2024年上半期に開催スタートの注目の
展覧会を一挙ご紹介!(第1弾は関東版)
「マティス 自由なフォルム」「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」「本阿弥光悦の大宇宙」
「フランク・ロイド・ライト―世界を結ぶ建築」「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展 」「MUCA(ムカ)展 」ほか
新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
今年も新しい年のはじめに、アートアジェンダがお薦めする、2024年の上半期(1~6月)に始まる13の注目の展覧会をご紹介します。 第1弾は、東京他で開催される関東エリアの展覧会の紹介です。(第2弾 関西&全国版のおすすめ展覧会は こちらから)-
2024年上半期の関東版では、2021年に開催予定のところ新型コロナウイルス感染拡大の影響により延期となっていた「マティス 自由なフォルム」展の開催のほか、アメリカの地でも花開いた“アメリカ印象派”を、ほとんどが初来日の作品で紹介する「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」、戦乱の時代に、書・漆工・陶磁などの革新的で傑出した品々を生み出した本阿弥光悦を掘り下げる特別展「本阿弥光悦の大宇宙」など、見ごたえが期待できる展覧会の数々を紹介しています。
ぜひ、アートアジェンダ展覧会情報 をご参考にしていただいて、今年もたくさんの美術館・展覧会をお楽しみください。
マティスの「切り紙絵」に注目した個展。日本では極めて稀な、マティスによる切り紙絵のまとまった展示が、国立新美術館にて開催
昨年4月から8月まで、東京都美術館にて、アンリ・マティスの大回顧展が開催されましたが、国立新美術館では、マティスの「切り紙絵」に注目した個展が開催されます。
20世紀最大の巨匠の一人アンリ・マティス(1869-1954)は、後半生を過ごした南フランス・ニースにて、さまざまな色が塗られた紙をハサミで切り取る技法「切り紙絵」による作品を精力的に制作し、新たな芸術表現を切り拓きました。
本展は、その切り紙絵の重要なコレクションを誇るフランスのニース市マティス美術館の全面協力を得て、マティスの切り紙絵に焦点を当てながら絵画、彫刻、素描、版画、テキスタイルなど約150点余を紹介するものです。
- 2023年上半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関東版(1)
- 「マティス 自由なフォルム」展
開催美術館:国立新美術館
開催期間:2024年2月14日(水)~5月27日(月)
150年前にフランスで生まれた印象派が、大西洋を越えてアメリカの地でも花開いた、知られざる“アメリカ印象派”の魅力を紹介する展覧会
19世紀後半、大都市パリには国外からも多くの画家が集いました。パリで印象派に触れ、学んだ画家たちは、新しい絵画の表現手法を自国へ持ち帰ります。本展は、西洋美術の伝統を覆した印象派の革新性とその広がり、とりわけアメリカ各地で展開した印象派の諸相に注目します。
アメリカ・ボストン近郊に位置するウスター美術館は、1898年の開館当初から印象派の作品を積極的に収集してきました。このたび、ほとんどが初来日となる同館の印象派コレクションを中心に、日本でもよく知られるモネ、ルノワールなどフランスの印象派にくわえ、ドイツや北欧の作家、国際的に活動したサージェント、さらにはアメリカの印象派を代表するハッサムらの作品が一堂に会します。
This exhibition was organized by the Worcester Art Museum.
- 2023年上半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関東版(2)
- 印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵
開催美術館:東京都美術館
開催期間:2024年1月27日(土)~4月7日(日)
本阿弥光悦が、篤い信仰のもと確固とした精神に裏打ちされた美意識によって作り上げた諸芸の優品の数々を紹介する特別展「本阿弥光悦の大宇宙」
「異風者(いふうもの)」(『本阿弥行状記』)といわれた本阿弥光悦(ほんあみこうえつ 1558-1637) は、戦乱の時代のなかで、書・漆工・陶磁などさまざまな造形にかかわり、革新的で傑出した品々を生み出しました。一方で、光悦の世界は大宇宙(マクロコスモス)のごとく深淵で、その全体像をたどることは容易ではありません。
本展では、光悦自身の手による書や作陶にあらわれた内面世界を紹介するとともに、光悦と工匠たちが篤く信仰した当代の法華衆の社会についても注目し、造形の世界の最新研究と信仰のあり様とを照らしあわせることで、総合的に光悦を見通そうとするものです。
- 2023年上半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関東版(3)
- 特別展「本阿弥光悦の大宇宙」
開催美術館:東京国立博物館
開催期間:2024年1月16日(火)~3月10日(日)
世界を横断して活躍した、アメリカ近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライトによる華麗で精緻なドローイングの展示を中心とした展覧会
アメリカ近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライト(1867‒1959)。「カウフマン邸(落水荘)」や「グッゲンハイム美術館」で知られるライトは、「帝国ホテル二代目本館」(博物館明治村に1976年、一部移築保存)や「自由学園」を手がけ、熱烈な浮世絵コレクター・ディーラーの顔も持つ、日本と深い縁で結ばれた建築家です。
本展はケン・タダシ・オオシマ氏(ワシントン大学教授)とジェニファー・グレイ氏(フランク・ロイド・ライト財団副代表、タリアセン・インスティテュート・ディレクター)を迎えて日米共同でキュレーションを行ない、ライトが日本で実現した大作、帝国ホテル二代目本館が1923年の竣工から100年を迎えるのを機に、グローバル・アーキテクトの先駆としてライトを紹介します。
展覧会では、本邦初公開となるライトによる華麗で精緻なドローイングを展示の中心とし、帝国ホテルを基軸とした7つのセクションを横断的に紹介することで、ライトが追求した、人と自然と建築の関わり、多様な文化との交流、社会の理想といったテーマが浮かび上がってくることでしょう。
- 2023年上半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関東版(4)
- 開館20周年記念展/帝国ホテル2代目本館100周年
フランク・ロイド・ライト―世界を結ぶ建築
開催美術館:パナソニック汐留美術館
開催期間:2024年1月11日(木)~3月10日(日)
どのように妖怪と向き合い、描いてきたのか。妖怪画制作の具体的手法に注目した、「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展」がそごう美術館にて開催
代表作『ゲゲゲの鬼太郎』をはじめ多くの妖怪作品を生み出した水木しげる(1922-2015)は、「妖怪」という言葉が一般に広がるきっかけを作ったのみならず、その後も長きにわたり妖怪ブームの原動力を担い続けました。水木が描いた日本の妖怪は実に1,000点近くにのぼります。
生誕100周年を機に企画された本展は、これまで開催されてきた数ある水木しげる展の中でも初めて、その妖怪画制作の具体的手法に注目し、水木しげるの豊饒な作品世界を解き明かす内容となっています。百鬼夜行の名にふさわしく、水木の妖怪画100点以上を一挙公開する他、水木が妖怪画を描く参考として収集した書籍や関連資料、妖怪文化人の系譜と著作などを展示します。また、NHK Eテレ「てれび絵本」より本展用に特別編集された「水木しげるの妖怪えほん」、妖怪への思いを語った水木しげるのインタビュー映像を紹介します。
- 2023年上半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関東版(5)
- 水木しげる生誕100周年記念
水木しげるの妖怪 百鬼夜行展 ~お化けたちはこうして生まれた~
開催美術館:そごう美術館
開催期間:2024年1月20日(土)~3月10日(日)
現代の都市空間で発達した新しいアート・視覚芸術、アーバン・アート。そのアイコンとも言える先駆者たちの作品を紹介する「MUCA展」が開催
ドイツ・ミュンヘンの中心部にある変電所跡地に所在し、アーバン・アートや現代アートにおける20・21世紀の最も有名なアーティストの作品を展示しているMUCA。2016年の開館以来、アーバン・アートの分野での作品収集の第一人者として、1,200点以上の作品を収蔵しています。
本展は大分を皮切りに、京都に続く巡回展で、世界でアート作品が注目を集めるバンクシー、ファッションの世界にも作品を通して影響を広げるカウズ、伝説的なグラフィティアーティスト、バリー・マッギーを始め、アーバン・アートのジャンルを切り開いてきた10名の作家にスポットを当て、日本初公開の作品を含む約70点を紹介します。
- 2023年上半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関東版(6)
- MUCA(ムカ)展
ICONS of Urban Art ~バンクシーからカウズまで~
開催美術館:森アーツセンターギャラリー
開催期間:2024年3月15日(金)~6月2日(日)
今や失われた吉原の遊郭における江戸の文化と芸術について、国内外の名品の数々で歴史的に検証し、その全貌に迫る「大吉原展 江戸アメイヂング」
約10万平方メートルもの広大な敷地に約250年もの長きに渡り続いた幕府公認の遊郭 江戸の吉原は、他の遊郭とは一線を画す、公界としての格式と伝統を備えた場所でした。武士であっても刀を預けるしきたりを持ち、洗練された教養や鍛え抜かれた芸事で客をもてなし、夜桜や俄など季節ごとに町をあげて催事を行いました。
約250年続いた江戸吉原は、常に文化発信の中心地でもあったのです。3月にだけ桜を植えるなど、贅沢に非日常が演出され仕掛けられた虚構の世界だったからこそ、多くの江戸庶民に親しまれ、地方から江戸に来た人たちが吉原見物に訪れました。そうした吉原への期待と驚きは多くの浮世絵師たちによって描かれ、蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう)らの出版人、文化人たちが吉原を舞台に活躍しました。
江戸の吉原遊郭は現代では存在せず、今後も出現することはありません。本展では、今や失われた吉原遊郭における江戸の文化と芸術について、ワズワース・アテネウム美術館や大英博物館からの里帰り作品を含む国内外の名品の数々で、歴史的に検証し、その全貌に迫ります。
- 2023年上半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関東版(7)
- 大吉原展 江戸アメイヂング
開催美術館:東京藝術大学大学美術館
開催期間:2024年3月26日(火)~5月19日(日)
日本初&アジア最大規模の個展「シアスター・ゲイツ展」。ゲイツのこれまでの作品と実践の網羅的な紹介により、アートの今日的な重要性を伝える。
米国シカゴのサウスサイド地区を拠点に国際的に活躍するシアスター・ゲイツ(1973年シカゴ生まれ)は、彫刻と陶芸作品を中心に、建築、音楽、パフォーマンス、ファッション、デザインなど、メディアやジャンルを横断する活動で知られています。
本展はゲイツにとって日本初、そしてアジア最大規模の個展となります。これまでの代表作のみならず、本展のための新作を含む、日本文化に関係の深い作品も紹介します。自身の創作の原点ともいうべき、愛知県常滑市で制作した陶芸作品やプロジェクトから、日本の民藝運動と黒人文化の美学を融合するゲイツ独自の哲学である「アフロ民藝」まで、多岐にわたる作品と活動を幅広く展示します。
ゲイツは、土という素材、客体性(鑑賞者との関係性)、空間と物質性などの視覚芸術理論を用いて、ブラックネス(黒人であること)の複雑さを巧みに表現します。黒人文化やその歴史は、日本人の一般的な知識としては希薄かもしれません。しかし本展は、ゲイツのこれまでの作品と実践を網羅的に紹介することで、手仕事、人種への問い、政治、文化のハイブリッド性などを謳うアートの今日的な重要性を伝えます。
- 2023年上半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関東版(8)
- シアスター・ゲイツ展
開催美術館:森美術館
開催期間:2024年4月24日(水)~9月1日(日)
江戸東京博物館の61万点にも及ぶ膨大なコレクションのなかから、どうぶつたちの特徴的な姿や形や、人々と動物との関わりを紹介
江戸幕府創設から400年。過去において、動物と人との関係はもっと縁の深いもので、その姿はさまざまに表現されてきました。将軍の都から帝都へ、人々は動物とどうかかわってきたのでしょうか。
江戸東京博物館の61万点にも及ぶ膨大なコレクションのなかから、その特徴的な姿や形を章ごとに紹介します。2022年パリ日本文化会館で好評を得た展示の内容をさらに拡充させた展覧会です。
- 2023年上半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関東版(9)
- どうぶつ百景 江戸東京博物館コレクションより
開催美術館:東京ステーションギャラリー
開催期間:2024年4月27日(土)~6月23日(日)
監視システムの過剰や精密なテクノロジーのもたらす滑稽さ、人間の深い孤独を感じさせる作品群により、現代アートにおける従来のテーマを捉え直す
展覧会タイトル「遠距離現在」は、ソーシャル・ディスタンシングや非対面コミュニケーションといったコロナ禍社会の条件はもちろんのこと、資本と情報が世界規模で移動する今世紀の状況をふまえたものでもあります。展示予定作品の多くは2020年以前のものですが、監視システムの過剰や精密なテクノロジーのもたらす滑稽さ、また人間の深い孤独を感じさせる作品群は、今の時代、あるいはこれからのポストコロナ時代の世界と真摯に向き合っているようにも見えます。
本展は、全世界(Pan-[全..., 汎... の意])の規模と、非対面の遠隔(Remote)という二つの視点から、グローバル資本主義やデジタル化社会といった現代アートにおける従来のテーマを新たに捉えなおすものです。
1.「Pan- の規模で拡大し続ける社会」、2.「リモート化する個人」の構成からなる本展では、このような社会的条件が形成されてきた今世紀の社会の在り方について取り組んできた作家の作品を紹介します。
- 2023年上半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関東版(10)
- 遠距離現在 Universal / Remote
開催美術館:国立新美術館
開催期間:2024年3月6日(水)~6月3日(月)
20世紀を代表する巨匠の一人、ジョルジョ・デ・キリコの画業を広く紹介する「デ・キリコ展」。日本では10年ぶりとなる大規模個展
ジョルジュ・デ・キリコ(1888-1978)が、1910年頃から描き始めた「形而上絵画」(幻想的な風景や静物によって非日常的な世界を表現する絵画)は、数多くの芸術家や国際的な芸術運動に大きな影響を与えました。シュルレアリスムやポップアートなどはもちろん、現代の最新のデジタルアートの表現にまでその影響をみることができます。
本展では、ローマのジョルジョ・エ・イーザ・デ・キリコ財団の全面的協力により、国内外の優品が集結します。デ・キリコのおよそ70年にわたる画業を「イタリア広場」「形而上的室内」「マヌカン」などのテーマに分け、初期から晩年までの作品を余すところなく紹介。デ・キリコが描いた世界をたどっていきます。巨匠の作品が持つ力強さや、唯一無二の表現力を堪能できる展覧会となるでしょう。
- 2023年上半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関東版(11)
- デ・キリコ展
開催美術館:東京都美術館
開催期間:2024年4月27日(土)〜2024年8月29日(木)
企画展 歌と物語の絵 ― 雅やかなやまと絵の世界(仮)
古来、語り読み継がれてきた物語は、古くから絵巻物など絵画と深い関係にありました。和歌もまた、三十一文字の世界が絵画化されたり、絵に接した感興から歌が詠まれたりと、絵画との相互の刺激から表現が高められてきました。
物語絵や歌絵の特徴のひとつは、精細な描写と典雅な色彩。宮廷や社寺の一級の絵師が貴人の美意識に寄り添い追求した「やまと絵」の様式を継承することでしょう。広い階層に広がった近世には自由で個性豊かな屏風、絵巻も登場します。本展では館蔵の住友コレクションから、近世初期の物語絵と歌絵を選りすぐって紹介します。
- 2023年上半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関東版(12)
- 企画展 歌と物語の絵 ― 雅やかなやまと絵の世界(仮)
開催美術館:泉屋博古館東京
開催期間:2024年6月1日(土)~7月21日(日)
「身体」をひとつの起点とする、サエボーグと津田道子。展示やパフォーマンスなどを通じて、展示空間と鑑賞者の身体を架橋するような体験へと誘う
中堅アーティストを対象に、受賞から複数年にわたる継続的支援によって、更なる飛躍を促すことを目的に、東京都とトーキョーアーツアンドスペースが2018年度から実施している現代美術の賞「Tokyo Contemporary Art Award (TCAA)」。第4回となる「TCAA2022-2024」受賞者のサエボーグと津田道子による受賞記念展が東京都現代美術館で開催されます。
第4回受賞者による本展は、それぞれの個展として「I WAS MADE FOR LOVING YOU」と「Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる」というタイトルを冠しています。隣り合うふたつの展覧会は制作に対する関心もアプローチも大きく異なり、それぞれが独立したものでありながら、展示室内での鑑賞者のふるまいが作品の一部となるという共通点を持っています。
鑑賞を通じて自身に向き合うことで、動物を含む他者との関係性や、社会的に期待された役割などに目を向けることにもなることでしょう。
- 美術館・展覧会情報サイト アートアジェンダ 美術館情報
- 美術館・展覧会情報サイト アートアジェンダ 展覧会情報
- 2023年上半期 アートアジェンダがおすすめする注目の展覧会情報・関東版(13)
- サエボーグ「I WAS MADE FOR LOVING YOU」/
津田道子「Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる」
Tokyo Contemporary Art Award 2022-2024 受賞記念展
開催美術館:東京都現代美術館 企画展示室3F
開催期間:2024年3月30日(土)~7月7日(日)
以上、13のお薦め展覧会をご紹介しました。ここに紹介し切れなかった展覧会も多々ありますので、その他の展覧会も、アートアジェンダ展覧会情報 にてぜひチェックしていただき、今年も沢山の機会に、美術館や博物館にお出かけください。
関西&全国版は近日中に公開予定です。