5.0
平八郎の視線
再訪。今回は時間をかけて展示を見て回ることができた。
写実は西洋で生まれたものだけれど、鳥の羽のグラデーションや羊の毛の質感、水底に沈む魚などは、日本の画材のほうがリアルに捉えられているような気がした。
柿は広告のようなきれいなの、美味しそうなのじゃなくて白い粉を吹いており、また葉っぱは穴が空いていたり変色したりしていて、そこに全てのモノをフラットに見つめる神様のような福田の視線を感じた。私のような人間も見てもらえているような気がし、私は福田から見たらどんな葉っぱなんだろうと思った。
前回「漣」が飾ってあった場所には複製が掲げられており、再見できなかったのは残念だったが、入場者には「漣」が復活した後で使える割引券が配布され、心遣いを感じた。見られなかった分、「漣」があしらわれたグッズを買いまくった。また「漣」に巡り会えるといいなと思った。人はいつか死ぬけれども、絵画は守っていけば生きているうちにまた会うことができる。
心が満たされる充実した展覧会だった。