省筆と色面で一瞬を写し撮る
京都市美術館開館90周年記念で選ばれた画家は、竹内栖鳳と村上隆です。
竹内栖鳳展ってわりと最近京市美でやっていたような記憶がありました。東京近美からの巡回で京都市美で竹内栖鳳展を開催したのは2013年でもう10年も前になるのですね…readmore
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京都市美術館の開館90周年を記念して開催する展覧会です。竹内栖鳳は、近代京都の日本画界に最も大きな影響を与えた画家です。画壇革新を目指した明治期には、旧習を脱却した新たな日本画表現を模索し、西洋にも渡りました。技術が円熟に達した大正・昭和期には、画壇の重鎮として、第一線で活躍しながら多くの弟子を育成したことでも知られています。「写生」を重要視しながら、抜群の筆力で生き生きとした作品を生み出し、圧倒的な求心力で画壇をリードして、近代京都日本画の礎を作りました。
本展では、同館が所蔵する重要文化財《絵になる最初》をはじめ、若手時代から円熟期まで、栖鳳の代表作を集めて展示し、一堂にその画業を振り返ります。
栖鳳の挑戦をより明らかにするため、本画に加え、制作にまつわる写生や下絵、古画の模写など、様々な資料もあわせて紹介します。栖鳳の奮闘を余すところなく振り返る、大規模回顧展です。
会期 |
2023年10月7日(土)~2023年12月3日(日)
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会場 | 京都市京セラ美術館 Google Map |
展示室 | 本館 南回廊1階 |
住所 | 京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124 |
時間 |
10:00~18:00
(最終入場時間 17:30)
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休館日 | 月曜日(祝日の場合は開館) |
観覧料 | 一般 1,800円(1,600円) 大学・高校生 1,300円(1,100円) 中学生以下 無料
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TEL | 075-771-4334 |
URL | https://kyotocity-kyocera.museum/ |
京都市美術館開館90周年記念で選ばれた画家は、竹内栖鳳と村上隆です。
竹内栖鳳展ってわりと最近京市美でやっていたような記憶がありました。東京近美からの巡回で京都市美で竹内栖鳳展を開催したのは2013年でもう10年も前になるのですね…readmore
5.0
とにかくすごい!の一言。
竹内栖鳳の作品は時々展覧会で目にしますが、まとまった形で鑑賞したのは今回がはじめてでした。
西洋の影響を受けながら新しい日本画を確立していく様は見事。そしてその根底にある「写生」。栖鳳を知れば知るほどあの時代だからこそ生まれ得た巨匠なのだと感じます。
近代以前では、例えば尾形光琳が虎を描くときに実物を見られずにおそらく画帖や猫などを参考に描いています。それはそれで愛くるしさなどが絵に表れますが、実物の迫力は表現しきれません。一方、近代以降は実物を見て描くということができるようになり、よりリアルな表現が可能となりました。栖鳳はその最初の世代ではないかと思います。
何よりすごいのがその描写力。構図などももちろんですが、筆力もすごい。その手によって生み出される作品の数々は迫力満点でした。
また、今回の展示で面白かったのが下絵と完成図の双方が展示されていたりした点。制作の過程が見られるというのは面白かったです。
お時間のある方はぜひ見に行かれることをおすすめします。
4.0
平野重光先生の講演を伺い、初めて知る内容もあり、より深く作品を見ることができるようになりました(1時間半の予定が2時間を超える大講演となり京都市美術館愛・竹内栖鳳愛を感じる内容でした)。
1900年パリ万博視察を機に西洋画を学び、日本画に昇華した作品「羅馬遺跡図」や「ベニスの月」を見ると、墨画だけど異国情緒を感じる不思議な感覚に陥ります。
また、ヨーロッパで数多くの裸婦像を見てきた栖鳳が日本においてもチャレンジしたいと考えて作った作品として「アレ夕立に」「散華」「絵になる最初」があり、裸婦表現が当時の日本では難しかったことで日本の性に対するしおらしさを感じますが、よく考えると、江戸時代の春画等から受ける性の解放性から明治に入り西洋のキリスト教的考え方によって日本的はじらいのような心ができあがっているところに矛盾を感じたりもします。
竹内栖鳳のもう一つの大きな特徴が、模写によるリアルの追求、そして躍動感だということを「蹴合」を見ることで、「生」を突きつけられているように感じ、激しく戦っている様子がまざまざと浮き上がってきます。
そして、お隣の京都国立近代美術館で開催されている「京都画壇の青春」展で竹内栖鳳の一番若い作品が37歳のときの「羅馬古城図」でしたから、18歳のときの「芙蓉」や先人から学ぶ模写を見て、栖鳳の青春時代を感じることができました。
濃密な時間を過ごすことができました。
4.0
私の中での竹内栖鳳の認識は、「班猫」の人であり、「刺繡絵画の原画」の人。ちょっと偏った認識だったので、今回の大回顧展でどう改まるか楽しみにしていました。
いろいろ発見がありましたよー!
まず、下絵や未完の作品が展示されていたのがいいですね。制作過程での逡巡や、完成させられなかった理由に思いを巡らすきっかけになります。
それから、「絵になる最初」に描かれた絣の着物の展示!高島屋から売り出されて大流行したらしく、すでにタイアップ企画があったことにビックリです。
さて、肝心の絵ですが、数え切れない写生をこなさないと描けない絵ばかりで、見続けたから描けたのか、描きたくて見続けたのか、どっちなのかなぁと思いながら見ていました。特に「蹴合」は下絵と完成版で脚の形が違っていたので、修正に至った理由を聞いてみたかったですね(笑)
小動物も大動物も描けて、旅をして風景画を描き、高島屋と組んだり、京都画壇に尽力したり…、マルチな才能を出し惜しみしない人だったんですね。
この日は16時までに入館するつもりで向かっていたんですが、まさかの夕立(しかも土砂降り)にあって、駅で10分以上足止めを食らったんです。バタバタと入館したら、「百騒一睡」の犬に落ち着くように促された気になり、「アレ夕立に」で夕立の違いになんだか可笑しくなりました。「ギャー夕立に」じゃ絵にならない!
先月に続いて岡崎公園の国立&市立美術館のダブル訪問だ。今回も先に京近見てから、道路渡って市美へとやってきた。
(道路はあんまり車が通らないので楽勝で横断できるが、よい子は横断歩道を渡りましょう)
やってるのは開館90周年記念の…readmore
4.0
今回は京都に旅行をした際に寄りました。京都好きなもので、京都画壇が誇る竹内栖鳳について知る機会があればいいなと思っていた矢先でした。
西洋的な画題や技法も取り入れながら、日本画を革新していった作品群は、見応えたっぷりでした。「東の大観、西の栖鳳」と呼ばれただけのことはあります。
動物、特にライオンやトラを描いた作品は、活き活きとした姿をリアルに捉え、秀逸です。「けものを描けば、その匂いまで表現できる」とまで評されたというのも納得です。また空に飛び立つ雀や戦う鶏など、素早い動きの一瞬を捉えた作品が際立ちます。
京都らしい画題としては、舞妓が舞う一瞬を描いた≪アレ夕立に≫。静でもありますが、動の一瞬をカメラで撮影したような作品なのは、動物画と同じ。タイトルが≪アレ夕立に≫と変わっていて、夕立の雨が突然降ってきた音と空気感まで伝えます。
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