当たり前の日常の行為を深掘りする、
進化した「デザインあ展neo」はじまる

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構成・文・写真:森聖加
当たり前の日常の中にあるデザインを「あっ」という驚きや発見とともに子どもたちに伝え、デザイン・マインドを育んできたNHK Eテレの番組『デザインあneo』。番組の世界観をリアルに体験できると子どものみならず大人にも人気を博した展覧会も、東京・虎ノ門ヒルズ ステーションタワー 45階に新しくオープンしたギャラリー TOKYO NODEに「デザインあ展neo」として戻ってきた。普段の生活では蓋をされがちな「感覚」を覚醒させる、またとない機会に出掛けてみては?

「オノマトピース」プラプラックス (写真提供/デザインあ展neo)
- 「デザインあ展neo」
会場:TOKYO NODE GALLERY A/B/C
開催期間:2025年4月18日(金)~9月23日(火・祝)
https://www.tokyonode.jp/events/20241120/index.html
あるく、たべる、こわす……毎日の行為を見つめ直してわかること

当たり前の日常にひそむデザインを発見
会場にはのっけから、おおきな「あ」が宙に浮かぶ。「なにこれ?」「おもしろい!」と子どもたちが歓声をあげ、好奇心のままに身体を動かし、五感をフル活用して体感する展覧会が「デザインあ展neo」にバージョンアップして帰ってきた。いえいえ、子どもだけではない、多くの大人たちが時を忘れて没頭してしまう展覧会、それが「デザインあ展」だ。

「すわる」のコーナーにはほかにも用途に応じたさまざまな椅子が
「デザインあ展」は2013年、東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTでの第1期開催を皮切りに、2018年~2021年には富山県美術館、日本科学未来館など全国6つの美術館を巡回し、延べ116万人が体験してきた。過去の会場では、鑑賞者みずからがお弁当の中の梅干しになったり、歯車の一部になったり……。身体をつかって物事の仕組みを学び、身の回りの「モノ」に隠されたデザインを発見していくユニークな展示は、他に類をみない。

いつも歩いているはずなのに、いざ、目の前にするとわからない!自身の感覚のあやふやさに啞然…。

第3期目の開催となる2025年、「デザインあ展neo」は「動詞」にフォーカスする。総合ディレクターの佐藤卓氏が「過去の展示を裏切りたかった」と話すように、あるく、たべる、こわす……といったさまざまな日常の行為を、デザイン的視点で見つめ直すよう鑑賞者に促す。人々は、多彩なクリエイターたちによるコンテンツを通じて、探求の旅へ出るのだ。
楽しむのに理屈は不要。自らの感覚を研ぎ澄ませて

最初の部屋で出合うコンテンツのひとつが、「あるきかたログ」(Scott Allen+パーフェクトロン)。ブース内の床のガイドのとおりに足を置いて、ポーズをとるといつのまにかシャッター音が鳴った。あれれ?という間に自分の歩く姿が頭上のモニターに他の体験者と並んで表示されてできあがる、歩き方のカタログだ。自分が「あるく」という、自身で見ることが少ない姿をこんなふうにして意識させられる。

パイプに当ててしまうたびにスピーカーから聞こえてくる「あっ」。勘弁して
「たべる」「はなす」「かく」「すてる」「もつ」…ひとつの動詞から想起された全35点の作品群にあなたは何を感じるだろう? 「デザインあ展neo」は、無意識の行動を意識的なものへ変え、何気ない日常の中に潜むデザインに気づかせることで小さな驚きと感動をもたらしてくれる。「当たり前の暮らし」がいかに豊かで、愛おしいものであるか、感性のままに楽しみたい。

総合ディレクター 佐藤 卓氏、音楽ディレクター 蓮沼執太氏


- TOKYO NODE
105-0001 東京都港区虎ノ門2-6-2 虎ノ門ヒルズ 45F
開館時間:10:00~19:00 (ただし、4月23日(水)および各月第1・第3水曜日は~17:00 ※9月17日(水)は19:00閉館 ※いずれも入館は閉館の30分前まで)
会期中休館日:なし
https://www.tokyonode.jp/access_info/index.html