FEATURE

2021年下半期に開催スタートの注目の
展覧会を一挙ご紹介!(第1弾は関東版)

「バンクシーって誰?展」「マン・レイと女性たち」特別展「聖徳太子と法隆寺」
「ゴッホ展」「KAWS TOKYO FIRST」「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」ほか

トピックス

(左上)バンクシー《風船と少女》Girl with Balloon (Diptych) 2006年、(中上)《天文台の時刻に―恋人たち》 1934/1967年、(中央)《眠る女(ソラリゼーション)》 1929年 ゼラチン・シルバー・プリント(後刷)、(右上)KAWS SEEING, 2018 © KAWS, photograph by Jonty Wilde(右下)《白熊の親子》(部分)、1999年、(下中央右)《芝増上寺》川瀬巴水 東京二十景 1925(大正14)年 渡邊木版美術画舗、(下中央左)国宝 天寿国繡帳 飛鳥時代・622年頃、中宮寺蔵、(左下)フィンセント・ファン・ゴッホ《夜のプロヴァンスの田舎道》1890年5月12-15日頃 油彩、カンヴァス 90.6×72cm クレラー=ミュラー美術館蔵
(左上)バンクシー《風船と少女》Girl with Balloon (Diptych) 2006年、(中上)《天文台の時刻に―恋人たち》 1934/1967年、(中央)《眠る女(ソラリゼーション)》 1929年 ゼラチン・シルバー・プリント(後刷)、(右上)KAWS SEEING, 2018 © KAWS, photograph by Jonty Wilde(右下)《白熊の親子》(部分)、1999年、(下中央右)《芝増上寺》川瀬巴水 東京二十景 1925(大正14)年 渡邊木版美術画舗、(下中央左)国宝 天寿国繡帳 飛鳥時代・622年頃、中宮寺蔵、(左下)フィンセント・ファン・ゴッホ《夜のプロヴァンスの田舎道》1890年5月12-15日頃 油彩、カンヴァス 90.6×72cm クレラー=ミュラー美術館蔵

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今年も早いもので、7月に入り、1年の折り返し地点を迎えました。
2021年の下半期のはじめに、アートアジェンダがお薦めする、2021年下半期(7~12月)に始まる10の注目の展覧会をご紹介します。

第1弾は、東京他で開催される関東エリアの展覧会のご紹介です。
第2弾 関西&全国版はこちら

そのほかにも、沢山のおすすめ展覧会が開催予定です。ぜひ、展覧会情報一覧 をご参考にしていただいて、今年の後半もたくさんの展覧会をお楽しみください。

現代のストリートで表現を続けるアート界の異端児“バンクシー”。謎に包まれた存在のバンクシーに迫る、待望の東京での展覧会

バンクシー《ラヴ・イズ・イン・ジ・エア》Love Is In The Air 2006年 個人蔵
バンクシー《ラヴ・イズ・イン・ジ・エア》Love Is In The Air 2006年 個人蔵

現代のストリートで表現を続けるアート界の異端児“バンクシー”の展覧会が、東京で開催されます。2018年に、少女と赤い風船を描いた作品が高額落札されるや、額に仕込まれたシュレッダーで突如細断。瞬く間に世界中で報道され、話題をさらいました。

日本では、バンクシー作品と思われるネズミの絵が発見されると、大手メディアやSNSで拡散、認知度が上がりました。しかし創作活動の全貌や動機など、その真相が分かる者は依然少なく、謎に包まれた存在です。

バンクシー《風船と少女》Girl with Balloon (Diptych) 2006年 個人蔵
バンクシー《風船と少女》Girl with Balloon (Diptych) 2006年 個人蔵

本展は、世界各都市を巡回し人気を博した「ジ・アート・オブ・バンクシー展」の傑作群を、日本オリジナルの切り口で紹介する意欲的な展覧会です。プライベート・コレクター秘蔵のオリジナル作品の展示とともに、活動の主戦場である“ストリート” に焦点を当て、テレビ局ならではの街並み再現展示で没入空間を体感することができる、注目の展覧会です。

2021年上半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報(1)
「バンクシーって誰? 展」
開催美術館:寺田倉庫 G1ビル
開催期間:2021年8月21日(土)〜2021年12月5日(日)

20世紀を代表する万能の芸術家マン・レイ。彼の人生に登場する女性たちに特に焦点を当てて250点超の作品で振り返る、アートファン必見の展覧会

《眠る女(ソラリゼーション)》 1929年 ゼラチン・シルバー・プリント(後刷) 個人蔵 / Photo Marc Domage, Courtesy Association Internationale Man Ray, Paris / © MAN RAY 2015 TRUST / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021 G2374
《眠る女(ソラリゼーション)》 1929年 ゼラチン・シルバー・プリント(後刷) 個人蔵 / Photo Marc Domage, Courtesy Association Internationale Man Ray, Paris / © MAN RAY 2015 TRUST / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021 G2374

20世紀を代表する万能の芸術家マン・レイの人生には多くの女性が登場します。彼は親しい女性たちをモデルにし、写真では、ときに優しく甘美で、ときに強く自立的で、ときには神々しいまでに美しい女性像を生み出しました。

《天文台の時刻に―恋人たち》 1934/1967年 リトグラフ(多色) 個人蔵 / Photo Marc Domage, Courtesy Association Internationale Man Ray, Paris / © MAN RAY 2015 TRUST / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021 G2374
《天文台の時刻に―恋人たち》 1934/1967年 リトグラフ(多色) 個人蔵 / Photo Marc Domage, Courtesy Association Internationale Man Ray, Paris / © MAN RAY 2015 TRUST / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021 G2374

本展ではマン・レイの生涯を4つの時代に分け、20世紀のさまざまな芸術潮流とファッションを追いながら、その時々に登場する女性たちに焦点を当て、総点数250を上回る選りすぐりの作品で振り返ります。

《カメラをもつセルフポートレート(ソラリゼーション)》1932-35年頃 ゼラチン・シルバー・プリント(ヴィンテージ) 個人蔵 / Courtesy Association Internationale Man Ray, Paris / © MAN RAY 2015 TRUST / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021 G2374
《カメラをもつセルフポートレート(ソラリゼーション)》1932-35年頃 ゼラチン・シルバー・プリント(ヴィンテージ) 個人蔵 / Courtesy Association Internationale Man Ray, Paris / © MAN RAY 2015 TRUST / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021 G2374

Man Ray マン・レイ 1890-1976
フィラデルフィア生まれ。ブルックリンで仕立屋を営む両親のもと、手先の器用な少年は画家になることを志す。ニューヨークでは既存の価値の破壊をめざすダダイストを名のり、芸術活動を開始。1921年にパリ・モンパルナスへ。シュルレアリストたち、社交界の人々と交友し、前衛作家としての活動のかたわら時流に先んじた肖像・ファッション写真家として活躍する。レイヨグラフ、ソラリゼーションなどの写真技法を初めて本格的にとりいれた。第二次大戦中はアメリカへ戻ったが、ふたたびパリへ。画家・オブジェ作家としての名声もやがて確立した。

2021年上半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報(2)
「マン・レイと女性たち」
開催美術館:Bunkamura ザ・ミュージアム
開催期間:2021年7月13日(火)〜2021年9月6日(月)

世界中で絶大な人気を誇るゴッホの、世界最大の個人収集家クレラー=ミュラーのコレクションから、選りすぐりの絵画28点と素描20点を展示

フィンセント・ファン・ゴッホ《夜のプロヴァンスの田舎道》1890年5月12-15日頃 油彩、カンヴァス 90.6×72cm クレラー=ミュラー美術館蔵 ©Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands
フィンセント・ファン・ゴッホ《夜のプロヴァンスの田舎道》1890年5月12-15日頃 油彩、カンヴァス 90.6×72cm クレラー=ミュラー美術館蔵 ©Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands

今日、世界中で絶大な人気を誇るフィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)。その世界最大の個人収集家がヘレーネ・クレラー=ミュラー(1869-1939)です。ファン・ゴッホに魅了され、画家がまだ評価の途上にあった1908年からおよそ20年間で、約90点の絵画と180点を超える素描・版画を収集しました。

本展では、ヘレーネが初代館長を務めたクレラー=ミュラー美術館のコレクションから、選りすぐりのファン・ゴッホの絵画28点と素描20点を展示します。

フィンセント・ファン・ゴッホ《レストランの内部》1887年夏 油彩、カンヴァス 45.5×56cm クレラー=ミュラー美術館蔵
©Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands
フィンセント・ファン・ゴッホ《レストランの内部》1887年夏 油彩、カンヴァス 45.5×56cm クレラー=ミュラー美術館蔵
©Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands

新印象派の影響を色濃く見せるパリ時代の《レストランの内部》、黄と青の対照がまばゆいアルル時代の《種まく人》、糸杉を描いたサン=レミ時代の傑作《夜のプロヴァンスの田舎道》などで、その初期から晩年までの画業をたどります。

また、ミレー、ルノワール、スーラ、ルドン、モンドリアンらの作品20点もあわせて展示し、ファン・ゴッホ作品を軸に近代絵画の展開をたどるべく築かれた、ヘレーネの類まれなコレクションを紹介します。

2021年上半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報(3)
「ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」
開催美術館:東京都美術館
開催期間:2021年9月18日(土)〜2021年12月12日(日)

聖徳太子1400年遠忌を記念した特別展。法隆寺の寺宝、太子の肖像や遺品と伝わる宝物など貴重な文化財を通じて太子その人と太子信仰の世界に迫る

国宝 聖徳太子および侍者像のうち聖徳太子
平安時代・保安2年(1121)、奈良・法隆寺蔵、奈良展、東京展ともに通期展示
国宝 聖徳太子および侍者像のうち聖徳太子
平安時代・保安2年(1121)、奈良・法隆寺蔵、奈良展、東京展ともに通期展示

奈良・斑鳩の地に悠久の歴史を刻む法隆寺は、推古天皇15年(607)、聖徳太子によって創建されたと伝えられます。太子は仏教の真理を深く追究し、また冠位十二階や憲法十七条などの制度を整えることで、後世に続くこの国の文化的な基盤を築き上げました。聖徳太子を敬う人々の心は、その没後に信仰として発展し、こんにちもなお日本人の間に連綿と受け継がれています。

国宝 天寿国繡帳
飛鳥時代・622年頃、中宮寺蔵、東京展のみ前期展示
国宝 天寿国繡帳
飛鳥時代・622年頃、中宮寺蔵、東京展のみ前期展示

令和3年(2021)は聖徳太子の1400年遠忌にあたり、これを記念して特別展「聖徳太子と法隆寺」を開催します。法隆寺において護り伝えられてきた寺宝を中心に、太子の肖像や遺品と伝わる宝物、また飛鳥時代以来の貴重な文化財を通じて、太子その人と太子信仰の世界に迫ります。

特に金堂の薬師如来像は日本古代の仏像彫刻を代表する存在であり、飛鳥時代の仏教文化がいかに高度で華麗なものであったかを偲ばせてくれます。

2021年上半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報(4)
「聖徳太子1400年遠忌記念 特別展「聖徳太子と法隆寺」」
開催美術館:東京国立博物館
開催期間:2021年7月13日(火)~2021年9月5日(日)

目の箇所に×印のキャラクターがKAWSの代名詞。コマーシャルアートとファインアート双方の領域を網羅する、国内初の大型展覧会が開催

KAWS SEEING, 2018 © KAWS, photograph by Jonty Wilde
KAWS SEEING, 2018 © KAWS, photograph by Jonty Wilde

今や時代を象徴するアーティストとして、あらゆるアートジャンルの垣根を越えて活躍の場を広げるKAWS(カウズ)。グラフィティ、絵画、グラフィックデザイン、産業デザインはもちろん、ユニクロやアベイシングエイプなどの著名ファッションブランドやディオールをはじめとした有名ブランドデザイナーとのプロダクトコラボレーションを通じて若い世代を中心に幅広い人気を誇る一方、近年はファインアートの世界でも揺るぎない地位を確立しています。

KAWS HOLIDAY, 2019 © KAWS, photograph by @hirokingraphy courtesy AllRightsReserved
KAWS HOLIDAY, 2019 © KAWS, photograph by @hirokingraphy courtesy AllRightsReserved

国内初の大型展覧会となる本展では、コマーシャルアートとファインアート双方の領域を網羅するKAWSの視覚的アプローチに迫り、彼が創作した約70点の絵画や彫像、プロダクトを通して、そのユニークな芸術制作の軌跡や美術史的意義をたどります。さらにKAWSが保有するプライベートコレクションの中から、自身が影響を受けたアーティストの作品も展示予定です。

KAWS © Nils Mueller for Wertical
KAWS © Nils Mueller for Wertical

KAWS:Brian Donnelly ブライアン・ドネリー
1974年生まれアメリカ・ニュージャージー出身1990年代初めにグラフィティアーティストとして頭角を現し、その後93年から96年までニューヨークの美術学校「School of Visual Arts」で学ぶ。バス停の看板に広告を描いた作品などを通じて知名度を上げ、90年代のグラフィティアート界の一員となる。日本との関わりも強く、96年に東京を訪れ、東京のサブカルチャーに触れ、ストリートアートのプロジェクトにも携わる。日本では富士山の麓で「KAWS:HOLIDAY JAPAN」が2019年に実施され大きな話題となる。2021年前半にはブルックリン美術館での展覧会を予定している。

2021年上半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報(5)
「KAWS TOKYO FIRST」
開催美術館:森アーツセンターギャラリー
開催期間:2021年7月16日(金)〜2021年10月11日(月)

庶民の生活が息づく四季折々の風景を生涯描き続けた版画家・川瀬巴水。伝統木版技術を駆使した、初期から晩年までの詩情豊かな木版画作品を紹介

《増上寺之雪》川瀬巴水 1953(昭和28)年 木版、紙 渡邊木版美術画舗
《増上寺之雪》川瀬巴水 1953(昭和28)年 木版、紙 渡邊木版美術画舗

大正から昭和にかけて活躍した版画家・川瀬巴水(1883~1957)の回顧展です。巴水は、微風に誘われ、太陽や雲、雨を友として旅に暮らし、庶民の生活が息づく四季折々の風景を生涯描き続けました。

それは近代化の波が押し寄せ、街や風景がめまぐるしく変貌していく時代にあって、日本の原風景を求める旅でもありました。

その版画制作を支えたのが、浮世絵版画にかわる新しい時代の版画「新版画」を推進した版元の渡邊庄三郎でした。二人の強固な制作欲は、海外にも通用する木版「美」の構築をめざし、今や巴水の風景版画は、郷愁や安らぎをもたらす木版画として多くの人々に愛されています。

《月嶋の渡舟場》川瀬巴水 東京十二ヶ月 1921(大正10)年10月 木版、紙 渡邊木版美術画舗
《月嶋の渡舟場》川瀬巴水 東京十二ヶ月 1921(大正10)年10月 木版、紙 渡邊木版美術画舗

本展覧会は、初期から晩年までの木版画作品より、まとめて見る機会の少ないシリーズ(連作)を中心に構成し、巴水の世界へ誘います。

2021年上半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報(6)
「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」
開催美術館:SOMPO美術館
開催期間:2021年10月2日(土)〜2021年12月26日(日)

躍動感や生命力がありながら、細密で柔らかな質感を生み出す、不世出の木彫家、藤戸竹喜。初期から最晩年にいたる代表作80余点でその全貌を紹介

《白熊の親子》(部分)、1999年、個人蔵、撮影:露口啓二
《白熊の親子》(部分)、1999年、個人蔵、撮影:露口啓二

2021年上半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報(7)
「木彫り熊の申し子 藤戸竹喜 アイヌであればこそ」
開催美術館:東京ステーションギャラリー
開催期間:2021年7月17日(土)~2021年9月26日(日)

北海道美幌町で生まれ、旭川市で育った藤戸竹喜(ふじとたけき 1934-2018)は、木彫り熊の職人だった父親の下で12歳の頃から熊彫りを始めました。やがて阿寒湖畔に移り住み、この地で才能を開花させて、数多くの木彫作品を生み出します。

《全身を耳にして》(部分)、2002年、鶴雅リゾート㈱蔵、撮影:佐藤克秋
《全身を耳にして》(部分)、2002年、鶴雅リゾート㈱蔵、撮影:佐藤克秋

藤戸竹喜の作品の特徴は、大胆さと繊細さ、力強さと優しさといった、相反するものが同居していることにあります。一気呵成に彫り進められる熊や動物の姿は、まるで生きているかのように躍動し、旺盛な生命力を感じさせる一方で、仕上げに行われる毛彫りは細密で、硬い木であることを忘れさせるような柔らかな質感を生み出しているのです。

本展は、その初期作から最晩年にいたる代表作80余点によって、この不世出の木彫家、藤戸竹喜の全貌を東京で初めて紹介する機会となります。

コスチューム・アーティストひびのこづえの代表的な衣装や新作、ダンサーらによるパフォーマンス、ワークショップなどにより作品世界の全貌を紹介

スワンの服 2012年 Photo ©️角田航
スワンの服 2012年 Photo ©️角田航

「そごう横浜店は衣・食・住にまつわる種々膨大な品々が並ぶ森。
その中にある美術館は6階の一番奥にある、さらに深い森。
そこには様々な生き物の服が並んでおり。
ときおり、服を着て動き踊る生き物たちに出会う。」

ひびのこづえはコスチューム・アーティストとして、1988年に活動を開始します。以後30年以上第一線で、演劇やダンス、映画、テレビなど多くの分野で数々の作品を制作しています。

なかでも、野田秀樹演出の舞台衣装やNHK Eテレ「にほんごであそぼ」の衣装、セットデザインはよく知られています。想像力をかきたてる奇想天外なかたちやわくわくするような色彩の衣装によって、こどもからおとなまで一瞬のうちにその魅力に引き込んでゆきます。

MAMMOTH  2020年 photo ©️出口敏行
MAMMOTH  2020年 photo ©️出口敏行

本展覧会では代表的な衣装や新作、不思議な衣装をまとったダンサーたちによるパフォーマス、ワークショップなどによりひびのこづえの作品世界の全貌を紹介します。

2021年上半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報(8)
「森に棲む服/forest closet ひびのこづえ展」
開催美術館:そごう美術館
開催期間:2021年9月10日(金)〜2021年10月10日(日)

「世界中のこどもみんなに 平和と しあわせを」と願い、生涯にわたって子どもを描き続けた画家いわさきちひろの生涯と作品を豊富な資料で紹介

「はなぐるま」 1967年 ちひろ美術館蔵
「はなぐるま」 1967年 ちひろ美術館蔵

「世界中のこどもみんなに 平和と しあわせを」と願い、生涯にわたって子どもを描き続けた画家・いわさきちひろ(1918~1974)。美しく清らかな色彩に満ち、巧みな描写力に裏付けられた彼女の作品は、没後約半世紀を経た現在でも色あせることはありません。

そのやさしさにあふれた作品イメージの一方で、戦争を経験し、「絵描き」として生きることを選んだ彼女の人生は決して平坦なものではなく、妻として、母として、そして絵描きとして、力強く55年の生涯を生き抜きました。

「あめ」 1960年頃 ちひろ美術館蔵
「あめ」 1960年頃 ちひろ美術館蔵

本展では、新聞や絵雑誌などの挿絵を描き、童画家として世に出たちひろが、次第に絵本画家として才能を開花させ、絵と文が一体となった創作絵本『あめのひのおるすばん』(1968年、至光社)等によって絵本の世界に新境地をもたらすに至る、その生涯と作品を、豊富な資料を交えて紹介します。


2021年上半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報(9)
「いわさきちひろ展」
開催美術館:茨城県近代美術館
開催期間:2021年7月24日(土)〜2021年8月29日(日)

包むことについて考えるのは、人間の生活のすべてについて考えることに他ならない―包むことに込められた日本人の心や手わざの美しさを見つめる

《卵つと》 山形県 撮影:酒井道一(岡秀行著『包』毎日新聞社、1972年 所収)
《卵つと》 山形県 撮影:酒井道一(岡秀行著『包』毎日新聞社、1972年 所収)

1972年に出版された写真集『包』(毎日新聞社刊)は、すでに絶版となっているものの、愛蔵書として 今なお読み継がれています。

この本の著者は岡秀行(おか ひでゆき 1905ー1995)。岡は、戦前からアートディレクターとして活躍する一方で、木、竹、藁など自然の素材が生かされたパッケージに魅了され、収集・研究を始め、藁の苞(つと)の素朴な美しさや、すし桶、菓子箱の職人技による伝統美に、日本人な らではの「美意識」と「心」を見いだし、「伝統パッケージ」と呼称を与え、書籍の出版や展覧会を通じて、 高度経済成長期の日本において消えつつある技術や美があることの啓蒙につとめました。

《ささらあめ》 宮城県/熊谷屋 撮影:酒井道一(岡秀行著『包』毎日新聞社、1972年 所収)
《ささらあめ》 宮城県/熊谷屋 撮影:酒井道一(岡秀行著『包』毎日新聞社、1972年 所収)

1970年代半ばには、岡のコレクションは世界巡回展へと発展し、「TSUTSUMU」(包む)という言葉とともに大きな反響を呼びます。そして、このコレクションを日本の美術館で初めて本格的に紹介したのは、1988年に目黒区美術館が開催した「5つの卵はいかにして包まれたか―日本の伝統パッケージ展」でした。これを機に目黒区美術館では出品されたパッケージ群を岡より譲り受け、「〈包む〉コレクション」として収蔵しています。本展は、2011年にその全容を紹介する展覧会を開催して以来、10年ぶりの展覧会です。

「包むことについて考えるのは、人間の生活のすべてについて考えることに他ならない」。岡は前掲書の中でこのように述べています。そして、「私たちにとって、人間とは何か、生活とは何か、社会とは何かを考えることは、つまりは私たちのこの生をどう包むかという問題だとさえいえるだろう」と。

2021年上半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報(10)
「包む-日本の伝統パッケージ」
開催美術館:目黒区美術館
開催期間:2021年7月13日(火)〜2021年9月5日(日)

2021年下半期おすすめ展覧会(東京&関東版)では、10の展覧会を取り上げてみました。その他にも当サイトでは、全国のたくさんの展覧会をご紹介しています。展覧会情報一覧 ページより、お住まいの地域やお出かけ先の地域を設定して、ご興味ある展覧会を見つけてみてください。(第2弾 関西&全国版はこちら
今年の下半期もぜひ、美術館・博物館で心豊かな時間をお過ごしください。

アートアジェンダ編集部

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