ゲルハルト・リヒター展

東京国立近代美術館

  • 開催期間:2022年6月7日(火)~2022年10月2日(日)
  • クリップ数:95 件
  • 感想・評価:17 件
ゲルハルト・リヒター展 東京国立近代美術館-1
ゲルハルト・リヒター展 東京国立近代美術館-2
ゲルハルト・リヒター展 東京国立近代美術館-3
ゲルハルト・リヒター展 東京国立近代美術館-4
ゲルハルト・リヒター展 東京国立近代美術館-5
ゲルハルト・リヒター《ビルケナウ》(937-4) 2014年 ゲルハルト・リヒター財団
油彩・キャンバス 260×200cm © Gerhard Richter 2022 (07062022)
ゲルハルト・リヒター《ビルケナウ》(937-1) 2014年 ゲルハルト・リヒター財団
油彩・キャンバス 260×200cm © Gerhard Richter 2022 (07062022)
ゲルハルト・リヒター《ビルケナウ》(937-2) 2014年 ゲルハルト・リヒター財団
油彩・キャンバス 260×200cm © Gerhard Richter 2022 (07062022)
ゲルハルト・リヒター《ビルケナウ》(937-3) 2014年 ゲルハルト・リヒター財団
油彩・キャンバス 260×200cm © Gerhard Richter 2022 (07062022)
ゲルハルト・リヒター展 東京国立近代美術館-1
ゲルハルト・リヒター展 東京国立近代美術館-1
ゲルハルト・リヒター展 東京国立近代美術館-1
ゲルハルト・リヒター展 東京国立近代美術館-1
ゲルハルト・リヒター展 東京国立近代美術館-1

この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION

現代アートの巨匠、大規模個展開催
ドイツが生んだ現代アートの巨匠ゲルハルト・リヒター(1932-)。本展は、1960年代に本格的に活動を開始して以来、世界のアートシーンの最前線を走り続けてきたリヒター待望の大規模個展として、日本の美術館では16年ぶり、東京・愛知では初めての開催となります。
リヒターは、人がものを見て認識する原理や条件を問い直すために、具象絵画、抽象絵画、写真(やその上に描いた作品)、ガラスや鏡を用いた作品、映像作品など、多岐にわたる表現方法で制作を続けてきました。本展は画家が90歳を迎える2022年に、自ら愛蔵してきた作品群を中心に、60年にわたる画業を紐解きます。


近年の重要作品、《ビルケナウ》日本初公開
とりわけ注目すべきは、日本初公開の大作、《ビルケナウ》(2014 年)。第二次世界大戦時、ユダヤ人強制収容所でひそかに撮られた写真のイメージを出発点として描かれた、幅2 メートル×高さ2.6 メートルの作品4 点で構成される巨大な抽象画です。
リヒターの心をずっと捉え続けながら、直接的にはなかなか取り組むことのできなかった「ホロコースト」という積年の関心事を主題に、2014 年、ついにリヒターはこの大作を完成させました。この近年の重要作品と目されている作品が、これらとしばしば組み合わせて展示される鏡、絵画と同寸法の写真作品とともに、この度日本で初めて公開されます。

ゲルハルト・リヒター(1932年~)
東部ドイツ、ドレスデンに生まれる。ベルリンの壁が作られる直前の1961 年に西ドイツへ移住、デュッセルドルフ芸術アカデミーへ入学。コンラート・フィッシャーやジグマー・ポルケと交流。「資本主義リアリズム」と呼ばれる運動の中で独自の表現を発表し、注目を集める。その後、イメージの成立条件を問い直す多岐にわたる作品制作を通じて、ドイツ国内のみならず、世界で評価されるようになった。これまで、ポンピドゥー・センター(パリ、1977 年)、テート・ギャラリー(ロンドン、1991 年)、ニューヨーク近代美術館(2002年)、テート・モダン(ロンドン、2011 年)など世界の名だたる美術館で個展を開催。現代で最も重要な画家としてその地位を不動のものとしている。
日本での大規模個展は、2005-2006年にかけて金沢21 世紀美術館、DIC 川村記念美術館で開催されて以来、実に16年ぶり。

開催概要EVENT DETAILS

会期 2022年6月7日(火)~2022年10月2日(日)
会場 東京国立近代美術館 Google Map
住所 東京都千代田区北の丸公園3-1
時間 10:00~17:00
  • (金・土曜は10:00-20:00)
    ※入館は閉館30分前まで
    ※ただし、9月25日(日)~10月1日(土)は
    10:00-20:00で開館します
休館日 月曜日 
[ただし9月19日、9月26日は開館]、9月27日(火)
観覧料 一般 2,200円
大学生 1,200円
高校生 700円
  • ※中学生以下、障害者手帳をご提示の方とその付添者(1名)は無料
    ※本展の観覧料で入館当日に限り、同時開催の所蔵作品展「MOMATコレクション」も観覧できます
TEL050-5541-8600(ハローダイヤル)
URLhttps://richter.exhibit.jp/

東京国立近代美術館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION

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巡回展TRAVELING EXHIBITION

ゲルハルト・リヒター展 巡回情報
※巡回先は、全情報が載っていない場合もございます。最新の巡回先一覧は、展覧会公式サイトなどでご確認いただけますよう、お願いいたします。
また、会期が変更など開催情報に変更が生じる場合がありますので、お出かけの際には、公式サイトにて最新情報をご確認ください。

感想・評価 | 鑑賞レポートREVIEWS

5.0

型を壊し続けるアーティスト

なぜゲルハルト・リヒターが現代最高の画家と言われるのかがよくわかる、壮大で実験的な作品であふれた展覧会だった。

ゲルハルト・リヒターの作家性を簡潔にまとめると、一つは芸術へのあくことなき挑戦であり、もう一つは、宗教心の強さに起因している。

型という観点から、ゲルハルト・リヒターを見ると面白い。

ゲルハルト・リヒターには、フォトペインティングという型はあるが、その型に固執することなく、型を壊し続けている。

例えば、抽象絵画の巨匠、ロスコは、二つの色がせめぎ合う巨大な絵画を描き続けた。

ゲルハルト・リヒターも同じように、フォトペインティングを描き続ける道もあったし、むしろその方が、評価された可能性が高い。

理由は簡単でわかりやすいからである。

アートとビジネスは似ていると言われるが、わかりやすさが大切な点も同じである。

しかし、ゲルハルト・リヒターは、一つの方に固執せずにむしろ進んで破壊を続けた。

破壊と創造という点から見ると、パブロ・ピカソ以来の希代のアーティストと言っても過言ではないだろう。

REPORT

たまたま知ったリヒターは、「偶然」を大事にする人だった

リヒターを知ったのは

2019年、同じ東京国立近代美術館の
「窓展」でした。

《8枚のガラス》(2012)
が、展示されていて

それにしても大きな
ガラスだなって思ったら

「このガラスに写った
反射を観るんです」
と、キュレーターさんが…readmore

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morinousagisanさん、さいさん

4.0

「良かった~」って言ってもいいのかな・・・?

それっぽい書店や、書店のその手のコーナーに行くと、リヒター関連の書籍で埋め尽くされている状態が4月頃から見受けられ、その時点で「自分なんかが行ってもいいのかしら・・・?」とかなりビビッていた。でも実際見た印象としてはストレートな球投げられてる感じ。あれ?・・・難しい?・・・難しいことがわかんないとだめなのか?普通にキャッチ―な感じ、とか思ったらまずいのか??・・・とみっちり楽しんだ割には、常設展を見る間中若干うつむき加減な心持・・・。
帰ってきて国立近代美術館のHPみたら、渡辺えつこさんというリヒターの教え子の作家さんのインタビューがあって、読んでめっちゃすっきりした!! 私もこの作家さんは結構直球勝負だと思うんだけどなぁ。それと問いが深いってことは別なことだから。
別の日に息子を送り込んで「どう思った?」って聞いたら「ん?良かったよ」という第一声だったから、やっぱり意外ととっつきやすいと思うんだけどなぁ。
逆に「現代美術って難解でとっつきにくいのかと思ってた」って方に是非見てほしい、と思ったのは私だけかなぁ・・・。

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古那可智さん、micco3216さん、morinousagisanさん

5.0

アートは、突き詰めると、抽象画になる?

画家の意思を排除し、すでに存在する”自然”を表現するアブストラクト・ペインティングを見て、モネの睡蓮を起想し、また、若手画家の三浦光雅さんの『d series』も、その系譜に連なる作品だなと気づき、一人感動していました。

4.0

OPEN

自由に歩き回って行き来できる会場で鑑賞できる。
御年90歳の現代アーティストの展示会には、若者の鑑賞者が多い。
オープンマインドさが、こういったスタイルには似合う気がする。

「アブストラクト・ペインティング」というタイトルの作品が多いのも
こちらに見せ方を想像させてくれているようで自由な感じがして心地よい。
ただ「抽象画」というタイトルだと
そこが現代美術の難しさ、となりがちな気がするけれど
「モネに感化されて」などのコメント付きの作品があると
それをヒントに鑑賞できたり。

大胆に塗っているのだけれど、きちんと立ち止まって鑑賞すると
思うよりも多くの色が使われていたりもする。

「ビルケナウ」は、飾られた空間もメッセージ性があった。

1人のアーティストの様々なタイプの作品が見られて
飽きさせない展示だった。

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morinousagisanさん、シンディさん

3.0

現代アートって難しい

ビルケナウってなに? この4枚の絵を散逸させないように「ゲルハルト・リヒター財団」を設立したとのことだけど?? いろいろ謎だったので家に帰ってからいろいろ調べました。結果、私はアーティストにはなれないと改めて実感しました。

4.0

リヒターの楽しみ方

展覧会によくある構成は年代順に並べて画風の変化を説明するものですが、本展はリヒター自身が構成を考えたそうで、年代は全く関係なく、表現手法を中心に構成しています。それも観る順序は設けられていません。
どこから観ても良くて、元に戻ってもう一度観てもいい、自由に巡回しやすいというのは、とても良かったと思います。

リヒターのような抽象絵画を観る時には、何かを読み取ろうと変に解釈することや絵が何かを説明してくれることを期待するのは、やめることにしています。無心に眺めて、自然と感じるものを待つ、というスタンスです。

特にリヒターの場合は、抽象と具象の間を行き来したり、主観を描く絵と客観的に映す写真、反転して写す鏡の組み合わせという手法が取られているので、自分もその手法の中に入り込んで楽しみました。

また本展は写真撮影OKなので、自分なりの角度・距離で写真に撮ったり、鏡に映したものを撮影することで、新たに自分だけの作品を作る楽しみもありました。

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morinousagisanさん、シンディさん

REPORT

答えはきっと奥のほう 心のずっと奥のほう

ゲルハルト・リヒター?
誰それ?
という私みたいな客も押しかけてるようで、平日というのに結構客が入ってました。
そもそも主催が朝日新聞ですから、インテリ層向けな展覧会には違いありません。
読売はまずやりませんね、この手の意識高…readmore

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Salamaさん、にゃんちゅうさん、karachanさん

5.0

言葉に代え難い哲学的アート群

具象表現、抽象表現、作為、無作為……手を変え品を変え、観るということの複雑な提示がされている。興味深いのだが、なんとも言葉に代えにくい。
スキージーを使ったアブストラクトも、鮮やかなラインの集合体〈ストリップ〉も圧倒的だった。フォトペインティングも不思議な魅力だ。
アウシュヴィッツでの隠し撮り写真の画像を塗り込めた〈ビルケナウ〉は、作品だけで無く、グレーのミラー、作品の複製プリントが同じ部屋に配され、その部屋自体も作品と化していたし、そこにいる人もなお作品の一部となり得ていた。
今回は予習をした。記事もあさったし、図録も書店で先に購入して読み込んでから観に行った。
正直、予習は手がかりになりはしたが、誰かの解説は自分の感想には結びつかなかった。言葉でとらえ尽くせるなら、この作品群は存在しないのだろう。実際に観てみなければ得られない作品がそこにはあるのだ。

7/13(水)、10時半入館。並ぶこと無く予約無し窓口購入。
会場内は大きな混雑無し(想像していたより混んではいたが)。
一部を除いて撮影可。
常設展にもリヒター作品あり。

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さいさん

4.0

様々な作品

日曜日の午前中に訪問。若い人を中心に、やや多めの観覧者です。ただ、会場内が比較的広いつくりになっていることや、大型の作品も多いことからストレスは感じません。観覧に順番はなく、好きなところからどうぞとの注意書きがパンフレットにあります。入ってすぐ左側の部屋に話題となっている「ビルケナウ」があります。4枚の大きな絵で空間を圧倒しています。作家は作風や作品をいろいろな手法で作成しており、油彩、写真、ガラスを使った工芸に近い物など、バリエーションが非常に豊富です。抽象的な作品が多く、個人的には少しわかりづらい感じがしました。

REPORT

フォーマリズムを更新した画家、あるいは絵画史をレディメイドにした画家

 最近のリヒターに関する論評は本展に出品された《ビルケナウ》を中心としてドイツ近代史との関係を取り上げたものが多い。確かにその面は重要だが主要な面ではない。リヒターはあくまでもミニマルアートで袋小路に突き当たったフォーマリ…readmore

THANKS!をクリックしたユーザー
morinousagisanさん

5.0

抽象画をコンテクストとあわせて見ること

ゲルハルト・リヒターの名前は、この展覧会の概要を見ても、「現存する最重要芸術家の1人」と説明されるが、それは、彼のキャリアと、それが凝縮された今回の出品作《ビルケナウ》だけでも、十分に味わえると思う。

何が凝縮されているかというと、彼の生まれた国、その歴史(アウシュヴィッツ)、フォトペインティングからの技法、現代美術を見るためのコンテクスト(今回の場合はリヒターの生育環境、美術的自己形成、モチーフの由来とその制作過程)、といったものだ。

逆に、これらを知らずに見ると、アブストラクト・ペインティングは、ただ色の配合や物質性を楽しむ抽象画にとどまる。そのことの是非はいろいろあるだろうけれど、せっかくリヒター作品がこれだけ見られるのだし、今日、ネットだけでもリヒターのことはずいぶん多くを短時間でしることができる。

ぜひ、一定の「予習」をした上で、《ビルケナウ》を見るべきチャンスだと思う。
あの部屋で、あの作品を見ていると、いろんな感情が、不明瞭なまま、わいてきます。

3.0

コンセプチュアルなリヒター

リヒターの作品は今までコマーシャルギャラリーで何度か見たことがありましたが、大きな美術館で見れたのはこれが初でした。巨大な作品が多いのでやっぱり美術館向きだなと思いました。
リヒターの絵は強烈なイメージを残す絵が多いけど、実は結構コンセプチュアルだということも分かりました。
ただし大規模展というにはやや物足りなさも感じましたし、アブストラクト・ペインティングのシリーズ作品の比率が多い感じがしました。そしてそれらの作品(アブストラクト・ペインティングやアラジン、オイル・オン・フォト)は、11月から始まる次の展示、大竹伸朗展に繋がっているようにも見えました。

それと展示作品はほぼすべて撮影可能なせいか、いかにもインスタで"#リヒター展"というタグを付けてポストしてそうなオシャレな若い人が多かったです。

2.0

展示方法に疑問

こちらのリヒター展、かなりの数が写真撮影可能なのですが、そのためほとんど撮影会のようになってしまっていて、ほぼ全員がパシャパシャ撮影しているので、とても展示を見にくい状態です。大型の作品が多いので、近くから遠くから角度を変えてとじっくりみたいのに、撮影する人が次から次へと現れるので気になってじっくり見ることができません。近くにいると写真に入ってしまい邪魔になるでしょうし、遠くにいると撮影待ちの列のようになってしまいます。写真撮影可能なのはいいですが、時間帯や曜日で分けるとかしていただけないでしょうか?これでは作品をしっかり見れません。またグッズ売り場の方が、学生さんのアルバイト?なのかわかりませんが、とても手際が悪いです。レジが3つあって1つは現金専用、2つはカードも可ですが、現金の人は少ないのに、カード可のレジは1つしか開けず、係の人はいるのにずらーっと並んでいても開ける気配もなく。またカード可のレジも1人終わったらお待ちくださいってしばらく待たされてからしか案内されないので、数人並んだだけでもめちゃくちゃ時間がかかります。このようなオペレーションなんとかならないのでしょうか?いろいろとストレスがたまる鑑賞になってしまいました。

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にゃんちゅうさん、komagatayaさん、goliathさん、他1人

4.0

リヒターいい作品は手元に置いておく説

ゲルハルト・リヒター、結構良かったです。

モーリッツくんアレすごく良いです。アレは欲しい。
イイなと思った作品は大体作家蔵で、一番イイやつは手元に置いておくのだなと。
多分もっとイイやつはリヒターが愛蔵しているのだと思われます。
フォトもアブストラクトも初期作が魅力的です。

それにしてもリヒター人気あるんですね。
金曜夜間に伺いましたが若い世代を中心に賑わっていました。
既に土日は混み合っている模様です。
モーリッツくんの部屋が混雑気味。確かにあの一角は大変よろしい。

露出展示も多いので何事もなく会期を全う出来ることを願っています。
ほとんどの作品が写真撮影可能です。

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シンディさん、morinousagisanさん

5.0

日本では16年ぶりの個展、ゲルハルト・リヒター展を竹橋の近美で見る

毎年ゴッホ展はあるが、なぜゲルハルト・リヒターの個展が16年も開催されなかったのか、ということは置いておいて、確かに16年前に佐倉の川村記念美術館で「ゲルハルト・リヒター —絵画の彼方へ—」を見て以来のリヒター展でした。

そして展示はリヒターの取り組んできた手法というかテーマ別に区切られていて、例えば会場に入ってすぐの区画では「アブストラクト・ペインティング」と「ガラスと鏡」とあって、アブストラクト・ペインティングなら1992年作品から2017年の作品が展示されている。というわけで、多少は違った作品があったりはするが、テーマ別にリヒターの絵を拝見できる。

最大の見どころは4点の巨大な抽象画からなる《ビルケナウ》(2014年)で、入口の左側の区画にある。アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所で囚人が隠し撮りした写真を描き写したイメージの上にアブストラクト・ペインティングの手法で上書きした作品。同じ区画に隠し撮りされたあまり鮮明ではない元となる写真が4点、並んでいるので、見る側はつい、どこに隠れているのかと、時間をかけて見てしまう作品です。

リヒターの作品をコレクションしている美術館が増えているが、これだけまとめてリヒターの作品を拝見できるのは、滅多にないチャンスです。基本写真撮影がOKなのもうれしいところ。個人的には次の巡回先の豊田市美術館でも見てみたい、と思います。

5.0

ゲルハルト・リヒターについて(事前の勉強用にまとめました)

ゲルハルト・リヒター Gerhard RICHTER (b.1932、存命中、現在90歳)

 1932年、旧東ドイツのドレスデンに生まれる。ベルリンの壁ができる1961年(29歳)の直前に、西ドイツのデュッセルドルフに移住。
 東ドイツ時代には壁画などを制作していたが、当時は西側への旅行も比較的自由でその自由な表現に触れ、社会主義リアリズム(注1)に嫌気がさしていたともいわれている。(当時、社会主義諸国では、デフォルメされた表現や抽象画など前衛表現は「ブルジョワ的」と国から認められず、ひっそりと制作せざるを得ない状況だった。)
 西ドイツに移住してからは、特に米国のポップアート(注2)や抽象表現主義(注3)などの前衛美術に強い影響を受けて制作した。

 リヒターは時代ごとに表現スタイルを変えており、また、それら複数の表現スタイルを並行的に制作している。西側に移住した初期は「フォトペインティング」(注4)と呼ばれるシリーズを制作。1966年(34歳)ごろからは、「カラーチャート」(注5)と呼ばれるシリーズ、ガラス板による作品(注6)、「グレイ・ペインティング」(注7)と呼ばれるシリーズをほぼ同時並行的に制作。また、膨大な量の写真やコラージュ、スケッチをアーカイヴし、これは「アトラス」シリーズと呼ばれた。(なお、このシリーズは、作品というよりも作品を作るための資料集という位置づけもあると思われる。)
 1976年(44歳)ごろからは、「アブストラクト・ペインティング」(注8)と呼ばれるシリーズの制作を開始した。
 他には、1980年代後半から制作され始めた「オイル・オン・フォト」(注9)と呼ばれるシリーズもある。

 リヒターはこのように、様々なスタイルの絵画を制作しているのが、他の画家との大きな違いである。(このように幅の広い様式を試みているのは他にはピカソぐらい。)多くの美術評論家がリヒターを論じているが、その中である評論家は、マルセル・デュシャンから大きな影響を受けているとしている。以下、その概略を噛み砕いて述べる(私の解釈も混じっています)。
 デュシャンは、それまでの絵画(ペインティング)中心の美術を大きく舵を切ったので、現代アートの父と呼ばれている。デュシャンは、印象派以降の視覚を偏重した美術を批判し、オブジェやレディメイド(既製品:例えば男性用小便器を横に倒しただけ… Read More

THANKS!をクリックしたユーザー
Salamaさん、morinousagisanさん、Audreyさん、シンディさん

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出展作品・関連画像IMAGES

ゲルハルト・リヒター《ビルケナウ》(937-4) 2014年 ゲルハルト・リヒター財団
油彩・キャンバス 260×200cm © Gerhard Richter 2022 (07062022)

ゲルハルト・リヒター《ビルケナウ》(937-1) 2014年 ゲルハルト・リヒター財団
油彩・キャンバス 260×200cm © Gerhard Richter 2022 (07062022)

ゲルハルト・リヒター《ビルケナウ》(937-2) 2014年 ゲルハルト・リヒター財団
油彩・キャンバス 260×200cm © Gerhard Richter 2022 (07062022)

ゲルハルト・リヒター《ビルケナウ》(937-3) 2014年 ゲルハルト・リヒター財団
油彩・キャンバス 260×200cm © Gerhard Richter 2022 (07062022)

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