳳《絵になる最初》1913年 京都市美術館蔵 後期展示
重要文化財 竹内栖鳳《絵になる最初》1913年 京都市美術館蔵 後期展示
2023年下半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関西版&全国版(7)
京都市美術館開館90周年記念展 竹内栖鳳 破壊と創生のエネルギー
開催美術館:京都市京セラ美術館
開催期間:2023年10月7日(土)~12月3日(日)

竹内栖鳳は、近代京都の日本画界に最も大きな影響を与えた画家です。画壇革新を目指した明治期には、旧習を脱却した新たな日本画表現を模索し、西洋にも渡りました。技術が円熟に達した大正・昭和期には、画壇の重鎮として、第一線で活躍しながら多くの弟子を育成したことでも知られています。「写生」を重要視しながら、抜群の筆力で生き生きとした作品を生み出し、圧倒的な求心力で画壇をリードして、近代京都日本画の礎を作りました。

栖鳳の挑戦をより明らかにするため、本画に加え、制作にまつわる写生や下絵、古画の模写など、様々な資料もあわせて紹介します。栖鳳の奮闘を余すところなく振り返る、大規模回顧展です。

古代ローマのテルマエとともに、日本の浴場文化を紹介。ヤマザキマリ氏による漫画『テルマエ・ロマエ』の主人公ルシウスが本展の案内人に。

《アポロとニンフへの奉納浮彫》 イスキア島ニトローディの温泉出土 ナポリ国立考古学博物館蔵
Photo © Luciano and Marco Pedicini
《アポロとニンフへの奉納浮彫》 イスキア島ニトローディの温泉出土 ナポリ国立考古学博物館蔵
Photo © Luciano and Marco Pedicini
2023年下半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関西版&全国版(8)
テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本
開催美術館:山梨県立美術館
開催期間:2023年9月9日(土)~2023年11月5日(日)

人類史上に輝く繁栄を誇った古代ローマ。なかでも日本人が深い関心をよせるものの一つがテルマエ(公共浴場)であり、ヤマザキマリ氏による漫画『テルマエ・ロマエ』はテルマエへの親近感をより一層高めました。

本展では、同漫画の主人公ルシウスが案内人となり、古代ローマのテルマエとともに、日本の浴場文化も紹介します。ルシウスが浴場をとおして日本と古代ローマを往復したように、それぞれの浴場文化を体感することのできる機会となるでしょう。

東福寺の草創以来の歴史をたどりつつ、大陸との交流を通して花開いた禅宗文化の全容を幅広く紹介。東福寺の日本文化における意義と魅力に迫る

重要文化財 達磨・蝦蟇鉄拐図 吉山明兆筆 室町時代・15世紀 京都・東福寺蔵
※展示期間:11月7日(火)〜12月3日(日)
重要文化財 達磨・蝦蟇鉄拐図 吉山明兆筆 室町時代・15世紀 京都・東福寺蔵
※展示期間:11月7日(火)〜12月3日(日)
2023年下半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関西版&全国版(9)
特別展「東福寺」
開催美術館:京都国立博物館
開催期間:2023年10月7日(土)~12月3日(日)

新緑や紅葉の名所として知られる大本山東福寺とその塔頭には、中国伝来の文物をはじめ、建造物や彫刻・絵画・書跡など禅宗文化を物語る多くの特色ある貴重な文化財が伝えられ、国宝や重要文化財に指定されるものは105件に及びます。

東福寺の寺宝をまとめて紹介する初の機会となる本展では、「画聖」とも崇められた絵仏師・明兆(みんちょう)による畢生の大作「五百羅漢図」の現存する全47幅を修理後初公開するとともに、巨大伽藍にふさわしい特大サイズの仏像や書画類の優品も一堂に展観します(※会期中展示替があります)。

アメリカ近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライトの代表作「帝国ホテル二代目本館」完成から100年、日本で約26年ぶりとなる本格的な回顧展の開催

フランク・ロイド・ライト《アヴェリー・クーンレイ・プレイハウスの窓ガラス》 1912年頃 豊田市美術館蔵
フランク・ロイド・ライト《アヴェリー・クーンレイ・プレイハウスの窓ガラス》 1912年頃 豊田市美術館蔵
2023年下半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関西版&全国版(10)
「帝国ホテル二代目本館100周年 フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」
開催美術館:豊田市美術館
開催期間:2023年10月21日(土)~12月24日(日)

アメリカ近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライト(1867-1959)。「落水荘(カウフマン邸)」や「グッゲンハイム美術館」で知られるライトは、「帝国ホテル二代目本館」や「自由学園明日館」「山邑太郎左衛門邸(現ヨドコウ迎賓館)」を手がけ、また熱烈な浮世絵愛好家としての顔も持つ、日本とゆかりの深い建築家でもあります。

2012年には5万点以上におよぶ図面他資料がフランク・ロイド・ライト財団からニューヨーク近代美術館とコロンビア大学エイヴリー建築美術図書館に移管され、学術調査研究が進められてきました。その成果は、建築にはじまり、芸術、デザイン、著述、造園、教育、技術革新、都市計画に至るライトの広範な視野と知性を浮き彫りにしています。

代表作「帝国ホテル二代目本館」完成から100年となる本年、エイヴリー建築美術図書館の全面的な協力のもと、日本で約26年ぶりとなる本格的な回顧展を開催します。

伊藤若冲の代表作・国宝《動植綵絵》や、明治時代の金工の最高水準を示す海野勝珉《太平楽置物》など、優美で気品あふれる作品を紹介

国宝《動植綵絵 群鶏図》伊藤若冲 18世紀 三の丸尚蔵館収蔵/石川県立美術館で前期展示
国宝《動植綵絵 群鶏図》伊藤若冲 18世紀 三の丸尚蔵館収蔵/石川県立美術館で前期展示
2023年下半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関西版&全国版(11)
第38回国民文化祭 第23回全国障害者芸術・文化祭 いしかわ百万石文化祭 2023
「皇居三の丸尚蔵館収蔵品展 皇室と石川 ―麗しき美の煌めき―」
開催美術館:石川県立美術館
開催期間:2023年10月14日(土)~2023年11月26日(日)

石川県立美術館と国立工芸館は今秋、皇室ゆかりの美術工芸品などを収蔵・展示する皇居三の丸尚蔵館の収蔵品による展覧会を開催します。本展は、石川県で行われる「いしかわ百万石文化祭 2023」のメイン行事として開催するもので、三の丸尚蔵館の収蔵品のなかから石川ゆかりの作品と、名品の数々を厳選して紹介します。

まず石川ゆかりの作品では、旧加賀藩主前田家から皇室に献上された国宝《金沢本万葉集》*、八条宮智忠親王に嫁いだ前田利常の娘・富姫の婚礼調度と伝える狩野探幽《源氏物語図屏風》*、そして石川出身の近代工芸の名工である諏訪蘇山(初代)《青磁鳳雲文花瓶》**や松田権六《鷺蒔絵筥》**をはじめとする多彩な作品が並びます。

また収蔵の名品では、伊藤若冲の代表作・国宝《動植綵絵》*や、明治時代の金工の最高水準を示す海野勝珉《太平楽置物》**、そして皇太子(昭和天皇)の御成婚を祝して献上された《鳳凰菊文様蒔絵飾棚》**など、優美で気品あふれる作品を紹介します。

*は石川県立美術館で、 **は国立工芸館で展示予定。会期中、展示替えがあります。

監視システムの過剰や精密なテクノロジーのもたらす滑稽さや人間の深い孤独を感じさせる作品群で、現代アートにおける従来のテーマを捉えなおす

井田大介《誰が為に鐘は鳴る》2021 年 Courtesy of the artist.
井田大介《誰が為に鐘は鳴る》2021 年 Courtesy of the artist.
2023年下半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関西版&全国版(12)
「遠距離現在 Universal / Remote」
開催美術館:熊本市現代美術館
開催期間:2023年10月7日(土)~12月17日(日)

展覧会タイトル「遠距離現在」は、ソーシャル・ディスタンシングや非対面コミュニケーションといったコロナ禍社会の条件はもちろんのこと、資本と情報が世界規模で移動する今世紀の状況をふまえたものでもあります。展示予定作品の多くは 2020年以前のものですが、監視システムの過剰や精密なテクノロジーのもたらす滑稽さ、また人間の深い孤独を感じさせる作品群は、今の時代、あるいはこれからのポストコロナ時代の世界と真摯に向き合っているようにも見えます。

本展は、全世界(Pan-[全 ..., 汎 ... の意])の規模と、非対面の遠隔(Remote-)という二つの視点から、グローバル資本主義やデジタル化社会といった現代アートにおける従来のテーマを新たに捉えなおすものです。

「変わりながらあり続ける」をテーマに、ナフタリン、樹脂、ガラスの彫刻や塩、葉脈を用いたインスタレーション作品で注目を集める宮永愛子の個展

《くぼみに眠る海 −仔犬−》2022 ガラス、空気(東山窯の石膏型を使用)撮影:宮島径
©MIYANAGA Aiko, Courtesy of Mizuma Art Gallery
《くぼみに眠る海 −仔犬−》2022 ガラス、空気(東山窯の石膏型を使用)撮影:宮島径
©MIYANAGA Aiko, Courtesy of Mizuma Art Gallery<
2023年下半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関西版&全国版(13)
「宮永愛子展」
開催美術館:富山市ガラス美術館
開催期間:2023年11月3日(金・祝)~2024年1月28日(日)

「変わりながらあり続ける」をテーマとして、ナフタリン、樹脂、ガラスの彫刻や塩、葉脈を用いたインスタレーション作品で注目を集める美術家、宮永愛子。何気ない日常の出来事を宮永は丁寧に気づきとして掬い上げ、息を吞むような美しい作品へと昇華させます。

本展を機会に、ガラスとじっくりと向き合う時間を得た宮永は、人々を魅了するこの素材を「富山」でくまなくひもといた新作を発表します。作品に通底するじんわりとした温かさが染み渡り、皆様の心の霞が少しでも晴れわたることを願います。
(富山市ガラス美術館プレスリリースより引用)

2023年下半期の関西&全国版では、注目の13の展覧会をご紹介しました。第1弾 東京&関東版 と合わせて、ぜひ下半期もさまざまな展覧会をお楽しみください。

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