5.0
もっとお客さんがいてもいいのに
タイトル通り、もっとお客さんがいてもいいのに!と思うくらい大満足でした。とはいえ、隣のモネ展は長蛇の列でしたので、ゆったり鑑賞できたのはラッキーです。福田平八郎という画家は知らなかったけれど、美術館を出る頃には図録を買ってしまうほど魅了されました。
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大分市に生まれた福田平八郎(1892~1974)は、18歳のとき京都に出て絵を学びました。自然を隅から隅まで観察した写実的な作品で評価を得たのち、昭和7年(1932)に《漣》(重要文化財、大阪中之島美術館蔵)を発表し、その大胆な挑戦で人々を驚倒させました。その後も《竹》(京都国立近代美術館蔵)や《雨》(東京国立近代美術館蔵)など、色や形、視点や構成に趣向を凝らした作品を制作し「写実に基づく装飾画」という新しい時代の芸術を確立しました。
大阪の美術館では初、関西でも17年ぶりの回顧展となる本展は、代表作や所蔵館以外では初公開となる《雲》(大分県立美術館蔵)など、初期から晩年までの優品約120件を展示しその魅力に迫ります。また「写生狂」を自称した画家の瑞々しい感動やユニークな目線を伝えるスケッチ類も紹介して名作誕生の背景を探ります。
見るものに今も新鮮な驚きを与え、自然美への共感を誘う平八郎の明るい世界にどうぞご期待ください。
◆《漣》(重要文化財)展示に関するお知らせ
【4月9日(火)ー4月23日(火)の期間、作品保護のため《漣》(重要文化財)の展示を一時休止します。
4月24日(水)から展示を再開し、その後5月6日(月・休)の閉幕まで展示します。】
会期 |
2024年3月9日(土)~2024年5月6日(月・振)
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会場 | 大阪中之島美術館 Google Map |
展示室 | 4 階展示室 |
住所 | 大阪府大阪市北区中之島4-3-1 |
時間 |
10:00~18:00
(最終入場時間 17:30)
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休館日 |
月曜日 ※ただし4月1日、4月15日、4月22日、4月29日、5月6日は開館 |
観覧料 | 一般 1,800円(前売・団体 1600円) 高大生 1,000円(前売・団体 800円) 中学生以下 無料 大阪中之島美術館メンバーシップ会員の無料鑑賞/会員割引対象
|
TEL | 大阪市総合コールセンター 06-4301-7285(受付時間:8:00〜21:00 年中無休) |
URL | https://nakka-art.jp/exhibition-post/fukudaheihachiro-2023/ |
5.0
タイトル通り、もっとお客さんがいてもいいのに!と思うくらい大満足でした。とはいえ、隣のモネ展は長蛇の列でしたので、ゆったり鑑賞できたのはラッキーです。福田平八郎という画家は知らなかったけれど、美術館を出る頃には図録を買ってしまうほど魅了されました。
ずっと行きたいと思いつつ、何とか最終日の1時間前に駆け込んだ。忘れないうちに書いておこうと思う。写生や細やかな描写にはじまり、抽象の様な、愛らしい表現にうつっていく流れが圧巻だった。
ちょうど図書館で昔の図録を借りていた為…readmore
4.0
福田平八郎の作品で見たことがあるのは東京国立近代美術館蔵の《雨》ぐらいなんですが、この作品、何度か竹橋の近美で見て記憶に焼き付いている。ほかの作品もまとめて拝見できるなら、大阪に行ってもいいなあ、と思っていました。KYOTOGRAPHIEを見ることにしたので、合わせ技で京都・大阪へ。
印象深いのは冒頭「第1章 手探りの時代」で、福田平八郎が福田平八郎になる前の助走期間にいろんなタイプの絵を描いていること。南画風もあるし、土田麦僊と似た作品や、琳派風もある。色々と試して、どれもいい感じですが、そこから写実表現を極め、そして装飾性へと向かうというのが興味深い。《漣》や《竹》《雨》などの名作を生み出すわけです。あと第二次世界大戦中の作品がほとんど静物画で、あまり戦意高揚感がないのが印象深い。いろいろと謎は増えましたが見に来て良かった。
大阪中之島美術館に到着したとき、入場待ちの行列が美術館の外にはみ出ていて、少々驚きました。まあ、その行列はモネ展のもので、安心はしたのですが、いまどき、こんなに行列を作るというのは、システム上問題があるなあと思います。平八郎展はそんなに混んではいませんでした。ただ、ここの券売システムはカオスなので、前売りを購入しておいて正解でした。いくつかの作品は撮影OKで、それもいい感じです。
4.0
写実を突き詰めると、その本質を見つめ、削ぎ落されて抽象になる。日本画、西洋画の違いを超え、この法則は普遍的な気がします。
葛飾北斎が大海原を見つめ、水しぶきを上げる大波をデフォルメした(本質を捉えた)ように、福田も水の表層を見つめ抜いた結果、生まれた「漣」の色、形、構図(トリミング)は計算し尽くした表現となっていることが分かりました。レオナルド・ダ・ヴィンチが水の流れ、動きを研究したように、画家が変幻自在に形を変える水に興味を持つ、ここにも1つの真理が隠れている気がします。
「安石榴」のキャプションを読んでいると、「榊原紫峰」の影響とあり、驚きました。私自身、「榊原紫峰」については、昨年10月に開催された京都国立近代美術館の京都画壇の青春展で「白梅」を初めて見て、そこで知り、心奪われた画家で、それ以外の作品をほとんど知らないものですから、影響ってどの辺?となりました。早速ネットで調べ、足立美術館の「青梅」という作品を見ると納得、陰影や鮮やかな色彩に共通性を感じました。
第2章写実の探求で「双鶴(大正12年)」と第3章鮮やかな転換で「双鶴(昭和10年)」をちょっと距離が離れていましたが、何度か往復して見比べてみました。写実の双鶴は、本当にうまくて、無背景に頭と足が大きく描かれ、安定感のある双鶴でした。一方、装飾の双鶴は足元の水辺が意匠的で鶴自体は一見写実的に見えましたが、写実の双鶴と比べるとやはり顔の表情が装飾的になっていることが分かりました。同じモチーフで比較するとより変遷が理解できました。
日本的なモチーフとして「花菖蒲」を繰り返し描かれており、装飾的な変遷を見ると、尾形光琳の「燕子花図屏風」の影響を考えてしまいます。花の形の中に型紙を使った装飾的な花びらはあるのかなと思い見ましたが、微妙に異なり1つとして同じ形はありませんでした(見逃しているだけかもしれないが)。
そもそも、「菖蒲」と「かきつばた」は似ているけど違う花だということを今回の学びではっきりしました。「あやめ」も含めて違いを検証すると、
【花びらの付け根】・あやめ:網目状 ・菖蒲:黄色 ・かきつばた:白い筋
【育つ場所】 ・あやめ:陸地 ・菖蒲:水辺 ・かきつばた:水の中
【開花時期】 ・あやめ:5月中-下旬・菖蒲:6-7月中旬・かきつばた:5月中旬
「… Read More
4.0
福田平八郎、良かったです!
同時代の作家に漏れず狩野派、円山四条派、琳派なんかを学んだりして結構良い絵を描いているんですけど
平八郎の場合、ここぞというときに、漣、雨、雲、といった
モダンアートともポップアートともつかないとんでもない怪作をぶっ込んでくるのがスゴイとこ。
怪作なんだけどわけわかんないカッコ良さがありますよねぇ。
会期後半ですが夕方遅くは人もかなり減って見やすかったです。ショップは展示室より混んでた。
漣を含む数点が写真撮影可能でした。
4.0
本展でも示されているように、福田平八郎の表現は色彩や抽象性が特徴的で、デザイン的ですらある。しかしそれは徹底して写実性を追求した結果として到達した表現なのだった。流動的な現象を描出しようとするとき、福田の表現はとくに斬新で《漣》のような抽象度の高い表現になる。たしかに、不定形な水の表現には、画面の外側まで無限に広がり続けるような模様的な表現はしっくりくるものだった。
釣りが好きだったという福田平八郎の作品にはしばしば魚があらわれる。そのようなモチーフの反復そのものが対象への好意を感じさせるが、植物や果物などの描写も同様、なによりあのふんわりと軽やかな色彩感覚と余白感が忘れがたい。一連の作品やスケッチからは、個人的には、福田自身が対象に感じている愛おしさのようなものを思わずにはいられなかった。福田平八郎の絵画には、描く対象への彼の愛情も感じられる気がする。
5.0
再訪。今回は時間をかけて展示を見て回ることができた。
写実は西洋で生まれたものだけれど、鳥の羽のグラデーションや羊の毛の質感、水底に沈む魚などは、日本の画材のほうがリアルに捉えられているような気がした。
柿は広告のようなきれいなの、美味しそうなのじゃなくて白い粉を吹いており、また葉っぱは穴が空いていたり変色したりしていて、そこに全てのモノをフラットに見つめる神様のような福田の視線を感じた。私のような人間も見てもらえているような気がし、私は福田から見たらどんな葉っぱなんだろうと思った。
前回「漣」が飾ってあった場所には複製が掲げられており、再見できなかったのは残念だったが、入場者には「漣」が復活した後で使える割引券が配布され、心遣いを感じた。見られなかった分、「漣」があしらわれたグッズを買いまくった。また「漣」に巡り会えるといいなと思った。人はいつか死ぬけれども、絵画は守っていけば生きているうちにまた会うことができる。
心が満たされる充実した展覧会だった。
5.0
東京駅から新幹線で日帰り弾丸ツアーを敢行しました。目的はただ一つ、大好きな福田平八郎展。開催前から作品の入れ替え内容を確認し、スケジュール調整をし、新幹線の予約をし万全の態勢を整えていたのに、『漣』が作品保護のために展示中断とのニュース。マジか!イヤでも平八郎は漣だけじゃないし、漣は過去何度か見ているので今回は仕方ない。予定通り大阪まで行きましたが、やはり行って良かったです。
今回は大分県立美術館所蔵の作品が多く、今まで見たことのないものを沢山見ることが出来ました。特に下絵やスケッチは画家の素が垣間見えて大変興味深く、面白かったです。
大好きな『雨』も久しぶりに目にしました。降り出した雨の匂いや瓦に当たる雨粒の音も感じられる唯一無二の作品と思います。平八郎サイコー!心の栄養補給が出来ました。またしばらく頑張れます。
4.0
デザイン性が高く現代的。
初期からそういう画風ではなかったが、次第に簡略化されていく。
私が好きな、寒色系の色が多かったからというのも福田平八郎に
惹かれた理由の一つかもしれない。
尾形光琳の影響を受けていそうなことも、理由の一つ。
1892年から1974年に生きた画家なので
近代の日本人アーティストなのだけれど、
またこういった画家を知ることができて嬉しい発見。
またどこの展示で出会えるかなあ
去年ぐらいから中之島美術館で告知チラシが配布されていた福田平八郎。
初めて知った画家です。
むしろ「へぇ、奉行でありながら絵も描くなんて渡辺崋山みたい」なんてわけのわからないことをつぶやいていました(奉行は大塩平八郎ですね)
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4.0
インパクトがすごい。存在感が抜群。単純かと思いきや、すごく繊細に出来ていて思わず見入ってしまいます。やっぱり「漣」はすごい。本当の水面を見ているような気持ちになります。個人的には署名が太くしっかりする前あたりまでが好きです。しっかりするとちょっと飛んでいってるような気がしないでもない(笑)
用事の開始時間を30分間違えて目的地に早く着きすぎたため、時間を潰そうと来る時に前を通った大阪中之島美術館へ入った。美術館ではモネ展と福田平八郎展が同時開催されていた。折角ノーマークで入ったので、それを貫き通そうと思い、全…readmore
京近美所蔵の「花の習作」や雨が降り始めて瓦にポツポツと落ち始めた瞬間を描いた東近美所蔵の「雨」を見る機会があり、この日本画家は「トリミング」の人なのかと思い込むようになっていました。
2007年に京国美で開催された平八郎の展覧…readmore
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