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約3年の休館を経てついにリニューアル・オープン
1914年を起点に“日本の美術史100年”を再考する

ヨーロッパでは第一次世界大戦が始まり、日本では反官展を標榜する二科会が結成された
1914年以降の日本の美術史100年を「編集」をキーワードに14の章立てで構成

内覧会レポート

桂ゆき《抵抗》1952
桂ゆき《抵抗》1952

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約3年にわたる休館を経て、2019年3月29日にリニューアル・オープンを迎えた東京都現代美術館。3月27日に開催されたプレス内覧会での発表を元に、その見所を紹介したい。今回のリニューアルの大きな目玉となるのが以下2つの記念展の開催だ。

リニューアル・オープン記念展 企画展
「百年の編み手たち -流動する日本の近現代美術-」
開催期間: 2019年3月29日(金)~2019年6月16日(日)
リニューアル・オープン記念展 コレクション展
「MOTコレクション ただいま/はじめまして」
開催期間: 2019年3月29日(金)~2019年6月16日(日)
リニューアル・オープン記念展 企画展 展示風景
リニューアル・オープン記念展 企画展 展示風景

「百年の編み手たち -流動する日本の近現代美術-」は、「編集」をキーワードにして、第一次世界大戦が開戦した1914年以降の100年間を再考する内容となっている。

ヨーロッパで第一次世界大戦が始まり、日本では、反官展を標榜する二科会が結成された1914年を起点として、関東大震災、第二次世界大戦を経て60年代の高度成長期から80年代、90年代から現在にいたる100年間を14の章立てで構成している。

岸田劉生《椿君に贈る自画像》1914/横尾忠則《腰巻お仙》(劇団状況劇場)1966
(左)岸田劉生《椿君に贈る自画像》1914/(右)横尾忠則《腰巻お仙》(劇団状況劇場)1966
森村泰昌《肖像(少年1、2、3)》1988
森村泰昌《肖像(少年1、2、3)》1988

タイトルにある「編み手」とは美術家たちのこと。多くの要素を取捨選択して創作する美術家のスタンスを指しており、岸田劉生から現代に生きる作家まで、東京都現代美術館のコレクションを元に歴史を再考する試みとなっている。

奈良美智、会田誠、村上隆、ヤノベケンジ、オノ・ヨーコ、森村泰昌、横尾忠則、吉原治良、白髪一雄、三島喜美代、ホンマタカシ、名和晃平、風間サチコ、Chim↑Pom、梅沢和木など、日本の近現代美術を語る上で欠かせない作家たちの作品が展示される。

リニューアル・オープン記念展 企画展 展示風景
リニューアル・オープン記念展 企画展 展示風景

企画展示室3フロアすべてを使ったぜいたくな展示で見応えは十分。絵画、インスタレーション、写真、映像作品が並ぶ広範な会場を自分の足で歩くことで、日本の美術の変遷と発展、奥深さを体感できる内容となっている。

おなじみのリキテンスタイン作品も「ただいま」、あらたに収蔵の作品が「はじめまして」。コレクション展も充実の見応えで開催。

中園孔二《無題》2012
中園孔二《無題》2012

コレクション展「MOTコレクション ただいま / はじめまして」では、主に2010年代に制作された作品をメインに展示する。

東京都現代美術館では現在、約5400点の作品を収蔵しており、その範囲は、戦後美術を中心に、近代から現代に至る幅広いジャンルに及ぶ。この3年弱に及ぶ休館中に、約400点の作品が新たに収蔵され、今年度のコレクション展では、第一弾として、主に2010年代に制作された作品群に焦点を当てている。

その中でも、もちろん、東京都現代美術館の代名詞とも言えるロイ・リキテンスタインの『ヘア・リボンの少女』や、宮島達男の『それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く』も鑑賞できる。

略称である「MOT」をキャッチーに表現した仲條正義氏のデザインがおなじみのロゴに「+(プラス)」を加えた、1年間限定の新ロゴが登場!

美術館の活動にさらなる「+」(プラス)を。仲條正義氏による、1 年間限定で使用するリニューアル・オープン記念のロゴデザイン
美術館の活動にさらなる「+」(プラス)を。仲條正義氏による、1 年間限定で使用するリニューアル・オープン記念のロゴデザイン

今回のリニューアルでは、館内の壁や床などの更新に加えて、エレベーターの増設や多目的トイレの拡充によるバリアフリーの推進、照明のLED化による環境負荷の低減、子ども向けの美術書を集めた「こどもとしょしつ」や映像資料の閲覧ができる「メディアブース」の新設などが実施された。

子ども向けの美術書を集めた「こどもとしょしつ」Photo: Kenta Hasegawa
子ども向けの美術書を集めた「こどもとしょしつ」 Photo: Kenta Hasegawa

リニューアルを記念して1年間限定の新ロゴも発表された。東京都現代美術館のロゴといえば、略称である「MOT」をキャッチーに表現した仲條正義氏のデザインがおなじみだが、今回のリニューアルから1年間は「+(プラス)」を加えた新ロゴが使用される。

今まで以上にアートを体感できる場となった東京都現代美術館。春の行楽にはぴったりのスポットだ。

美術館・展覧会情報サイト アートアジェンダ 展覧会情報(1)
リニューアル・オープン記念展 企画展
「百年の編み手たち -流動する日本の近現代美術-」
開催期間: 2019年3月29日(金)~2019年6月16日(日)
美術館・展覧会情報サイト アートアジェンダ 展覧会情報(2)
リニューアル・オープン記念展 コレクション展
「MOTコレクション ただいま/はじめまして」
開催期間: 2019年3月29日(金)~2019年6月16日(日)

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