5.0
サロンに抵抗したマネの気持ちがわかる展覧会
練馬区立美術館は小規模な施設ながら、その企画力の高さにはいつも驚かされます。初めて訪れた2013年の「牧野邦夫展」で世に埋もれた素晴らしい画家の存在を知って以来、ほとんどの展覧会を観ています.
今回のアイデアをこらした面白い展覧会でした。
マネの油彩画は日本に17点しかないそうですが、本展覧会ではそのうちの7点と多数のエッチングが展示されています。マネが大量のエッチングを制作していたことを初めて知りました。このうち油彩画は正直なところこれがマネの作品かと首を傾げるものもありました。「オランピア」や「草上の昼食」の印象が強すぎるせいかもしれません。いずれにしても未見のマネ作品を楽しめました。
このほか、マネの影響が見られる日本画家の作品群が展示されていましたが、最後に飾られていた森村泰昌と福田美蘭の作品群は圧巻でした。この二人の作品を観られただけで行った価値がありました。
最も驚かされたのは、解説パネルに「マネは印象派ではなく、ポスト・レアリズムともいえる画家である」と書かれていたことです。印象派展には出品せず、ひたすらサロンに出品し落選を繰り返したそうです。
福田美蘭がマネの「花瓶の苔バラ」を題材にして描いた「LEGO Flower Bouquet」が写真のみ飾られ本体がありませんでした。日展に出品するためで、落選したら再展示するとのことでした。そして本日(11月1日)の朝日新聞には落選したという情報と「サロンに落ちたときのマネの気持ちが体感できた」という福田氏の感想が載っていました。