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クリムト、シーレの色彩、緑に注目!
昨年末にかけて2023年の展覧会を吟味する中で、東京都美術館で開催される本展の「エゴン・シーレ展」と「マティス展」が関西への巡回がないので、行きたいけど行けるかかどうかドキドキしている中で、まずは「エゴン・シーレ展」に行けてホッとしています。
今回の「エゴン・シーレ展」は、シーレだけでなく、19世紀末のウィーンで活躍した画家たちの展覧会として、クリムト、ゲルストルにも注目していこうと思いました。
事前情報として耳に入ってきたのは、「イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜」展で一躍注目を集めたのが「レッサー・ユリィ」のように、今回は「リヒャルト・ゲルストル」がシーレより常に一歩前を歩んだことで、注目を集めています。キリストを模した「半裸の自画像」には力強さを感じとともに暗い背景には心の闇を感じざるを得ません。
次に合間合間に現れる初対面のクリムトに大興奮。モネやゴッホ、ゴーギャンも描いた「ひまわり(1907-08)」をクリムトも描いていたのかと角川武蔵野ミュージアム内の図書館にある画集で見つけたときは、その煌びやかな緑に驚き、また、姫路市立美術館に行き、周辺を散策した際に立ち寄った雑貨屋さんで「カッソーネの教会(1913)」の複製画を見つけたときは、その美しい緑に魅了されました。今回、「シェーンブルン庭園風景(1916)」を見た瞬間、「ひまわり」や「カッソーネの教会」を思い出し、改めてクリムトの緑が好きであることに気づきました。
その影響もあってか、シーレの描く光の当たる/光を発する「白い肌」、影/闇を表現する「茶色い肌」いずれにも、様々な色(赤・青・黄・緑・橙・紫など)が使われており、特に、緑色の使い方が印象的でした。背景の影響、縁取り、赤い動脈と対照的に青または緑の静脈表現か、心象表現としてベースに隠れた色の配置が自然に見てとれるのが天才と言われる所以であると感じました。