没後50年 福田平八郎
大阪中之島美術館|大阪府
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こんなに良い展覧会久々だった。
ずっと行きたいと思いつつ、何とか最終日の1時間前に駆け込んだ。忘れないうちに書いておこうと思う。写生や細やかな描写にはじまり、抽象の様な、愛らしい表現にうつっていく流れが圧巻だった。
ちょうど図書館で昔の図録を借りていた為、旅行がてら大分に行けば良いか……と諦めかけていたのだけれど、実物の作品の良さと凄みを感じられた事がしあわせだった。振り返るほど作品の記憶があたたかくも爽やかに、湧き上がってくるので、一体これは何なのだろう?と興味深い体験をしている。洋画や博物館等で一度に大量に見るのもいいのだけれど、一人の作家の変遷を一度にみるのは、ただひたすら有り難い時間だった。日本画と福田平八郎の作風なのか、軽やかに満たされた感覚に包まれている。また振り返る程に「雲」の凄さに圧倒されている。とはいえ、重さは無い。あの絵の方が良いとか、勝ち負けの様な凄みもないのが不思議だ。初期の「夜桜」や猫や動物たちの作品から感じた、生き物へ対する愛情なのか、描いている時に起こるエクスタシーとでもいうのか、曲線に宿る何かに吸い込まれてしまうような妖艶さを感じる作品も多かった。近くでみるのが好きなので、いくつかの作品はガラスに曇りが多く、知らない誰かの動きに、笑ってしまった。スタッフの方がとても丁寧にガラスを磨いてくださっていて、有り難いけれど、作家以外の人の痕跡もまた興味深かった。今後は2回訪れる様にスケジュールを調整したいものです。3周くらいはしたのだけれど、やはりはやめに出かけて、ソファーで休憩もとり、噛みしめる様に何度もぐるぐるみたかったので、少し後悔もある。素敵な作品群は勿論、展示の構成が最高でした。本末転倒だけれど、より大分にも見に行きたくなってしまった。書籍ではわからない実際のサイズを体感出来るのも、やはり美術館に行く醍醐味だなぁと、平八郎より古い時代の、日本画作品への欲望も目覚めさせてもらった。帰りの川の水の見え方が変わっていて、こんな心地良い展覧会があるのだなぁ……と不思議な余韻に浸っている。
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