アート好きの好奇心を満たす、
軽井沢で満喫するとっておきの別荘体験
ホテルインディゴ軽井沢 | アート&旅 | HOTEL SELECTION VOL.06

都心からのアクセスもよく、浅間山や軽井沢高原をはじめ湖や滝、色とりどりの野鳥や栗鼠などの愛らしい動物たちにも出会える豊かな自然と文化が調和する軽井沢。美術館も多く、富裕層の別荘地としても知られるこの土地にちなんだストーリーを、アートやインテリア、サービスに反映した「ホテルインディゴ軽井沢」が、2022年2月にオープンした。従業員には、軽井沢周辺地域で生まれ育ったスタッフも多い。館内には、軽井沢にゆかりのある様々なアートも展示されており、無料のアートツアーも開催されるなど、アートファンの好奇心をくすぐるポイントが盛りだくさんだ。

軽井沢駅から南軽井沢の交差点を目指し、車を走らせること10分。周囲と調和する木材を基調としたデザインのホテルロビーが現れる。敷地面積19961.20㎡約からなるホテルインディゴ軽井沢は、ロビー棟、ダイニング棟、スパ棟、そして3つの客室棟の全6棟で構成されている。客室のある建物は、信濃川水系一級河川の矢ヶ崎川に面しており、すぐそばを流れる川のせせらぎも愉しめる。同ホテルの内装は、シンガポールのデザイン会社、アストンデザインが担当している。建築素材には、約80%を地元の木材である、長野県産唐松の伐採の時期を迎えた「間伐材」を使用することで環境にも配慮し、地域産業への貢献を目指しているという。
ロビーには、かがり火の灯った大きな暖炉

木材がふんだんに使われた温もりあふれるホテルのロビーラウンジは、窓が大きく取られ、心地よく光が差し込む開放感溢れる空間だ。足を踏み入れると、このホテルの象徴とも言える大きな暖炉が迎え入れてくれる。軽井沢の別荘文化の特徴の一つである暖炉を大胆に配置したロビーラウンジには、ほのかに甘い木の香りが心地よく広がっている。地元の薪が積まれたこの暖炉は、冬になると火が灯され、薪の香りと暖炉の炎のゆらめいた空間を楽しめる。

また、ロビーには代官山蔦屋書店のコンシェルジュの選書によるライフスタイルの本に加え、日本のモータースポーツ発祥の地とされる軽井沢にちなんで車のおもちゃが飾られている。暖炉を囲みながらの読書や、仕事も捗りそうな空間だ。
館内を彩るアート作品の数々

多くの芸術家にインスピレーションを与えてきた軽井沢らしく、ホテル内には至るところにアート作品が飾られている。ロビーラウンジのフロントには、タペストリー作家・佐伯和子氏による、染色した糸を用いたアート作品が展示されている。避暑シーズンの樹林に降り注ぐ陽光をテーマに染色したという。美しい緑のグラデーションを成した染色糸は、作家の目指した表現通り、木漏れ日を感じさせ、まるで自らも木漏れ日を浴びているような錯覚に陥る。上部にあしらわれた葉のシルエットの流れは、林を抜ける涼風を表現しているという。室内にいながら、爽やかな軽井沢の緑や陽光を身近に感じさせてくれる。

ロビー棟から客室棟へ移動すると、廊下にスペイン出身のイラストレーター、ルイス・メンド氏によるアートワークを発見。鮮やかな緑を背景に軽井沢の別荘を思わせる建物と風に揺れる木々が絵描かれており、ほっこりとした気分になる。イラストは館内に全部で20点あり、実際に軽井沢の街を歩く中で感じたインスピレーションから得た過去や現代の風景を、建物、ストリート、スポーツの3つのテーマを軸に、躍動感のあるポップなイラストで描いている。そのうち5点はポストカードとしてロビーで販売されているので、軽井沢の風景をお土産に持ち帰るのも良さそうだ。
軽井沢との繋がりを築くような滞在体験

客室は、統一感のあるインテリアや作品が並び、まるでアートコレクターの別荘に招かれたかのようなワクワク感とともに、長くステイしたくなる居心地の良さが魅力だ。壁に飾られているのは、オーストラリア出身で軽井沢在住の木版画家、テリー・マッケーナ氏による版画作品。白樺や森の中の池など、軽井沢の自然をイメージして手掛けられた作品が、旅の気分をさらに盛り上げてくれる。各部屋によって違う作品が展示されているそうなので、ぜひ再訪した際には、また異なる部屋での新たなアートとの出会いも楽しみたい。ほかにもブックシェルフや時計、など、細部にまで軽井沢の文化を感じられるしつらえが散りばめられていた。5タイプある部屋は全部で155室、広さは2種類のバリエーションがある。

軽井沢にアトリエを構えているテリー・マッケーナ氏は、ホテルから車で約5分ほどの場所で木版画教室を開いているそうなので、興味のある方はこちらもチェックしたい。
軽井沢木版画教室
住所:北佐久郡軽井沢町軽井沢東18-7
※要予約 https://mokuhanga-school.jp/
スパ棟に灯るランタンの明かり

スパ棟には、1階に炭酸泉露天風呂とサウナを備えた大浴場があり、2階には24時間オープンのフィットネスセンターがある。このフィットネスセンターにはアメリカとドイツの森林の再生可能木材を使用した木製のマシンが設置されている。これらの木製のマシンは、電源を使わず、水抵抗や自走式で駆動するもので、ここにも環境負荷への配慮がなされているというから驚きだ。このホテルの建築デザインのコンセプトが、フィットネスマシンにまで統一されているのはさすがのこだわりだ。

また、丸みのあるデザインが目を引くダイナミックな階段の下には、ランタンの照明が並んでいる。別荘地としての軽井沢を見出したとも言われているカナダ生まれの宣教師アレキサンダー・クロフト・ショー氏が軽井沢を訪れた際、ランタンで街を照らしたという逸話から、ホテル内にはランタンをイメージした間接照明がいたるところに点在している。

壁面にはニューヨークで活動するアーティスト、マーサ・タトル (Martha Tuttle) 氏による布と糸のアート作品が飾られている。ポスト・ミニマリズムを代表するアーティストとして知られ、ヴェネチア・ビエンナーレ、ドクメンタ、ミュンスター彫刻プロジェクトなどの国際展にも参加多数するリチャード・タトルを父に持つマーサ氏。素朴ながら手作業による温もりも感じられる作品は、軽井沢の澄んだ空気をイメージした光沢のあるシルク、浅間山の火山灰をイメージしたチャコールのほか、ウール、絹、麻、塗料など様々な素材をコラージュのように組み合わせている。小さなピースの中に軽井沢の⾃然の穏やかさとエネルギーを感じる作品となっている。
ご当地食材を薪火で調理した、こだわりのディナー

ホテル併設のレストラン、オールデイダイニング「KAGARIBI」では、軽井沢で採れた野菜や信州産ポークなど、シェフ自ら作り手を訪問して手に入れた地元の新鮮な食材を薪火で調理し、信州産ワインやオリジナルカクテルとともに堪能できる。ここでは、季節ごとにメニューが変わる「DINNER 5 COURSE SET(ディナー 5 コース セット)」などを堪能できる。

メニューは、「アスパラガスの薪グリル」や「信州酔いどれサーモンマリネのカルパッチョ」などの前菜にはじまり、初夏が旬の香り高いトリュフをふんだんにあしらった「フレッシュサマートリュフのタリオリーニ」、甘い地元軽井沢産とうもろこしを使い、ピザ窯で焼いた自家製の「とうもろこしとサマートリュフのピッツァ」、季節野菜のソースに薪の香りをまとったサーロインをのせた「牛サーロインのタリアータ 季節野菜とトリュフソース」など。

シェフの薪火による調理が、軽井沢をはじめとした信州産の素材の美味しさをよりいっそう引き立て、ここ軽井沢ならでの料理を堪能できる。ホテルのレストランだからといってかしこまりすぎず、スタッフ(同ホテルでは、「スタッフ」は「ネイバーフッドホスト」と呼ばれる)もフレンドリーで、仲間とシェアしながらわいわい食べたいラインナップだ。

温もりある木材とインテリアの色調はグリーン系でスタイリッシュに統一されており、レストランの奥には油彩の抽象画家である城下万奈氏が制作した、レジンと木材を使用したアート作品が飾られている。

輪切りにした木の空洞部分に、着彩したレジンを合わせたこの作品は、軽井沢の里山の樹木に、野鳥や小動物が暮らす樹洞が見られることにインスパイアされた作品。 輪切りの木口は歴史と文化を表し、洞に当たる部分のレジンは再生を表現している。爽やかなレジンのカラーが気分を明るくしてくれる作品だ。

オールデイダイニング「KAGARIBI」のあるダイニング棟の2Fには、プライベートダイニングがある。こちらには、金属造形作家の桐山征士氏が制作した、浅間山と可愛らしい野鳥を描いた作品が飾られている。

テープ状の薄い鉄板を曲げることによって、描写力豊かに描かれているのは、噴煙をあげる浅間山と、春から初夏のころ軽井沢に現われて繁殖し、秋に去っていくキビタキのほか、アカハラ、オオルリ、シジュウカラもなどをモデルとした野鳥たちだ。軽井沢は野鳥の宝庫として全国的にも名高く、日本三大探鳥地のうちの一つに数えられているそうだ。
アートと自然が見事に調和した、ホテルインディゴ軽井沢。盛夏の時期の避暑地としてはもちろん、冬時期も、暖炉の火を囲みながらの別荘体験もおすすめだ。古くから芸術家たちに愛されてきた、自然豊かなこの軽井沢で、都会とはひと味違う贅沢なひと時を過ごしてみてはいかがだろうか。

- アート&旅 | HOTEL SELECTION VOL.06
- ホテルインディゴ軽井沢 | Hotel Indigo Karuizawa
住所:長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉字屋敷添18-39
電話:0267-42-1100
アートツアー開催
同館では、ホテル館内のさまざまなクリエイターによるアートをめぐるアートツアーを開催。
所要時間は、約30分。料金は無料で随時開催 ※受付・お問い合わせはフロントデスクまで。
https://karuizawa.hotelindigo.com/