4.0
京都画壇の青春を観覧して
国立近代美術館60周年記念とあり、明治以降の名だたる日本画家の作品が一堂に集まり、見応えがありました。
特に上村松園の女性を描いた作品は吸い込まれる様な独特の雰囲気が有り素晴らしかったと思います。
土田麦僊の優しいトーン、榊原紫峰の強さと繊細な筆使いは感動ものでした。
中々見られないこの展覧会に出会えて幸せでした。
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京都の明治以降の美術界の歴史は、東京や西欧との対峙の歴史と言っても過言ではありません。
開館60周年を記念して開催する今展では、その中でも特に明治末~昭和初期を近代京都画壇の青春時代ととらえ、土田麦僊(1887~1936)を中心に据え、小野竹喬、榊原紫峰、岡本神草などの代表作約80点を4章に分けて展示します。
まさに青春時代と重なった画家だけでなく、上村松園、菊池契月、木島桜谷といった先輩作家達や師匠の竹内栖鳳も含んで一丸となり、東京、西欧、そして京都の伝統に挑んだ彼らの、青春時代特有の過剰さと繊細さとをあわせもつ、完成期とはまた異なる魅力を放つ作品群を堪能できる展覧会です。
会期 |
2023年10月13日(金)~2023年12月10日(日)
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会場 | 京都国立近代美術館 Google Map |
住所 | 京都府京都市左京区岡崎円勝寺町26-1 |
時間 |
10:00~18:00
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休館日 | 月曜日 |
観覧料 | 一般 1,700円(1,500円) 大学生 1,100円(900円) 高校生 600円(400円)
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TEL | 075-761-4111(代表) |
URL | https://kyotogadan2023.exh.jp/ |
4.0
国立近代美術館60周年記念とあり、明治以降の名だたる日本画家の作品が一堂に集まり、見応えがありました。
特に上村松園の女性を描いた作品は吸い込まれる様な独特の雰囲気が有り素晴らしかったと思います。
土田麦僊の優しいトーン、榊原紫峰の強さと繊細な筆使いは感動ものでした。
中々見られないこの展覧会に出会えて幸せでした。
5.0
蘆雪展と並んで今回の関西遠征の目的としていた展覧会だったんですが、期待を裏切りませんねー!
昨夏、京セラで開催した「綺羅めく京の明治美術展」を見てから、関西の画家に興味を持つようになりました。今回は京セラで竹内栖鳳展を見てからの本展という流れでの鑑賞です。
気になった作品だらけだったので、一部の寸評を披露します。
まず、知っていた作品とは違う作風で驚いたのは土田麦僊と菊池契月。二人とも「どこを見ているかわからない目をした女」を描く画家だと思っていたので、認識をひっくり返されました。
土田麦僊の「罰」は見た瞬間に「ノーマン・ロックウェルだ!」と思いました。三人三様の罰の受け取り方を描き分けていて、三人とも可愛らしい!この路線で版画を売っていたら、財産を築いてたかも(笑)
菊池契月の「名士弔葬」は全員が美しくて、どこか異世界のような雰囲気。場面の寂しさや哀しさよりも静けさを感じる作品。
千種掃雲の「海女」はキツイ仕事なのに朗らかな日常が描かれていて、見ていると豊かな気持ちになってきます。
秦テルヲの「女郎」は見ているとゾワゾワしてくるし、橋本関雪と甲斐荘楠音の作品は別の展覧会で見ていたので「また会えましたね」でした。
中でも一番気になったのは、谷角日沙春の「淡日さす窓と女」。画家も作品も初めて知ったんですが、輪郭線にシビれました!輪郭線を描いているはずなのに、靄がかかったような技法のせいか線が見えないんですよ。これは言葉では伝わらないので是非見てほしい!
回顧展でもない限り、どうしても代表作を見る・見せられる機会が多くなるので、本展のコンセプトは秀逸だったと思います。限られた地域と時間の中から、こんなにも感性の違う画家がボコボコ出てくるなんて、すごい世代ですね。
作品リスト代わりの小冊子は良いアイデアだと思います。小さくても画像が載っているので、後から記憶を辿りやすいし、追加情報も検索しやすい。お手頃価格なのもうれしい!もっとも、図録があったらそちらも買っていたと思います(笑)
岡本神草の過去図録が半額で入手できたのもラッキー!
京近の開館60周年記念展のテーマは王道の「京都画壇」だ。
ただそれを普通にやっちゃ面白くないってことで、ひとひねり加えて「青春」と縛りをかけた。さらに続けて「栖鳳、松園につづく新世代たち」とあるのも、蛇足どころか功を奏してる。…readmore
5.0
「京都画壇の青春」というタイトルの意味を実際に展覧会に来て、キャプションに制作年とともに作者の年齢も書かれていて、京都画壇の若いときの絵を集めた展覧会であることがわかりました。
そう理解してから見ると、年齢とともに変化する様式、自分が知っているスタイルと違う感じが新しい発見となりました。
特に、土田麦僊が24歳のときの「髪」、25歳のときの「島の女」、画風が全く違いこの一年の間に何があったのか知識がなくわかりませんが、でも確実に何かがあったと思わせる全く違う画風でした。
同じく、秦テルヲが24歳のときの「黄昏」「工事場」から26歳の「女郎(花骨牌)」も全く画風が異なり、秦の場合は、サインも異なることから心境の変化は確実と思われました。両者は同い年で、画風の変化は、明治から大正に変わる時代の変化の表れかもしれません。
今回の展覧会で初めて知った榊原紫峰の存在ですが、「白梅」という作品が雪の表現等とても綺麗で左隻右隻の対比がみごとで、一番心を動かした作品となりました。
ミュージアムショップで「白梅」のポストカードがあればマストでしたが、個人蔵ということでやはりありませんでした、残念。その他で、「白梅」の載っているものがないか探していたら、今回は図録を小冊子として安価で提供されていた中に小さく載っていましたので、思わず購入、かっちりした図録とともに、こういう小冊子もあってもいいなと、こういう取り組みを大変評価したいと思いました。
4.0
西欧や東京に対してコンプレックスを抱えながら表現を模索していたという明治以降の京都画壇。作家たちの思考錯誤とその成果としての「日本画」から京都の美術界を眺めることができておもしろい。
ただ日本美術に疎い私には、京都画壇の歴史を概観するだけでは何が京都の特異性なのかを認識することは難しかった。しかし、日本画がもはや「伝統美」のようなもののみで成り立っているのではなく、柔軟な美学を育む場でもあるということがわかっただけでも、本展は実りある鑑賞体験になった。中心に据えられた土田麦僊の画風の変遷はとくにそのことを感じさせるが、ほかの作家たちの多様な表現からもまた日本画の常識を問う姿勢とその表現的な可能性の発露が窺い知れる。
本展には作品の詳しい解説がなく、冊子体の図録にも章解説しか掲載されていない。作品の鑑賞ポイントや背景などについては、音声ガイドの内容が充実していたので気になる方は試してみてもいいかもしれない。
明治末から昭和初期の京都画壇の動向を若き画家たち(後には京都画壇を代表する画家たち)の作品を通して探る展覧会かと。東京へ都が遷り、天皇も公家も御用商人までが東京に行ってしまい、京都は一気に廃れ、追い打ちをかけるように西洋文化…readmore
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