FEATURE

キュレーターが語る
話題の展覧会の作り方
VOL.01 アーティゾン美術館公益財団法人石橋財団 アーティゾン美術館 学芸課長 新畑泰秀氏

インタビュー

石橋財団アーティゾン美術館 学芸課長 新畑泰秀氏  Photo : Yoshiaki Tsutsui
新畑氏が腰掛ける倉俣史朗の《ガラスのベンチ》(1986年)は、旧ブリヂストンビル本社ビルのロビーにあったもの。2020年、ブリヂストン本社ビルがミュージアムタワー京橋として生まれ変わったのを機に、写真後方の田中信太郎による立体作品《ソノトキ音楽ガキコエハジメタ》(1986年)と共にアーティゾン美術館の6階展示室エントランスに引っ越した。

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構成・文 藤野淑恵

ブリヂストン美術館から、アートとホライゾンを掛け合わせた新たな館名に生まれ変わったアーティゾン美術館。学芸課長の新畑泰秀氏は、膨大な作品に日常的に触れる学芸員の仕事は「恐ろしく楽しい」と語る。石橋財団のコレクションの魅力、そして「創造の体感」の解釈について話を聞いた。
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ブリヂストン美術館時代は八重洲通りにあったエントランスが、アーティゾン美術館では中央通りに向かって開かれた。1階ミュージアムカフェや2階ミュージアムショップはフリーゾーンで自由に往来できる。
ブリヂストン美術館時代は八重洲通りにあったエントランスが、アーティゾン美術館では中央通りに向かって開かれた。1階ミュージアムカフェや2階ミュージアムショップはフリーゾーンで自由に往来できる。

「ブリヂストン美術館からの継続性と共に、
新しい時代にふさわしい、新しい美術をお見せすること。
アーティゾン美術館ではそれを強く意識しています」

東京駅からほど近い京橋1丁目、中央通りに向かって開かれた「ミュージアムタワー京橋」。2020年1月、5年の休館期間を経て、ブリヂストン美術館から館名変更の上、アーティゾン美術館として生まれ変わった新しい館は、この23階建ての最新鋭の高層ビルの1階から6階にある。ガラスで囲まれたファサードは開放感ある吹き抜けの大空間となっていて、階段やエスカレーター、エレベーターで上階の展示室へと向かえば、そこはかとない期待感と高揚感に包まれる。

アーティゾン美術館の開館記念展「見えてくる光景 コレクションの現在地」(2020年1月18日 - 3月31日)で新収蔵作品としてお披露目された。/ ヴァシリー・カンディンスキー《自らが輝く》1924 年 石橋財団アーティゾン美術館蔵
アーティゾン美術館の 開館記念展「見えてくる光景 コレクションの現在地」(2020年1月18日 - 3月31日)で新収蔵作品としてお披露目された作品。/ ヴァシリー・カンディンスキー《自らが輝く》1924年 石橋財団アーティゾン美術館蔵

アート(芸術)とホライゾン(地平)を掛け合わせた言葉である館名は、美術の新しい地平を目指す思いを表すという。「美術館のポリシーに基づいた作品を収集し、それを保存し、研究し、展示することが学芸員の仕事」と明快に語るのは石橋財団アーティゾン美術館の学芸課長である新畑泰秀氏。在籍する約10名の学芸員のトップとしてコレクションの収集や研究を牽引するとともに、美術館で開催される展覧会全般を統括する。アーティゾン美術館では各展覧会を3名程度の学芸員が担当するが、現在開催中の「STEPS AHEAD: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示」では、展覧会チーフの役割も担った。

「ブリヂストン美術館が2015年に休館し、2020年1月にアーティゾン美術館として再オープンするまでの5年間、わたしたちは展覧会の準備と同時に作品の収集を続けていました。現在開催中の『STEPS AHEAD』は、昨年の開館記念展同様、すべての展示フロアを会場にしたコレクション展ですが、開館記念展とは少し方向性が異なり、ブリヂストン美術館からの継続性とともに、新しい時代の、新しい美術をお見せすることを強く意識しています。1952年の開館から半世紀以上を経て、美術を含めて社会や状況が大きく変化しています。その中でアーティゾン美術館として何を収集し、何をみなさまに提示するのか。われわれが今後どういう方向に足を踏み入れていくのかをお見せするものです」

「終戦からわずか7年。東京の中心に最新鋭のビルを建て、
ニューヨークMoMAを意識した近代的な美術館を開館した。
当時としてはかなりスタイリッシュな建物であったと思います」

ブリヂストン美術館の創設は1952年1月。現在の株式会社ブリヂストンの創業者である石橋正二郎が戦前から幅広く収集した日本近代洋画、印象派を中心とする西洋近代絵画の名品コレクションを「世の人々の楽しみと幸福(しあわせ)のために」という基本理念のもと、広く公開するために開館した。

ブリヂストンタイヤ株式会社本社創立20周年記念事業として、本社社屋を改築し1952年に落成。この年、本社ビル2階にブリヂストン美術館が設置された。
ブリヂストンタイヤ株式会社本社創立20周年記念事業として、本社社屋を改築し1952年に落成。この年、本社ビル2階にブリヂストン美術館が設置された。
ミュージアムタワー京橋の低層階(1~6階)に位置するアーティゾン美術館。展示室(4~6階)の総面積はブリヂストン美術館のおよそ2倍の約2,100㎡に増床された。都市型美術館として縦に層を重ねる6階建ての構成で、下3階部分(1~3階)がフリーゾーン、上3階部分(4~6階)が展示室ゾーンとなっている。
ミュージアムタワー京橋の低層階(1~6階)に位置するアーティゾン美術館。展示室(4~6階)の総面積はブリヂストン美術館のおよそ2倍の約2,100㎡に増床された。都市型美術館として縦に層を重ねる6階建ての構成で、下3階部分(1~3階)がフリーゾーン、上3階部分(4~6階)が展示室ゾーンとなっている。

「ブリヂストン美術館は、戦後に開館した美術館の歴史の一端を担ってきました。開館は1952年。創設者の石橋正二郎は、マンハッタンのミッドタウンにあるニューヨーク近代美術館(MoMA)を強く意識していました。ニューヨーカーは日常生活のなかで美術を享受することができる。日本のビジネスの中心地にも文化的な施設が必要だと。第二次大戦後まだ7年しか経たない復興期に、東京駅のすぐそばに当時最新鋭の近代的なビルを建て、しかもその中に近代的な美術館を設置した。当時としてはかなりスタイリッシュな建物であった思います」

藤島武二《黒扇》1908-09年 重要文化財
藤島武二《黒扇》1908-09年 重要文化財

1952年、ブリヂストン美術館の開館記念展は日本近代洋画、印象派を中心とした西洋近代絵画など119点で構成された。首都圏において日仏の近代美術を常設展示した唯一の美術館には、初年に11万2千人が来場者し新聞紙上を大いに賑わせたという。開館の4年後である1956年、石橋正二郎は私財を投じて石橋財団を創設。恒久的に美術館が存続するように、自らのコレクションの大半を寄贈した。その中心となったのは青木繁や藤島武二ら日本近代洋画の黎明期を代表する画家たちの作品、そして印象派以降のフランスを中心とする西洋近代美術だった。

「現在では、日本全国隅々まで美術館が開館しました。国立西洋美術館、ポーラ美術館など充実した印象派コレクションを所蔵している美術館もあります。しかし、ブリヂストン美術館の開館当時、印象派を常設展示している場所は稀でした。常時モネがあり、セザンヌがあり、ルノワールがあるような美術館は東京にはなかった。あの美術館に行けば、いつでもセザンヌの《サント=ヴィクトワール山》を見られるといった場所は、開館当時はおそらくブリヂストン美術館だけでした。この美術館で仕事をしていると、高名なアーティストや美術ファンの方々から、よく声をかけていただきます。『若い頃からここにきて、《サント=ヴィクトワール山》をいつも観ていました』と。私自身も、学生時代にはブリヂストン美術館に通い、そのコレクションから多くを学びました。」

ブリヂストン美術館時代からそのコレクションを代表する作品。アーティゾン美術館開館後も展示される機会の多い作品だが、昨年11月から開催された「琳派と印象派 東西都市文化が生んだ美術」では、鈴木其一の《富士筑波山図屛風》(石橋財団アーティゾン美術館蔵)と並んで展示されるという興味深い趣向もあった。ポール・セザンヌ《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》1904-06年頃
ブリヂストン美術館時代からそのコレクションを代表する作品。アーティゾン美術館開館後も展示される機会の多い作品だが、昨年11月から開催された「琳派と印象派 東西都市文化が生んだ美術」では、鈴木其一の《富士筑波山図屛風》(石橋財団アーティゾン美術館蔵)と並んで展示されるという興味深い趣向もあった。/ ポール・セザンヌ《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》1904-06年頃

「石橋財団の作品収集は、正当な美術の流れを追いながらも、
革新的な展開を意識しています」

創設者の石橋正二郎が1976年に没した後、石橋財団を引き継いでさらなる発展へと導いたのは、正二郎の長男、石橋幹一郎だった。幹一郎は、正二郎の収集活動を踏襲したコレクションを形成する一方で同時代の美術に関心を持ち、フランスの戦後抽象絵画を中心とした個人コレクションを築いた。これら400点以上の作品は、没後の1998年、遺族により石橋財団に寄贈されたが、これはブリヂストン美術館のコレクションが現代美術へと繋がる契機ともなる。2004年からは、幹一郎の長男である石橋寬氏が理事長・館長として石橋財団アーティゾン美術館を率いる。

ピエール=オーギュスト・ルノワール《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》1876年
ピエール=オーギュスト・ルノワール《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》1876年

「2015年にブリヂストン美術館をクローズして美術館が新しくなるタイミングから、石橋寬理事長を中心に、『われわれが集めるべきもの』への強い意志を共有するチームが、何を皆さんにお見せすべきなのかについて議論を重ねてきました。国立美術館のように広く、浅く、全てを集めるのではなく、アーティゾン美術館ならではの収集を進め、それを効果的にみなさんにご提示することを目指しています」

ブリヂストン美術館創設者の石橋正二郎のコレクションの核となったのは青木繁、坂本繁二郎らの日本の近代洋画と印象派。これが広がりを見せ、さらに幹一郎の作品が加わることによりフランス近代美術から発展した戦後のフランス美術が登場する。石橋寬理事長の時代となった今、それはより広がりを見せ、日本、及びアメリカの戦後美術と広がっている。石橋財団の作品収集は、正当な美術の流れを追いながらも、革新的な展開を意識しており、それをアーティゾン美術館として継続していく必要がある、と新畑氏は語る。

ジャン・フォートリエ《旋回する線》1963年
ジャン・フォートリエ《旋回する線》1963年

「2020年のアーティゾン美術館の開館によって、私たちの活動はこれまでに増して新しいことに挑む姿勢が明らかになってきています。それはブリヂストン美術館の時代から、例えば2011年の『アンフォルメルとは何か?−20世紀フランス絵画の挑戦』展や2014年の『ウィレム・デ・クーニング展』など、日本の美術館ではほとんど紹介されていないものに挑戦したものでしたが、そうしたことが、昨年のアーティゾン美術館開館以降、開催している様々な展覧会への基石となりました」

ジャクソン・ポロック《ナンバー2、1951》 1951年  油彩・カンヴァス
ジャクソン・ポロック《ナンバー2、1951》 1951年 油彩・カンヴァス

「所蔵作品の中には、まだまだ調査・研究を重ねなければなければならない作品が非常に多くある。
学芸員として、それらがたとえ自分の専門ではなくても深く探求する必要がある。時間がかかっても手分けをしてでも、責任を持つべきであると考えています」

アーティゾン美術館の約10人の学芸員の専門は、石橋財団のコレクションと同じく多彩だが、自分の専門ではなくても所蔵作品については、深く知る必要があると新畑氏は考える。これはアーティゾン美術館の学芸スタッフ全員にあてはまることで、なるべく全員で全ての作品を理解し、触ることも、展示もできる。そうあることを目指しているという。

中国 龍泉窯《青磁鉄斑文瓶(飛青磁花瓶)》元時代 14世紀  磁器
中国 龍泉窯《青磁鉄斑文瓶(飛青磁花瓶)》元時代 14世紀 磁器

「美術史の研究者であれば、ルネッサンス、バロック、中世といった時代、あるいはひとつの国、流派、作家など、領域を絞って深く掘り下げることもできるでしょう。しかし美術館の学芸員というのは、美術館とそのコレクションありき、なのです。石橋財団のコレクションがあって、それを学芸員が中心となって保存し、調査・研究するとともに皆様に公開展示しているわけです。その中の、私は印象派のルノワールだけ、セザンヌだけ、というわけにはいかない。石橋財団のコレクションには中国の陶磁器があります。私は中国や古い時代は専門ではありませんが、コレクションを所蔵している以上、その知識を持つ必要がある。そして実際に調べていくと、所蔵品が大変重要なものだということがわかることが多々あります。自分の知識で補えないような時には、外部の研究者の方の助けを得て、知るべきことを知り、皆さまにお伝えします。所蔵作品の中には、実は知らない作品、詳しくない作品の方が多い。しかし、アーティゾン美術館の学芸員として、時間がかかっても、手分けをしてでも、全員で責任を持つべきであると考えています」

「美術館とはただ作品を鑑賞するだけではなく、
新しい時代を切り拓く刺激を受ける場所である。
それが『創造の体感』の解釈です」

アーティゾン美術館が誕生して新たに始まった企画として、現代美術家と石橋財団のコレクションが共演する「ジャム・セッション」がある。今をときめくアーティストと学芸員が協働して、コレクションとアーティストのセッションにより展覧会を作る、という新たな試みだ。2020年は第1回として鴻池朋子をフィーチャー、今年は森村泰昌を迎えて第2回目のジャム・セッション「石橋財団コレクション×森村泰昌 M式「海の幸」―森村泰昌 ワタシガタリの神話」(2021年10月2日[土] - 2022年1月10日[月・祝] )の開催がアナウンスされている。 このシリーズはアーティゾン美術館の掲げるコンセプト「創造の体感」を体現する展覧会だが、新畑氏は、「美術館は作品を鑑賞するだけではなく、刺激を受ける場所であってほしい」と語る。

世界的に抽象表現主義、特に1950年代、60年代に活動した女性作家に対する関心が高まっており、それがアーティゾン美術館のコレクションにも反映している。/ エレイン・デ・クーニング 《無題(闘牛)》 1959年 油彩・カンヴァス  208.3×203.2cm 石橋財団アーティゾン美術館蔵 © Elaine de Kooning Trust
世界的に抽象表現主義、特に1950年代、60年代に活動した女性作家に対する関心が高まっており、それがアーティゾン美術館のコレクションにも反映している。/ エレイン・デ・クーニング 《無題(闘牛)》 1959年 油彩・カンヴァス  208.3×203.2cm 石橋財団アーティゾン美術館蔵 © Elaine de Kooning Trust

「例えば、アメリカの抽象表現主義の女性画家、エイレン・デ・クーニングの《無題(闘牛)》という作品があります。この作家や作品について、多くの方はご存知ないのかもしれません。彼女はウィレム・デ・クーニングの弟子となり、後に結婚した画家です。大きな画面に猛々しい牛の姿が描かれたこの作品の前に立つと、もの凄い力を感じずにはいられません。はっちゃけているんだけれども、いたずらに落書きとはもちろん違う。未来に向けて力を持ちうる美的な価値が確かにある。セザンヌの絵画のそれとは異なるかもしれないけれど、それは確かに在り、見る人は強い刺激を受け取るはずです。美術館においてはただ作品を受動的に享受するだけではなく、そのような刺激を受ける場所であってほしい、と思っています。そこで得たインスピレーションが新しい時代を切り拓くことになれば。それが石橋財団が望む『創造の体感』なのです」

「アーティゾンには日本の近世美術もあれば、印象派もキュビズムもある。
右を見ても左を見ても上を見ても下を見ても、心惹かれるものが沢山ある。
コレクションに多様性があることは、学芸員として非常に幸せなことです」

作品の収集については、それぞれの専門性や強みを持った学芸員の情報収拾力がものをいう。さらにブリヂストン美術館時代からの継続的な購入により、画商や個人コレクターからも良質な情報が集まり、学芸員が目にする作品の分母は限りなく大きい。しかしアーティゾン美術館に相応しい作品となると厳しい目で見極めなければならない。作品の収集は展覧会をつくるときと同様のエネルギーが必要だという。

「作品の収集については、理事長が中心となり収集方針に基づいた戦略が立てられ、それに基づいて学芸員が情報収集し、収集すべきベストな作品を必死で探す努力を重ねます。2020年12月には、カンディンスキーの《3本の菩提樹》を収集しました。カンディンスキーの初期の典型的な作品をずっと探していましたが、なかなか望むような作品と縁がなく、ようやく巡り合うことができました。印象派にも影響を受けたカンディンスキーが、抽象化に向かう途上にある作品です。彼がもがき、苦しみながら新しい芸術を生み出していく過程で生まれたこの絵には、見慣れたカンディンスキーの抽象表現とは異なる、ダイレクトに印象派にも通じる色彩の喜びに満ち溢れています。見ている者をとても幸福な気持ちにさせてくれます。」

ヴァシリー・カンディンスキー《3本の菩提樹》1908年  油彩・板
ヴァシリー・カンディンスキー《3本の菩提樹》1908年 油彩・板

関心のあるものからないものまで、あるいは知ることのなかった作品と、シャワーを浴びるように膨大な作品に日常的に触れる美術館学芸員は、来るものは拒まず、何でも見なくてはいけないという一方で、今日はこれ、明日はあれ、という面白さがある。それが恐ろしく楽しい、と新畑氏は語る。さらに、展覧会の調査をするために地方に出かけ、海外にも出かける。それはもう、楽しいというレベルではない、とも。

アーティゾン美術館3F、メインロビーフロアにて。石橋財団アーティゾン美術館 学芸課長 新畑泰秀氏  Photo : Yoshiaki Tsutsui
アーティゾン美術館3F、メインロビーフロアにて。石橋財団アーティゾン美術館 学芸課長 新畑泰秀氏  Photo : Yoshiaki Tsutsui

「展覧会をご覧いただき、図録をみていただいてもおわかりいただけますが、日本の近世美術もあれば、印象派も、キュビズムもある。田中信太郎のようなコンテンポラリーがあり、エレイン・デ・クーニングが出てきて、絵画とは違うデュシャンの作品のようなものもある。ゴチャゴチャだと思われるかもしれませんが、そこにはちゃんと筋が通っている。なかなかこういう発想はできないし、そんな面白さがアーティゾン美術館にはあります。コレクション数はそれほど多いわけではないのですが、右を見ても左を見ても上をみても下を見ても、面白いものがいっぱいある。コレクションに多様性があることは、学芸員として非常に幸せなことだと思います。」

VOL.01 アーティゾン美術館(東京都中央区)
公益財団法人石橋財団 アーティゾン美術館
学芸課長 新畑泰秀氏

Yasuhide Shimbata Chief Curator Artizon Museum, Ishibashi Foundation

横浜美術館学芸員、石橋財団ブリヂストン美術館学芸課長を経て、2019年より現職。専門はフランス近現代美術史。担当した主な展覧会に「開館10周年記念 セザンヌ展」(横浜美術館、1999)、「セザンヌ主義 父と呼ばれる画家への礼讃」(横浜美術館、2008)、「アンフォルメルとは何か?──20世紀フランス絵画の挑戦」(ブリヂストン美術館、2011)、「カイユボット展−都市の印象派」(ブリヂストン美術館、2013年)、「ウィレム・デ・クーニング展」(ブリヂストン美術館、2014)他。主な著書に『失楽園:風景表現の近代1870-1945』(共著、大修館書店、2004)、「ポール・セザンヌ」(『花美術館』Vol. 64、花美術館、2019)、『新古典主義美術の系譜』(共著、中央公論美術出版、2021)などがある。
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「STEPS AHEAD: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示」
開催美術館:アーティゾン美術館
開催期間:2021年2月13日(土)〜2021年9月5日(日)
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アーティゾン美術館|ARTIZON MUSEUM
〒104-0031 東京都中央区京橋1-7-2
開館時間:10:00~18:00(最終入館時間 17:30)
定休日:月曜日 ※祝日の場合は開館し翌平日は振替休日、展示替え期間、年末年始

参考文献:「STEPS AHEAD展カタログ」「アーティゾン美術館 ハイライト200 石橋財団コレクション」(ともに編集・発行 公益財団法人石橋財団アーティゾン美術館)

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