5.0
プリミティブな世界観
「プリミティブ」という言葉がとてもしっくりくる。それでいて同時代性もあり、たくさんの人が心動かされる理由がよくわかった。縄文土器に着想を得ていることは知っていたけど、《マスク》の一連など思った以上に原始的なもの、古来のものへの距離が近くて、好きと思った。
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1970年に開催された日本万国博覧会(大阪万博)のテーマ館《太陽の塔》で知られ、今日でも幅広い世代の人々を魅了する芸術家・岡本太郎(1911-1996)。その芸術人生を振り返る、大回顧展を開催します。
1929年に渡仏した岡本太郎は、抽象表現に影響を受けながら画家としてのアイデンティティを確立していきます。帰国後、自らの芸術理念の核となる「対極主義」を提唱し、制作のみならず『今日の芸術』、『日本の伝統』などの著作において文化・芸術論を展開しました。《太陽の塔》を頂点とするパブリックな空間に展開される巨大な彫刻や壁画など、生活の中で生きる作品群は、「芸術は大衆のものである」という岡本太郎の信念そのものを象徴し、それ故に没後もなお、多くの人々を惹き付けています。
表現活動が多岐にわたることから「何が本職なのか?」と問われることも多かった太郎の答えは「人間―全存在として猛烈に生きる人間」でした。未知なるものへの不安・怖れに常に果敢に孤独に切り込んでいった彼の表現活動は、小さな枠にとらわれることなく世界に対して「己全体を賭ける」ことであり、人間としての根源的な営みの豊かさを人々に喚起する試みであったといえるでしょう。太郎の思想・生き様が込められた作品を体感することは、不安定な状況が続く現在の社会を力強く生き抜いていくためのヒントを見つける機会となるかもしれません。 代表作はもちろん、これまであまり注目されてこなかった晩年の作品なども紹介しながらその生涯をたどる本展にて、《太陽の塔》だけではない、岡本太郎の全貌をお楽しみください。
会期 | 2022年10月18日(火)~2022年12月28日(水) |
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会場 | 東京都美術館 Google Map |
住所 | 東京都台東区上野公園8-36 |
時間 |
9:30~17:30
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観覧料 | 一般 1,900円 大学生・専門学校生 1,300円 65歳以上 1,400円
|
TEL | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
URL | https://taro2022.jp/ |
5.0
「プリミティブ」という言葉がとてもしっくりくる。それでいて同時代性もあり、たくさんの人が心動かされる理由がよくわかった。縄文土器に着想を得ていることは知っていたけど、《マスク》の一連など思った以上に原始的なもの、古来のものへの距離が近くて、好きと思った。
5.0
戦後の1948年、岡本太郎は、対局主義を掲げて画業を一新させた。
対局主義とは、矛盾をそのまま描き、二つのものを対決されること。
これは、岡本太郎の人生と今後の決意を如実に現れているのである。
著名な漫画家と作家の両親の元、日本で生まれ育ち、18歳から10年住んだフランスのパリ。
ここには、東洋と西洋の対局主義がある。
戦後の平和と4年間の中国での従軍生活。
ここには、戦争と平和の対局主義がある。
対局主義の代表作品である1949年発表の「重工業」。
チャップリンの映画「モダンタイムス」を思わせる人が機械に飲み込まれて行く構図とそれに対抗する人間と農業を現すネギ。
この絵は、色音痴、絵の描き方を知らない下手くそ画家、社会風刺画家とレッテルを貼られた。
岡本太郎に最も影響を与えたのは、4年間の中国での従軍体験だと思う。
この体験後、つまり戦後の絵は、戦前の絵と全く違う。
岡本太郎は原点であり、スタートは戦争への怒りだったのではないだろうか。
岡本太郎の戦前の絵を一部見ることができる。
特に最近パリで見つかった岡本太郎の絵は必見。
4.0
日本で最も有名な画家と言っていい岡本太郎の没後最大規模の展覧会。
「太陽の塔」や「明日の神話」といった代表作がメインに据えられてるけれど、幼少期から中学生、太平洋戦争、 パリでの最先端の画家達との交流と、岡本太郎の芸術家としての人生を追体験できる内容になっているのがとても良い。
中学生の時に初めて書いた画が、既にその後の作風の源流になっていたのが驚き。後にピカソなどの抽象絵画に影響を受けるものの、岡本太郎の作風は彼独自のものであることがよくわかった。
4.0
自分は岡本太郎記念館にちょこちょこお邪魔したりしています。
記念館の太郎のアトリエには沢山の大きな絵が立てかけてあって、本棚のようになっているのでどんな絵かは見えませんが、いつもわくわくしながらどんな絵かなって妄想しておりました。
企画展の1階部分は、大きな絵・彫刻がたくさん展示されており、また絵があの通りの原色かつ怒涛の筆遣いですから、入った瞬間から圧巻。頭痛がしてたのですが、すっ飛んでいきました(笑)。久々に爆発的なエネルギーにもまれて(360°太郎)本当にスカッとしましたね。
自分が一番嬉しかったのは、未公開作3作と、大好きな「痛ましき腕」辺りのコーナーでした。太郎はある時期から、それまでの自分の作品(スタイル)と常に戦っていたと思いますが、3作はそれとは別の、自分はまだなにものでもないという葛藤が見られる作品で、それなのにどこか太郎っぽいフォルムも感じる、ちょっとカッコつけてはいるけど素の太郎はこんなだったのかなと思わせるような。気のせいかもしれませんが(笑)。ミロっぽいというと怒られるかもですが。
展示演出も愛情感じるようなところが多く、すごくいい展覧会だなぁと思いました。
が。ここからは展示内容と関係ない文章ですので、興味がない方飛ばしてくださいね。
こんなにうるさい展覧会初めてでした。朝一で入ったのでそこまで混んでるはずじゃないのに、普通のボリュームで喋ってる人が殆どで・・・。日曜だからか子供がいっぱい。しかも走り回っているし、「きゃ~っ」とか叫んでても親も全然平気。
どこからでも観られるようになっていたので、人が少ない方へ流れて行って、絵を見ているといきなり耳元で「カシャッ!」とシャッター切られて、音で「びくっ!」っとすることが何度も続き、これで相当集中力切られ、かなり疲れました。とにかくずっとシャッター音がひたすら響いていて、あまりのうるささに段々腹立ってきましたよ、ほんと。
その状態で、ああもう諦めて2階へ行こう、と思った瞬間、子供がカエル飛びしながら彫刻の台へ激突寸前(少し当たった位で済んだ)。その瞬間、監視員さん子供の側に手を伸ばして横っ飛びして作品との間に手を差し込んで守った! しばらくその子供は台の横にべたっと座ってたので、監視員さんも緊張した面持ちで、子供と作品の間に手を差し入れていた。しばらくしてその子はどこかへ・・… Read More
4.0
日曜のお昼過ぎに訪問。
入場予約は2日前でもとれたので、来場者はあまりいないかと思いきや会場内は中々の賑わいです。
温暖な気温と食後でちょっと眠気が、、とぼんやり入場しましたが、入ったら眠気が吹き飛ぶ原色岡本太郎ワールド。
真っ黒な床、壁、天井に映える原色絵画の数々。基本絵のサイズが大きい。平均で2~3mはあるし存在感が半端ない。
そんな主張の激しい絵画があちこち点在して、絵の隙間には手形の真っ赤な椅子や真っ青な椅子、ハニワ顔で向日葵みたいな真っ白な女神像など会場をくるくるまわって写真撮ってる内に力強い岡本作品にすっかり目が冴えてました。
絵はもちろん、手形ベンチや工芸品も基本的には接触できませんが、1963年制作の焼き物作品【坐ることを拒否する椅子】は着席可能。
とは言えこの椅子高さが40cmくらいの円柱型で座面が球形、しかもデフォルメした顔の凹凸が彫刻されていて大人が座るにはやや低いし、何より陶磁器でデコボコで硬い!お尻痛いし全然寛げない(笑)。題名に納得の椅子です。
子供が面白がって跳び箱みたいに跨ぎ座るのがちょうど良いくらいで、大人がくつろいで座る癒し目的の椅子ではないですね。
岡本太郎曰く
「椅子というのは、ソファのように座って休むべきものではない」
「むしろ、切り株のように、ちょっと腰掛けて足に一息つかせる程度のもの」との事で、そのコンセプト通りですね。
結果、会場内の休憩場所が少ないのが難点でした。
最近ニュースにもなったパリで発見された岡本太郎の初期作品も整然と展示され、とてもゴミ捨て場から勝手に持ち帰ったものと思えません。ていうか、勝手にゴミお持ち帰りってどうなんだろうと心でツッコみ入れたり、太陽の塔を構想スケッチしたメモ用紙は宿泊ホテルの客室備品だったりと生活が伺えるものや、インスピレーションの元になった縄文の土器、メキシコ旅行写真など作者の創造の源を推察できるような写真パネルも興味深いです。
本人がCMに出たり、万博当時のニュース等ちょこちょこ出てくる昭和の映像には懐かしむ声もチラチラ聞こえてきます。
食器やネクタイ、スカーフまで汎用性の高いデザイン力など、生活に寄りそう作品から反骨溢れる大作まで、見ていて圧倒されっぱなしでした。
ちなみにグッズも面白いものが多いですが、太陽の塔モチーフ関連は展覧会より大阪土産に見えなく… Read More
4.0
入場したロビーフロアは、年代順の展示ではなく、岡本太郎の代表的な作品が一堂に展示されています。どこから観て回ってもいいように展示されていて、自由に動き回って岡本太郎ワールドにどっぷりと入り込めます。まずこれに圧倒されます。
このような展示方法には、立体作品が効果的です。会場の空間全体が立体作品によって重層的に構成されて、観る者を惹き込んでくれます。これらの立体作品を配置することによって、絵画とは異なる、岡本太郎の息遣い、生命観を感じることが出来ます。
第5章では、大阪万博の≪太陽の塔≫、そして同じ時に描かれた大作壁画≪明日の神話≫が取り上げられています。≪太陽の塔≫は50分の1のサイズの模型が展示されています。背面の≪黒い太陽≫も大切です。岡本太郎は「植民地主義への挑戦を表現した」と語っていたそうです。今見ると、コロナウイルスを表現しているようでもあります。
来場者は、若い人も多くて、いろいろな世代に愛され続けていることを再認識させられました。
4.0
おもしろかった。おもしろかったけど、何せ川崎市岡本太郎美術館と岡本太郎記念館の
作品が大半を占めているから、新鮮味があまりない。と言うのも、特に川崎市の方は
何回も訪問している為、見知った作品も多くやや肩透かしを食らった感じだ。
それでも、近年パリで発見された岡本太郎の作品であろう3作品は初見だし
『明日の神話』の修復映像はドキュメンタリーとしても楽しめる。
個人的には1981年のマクセルビデオテープのCM映像がおもしろかった。
やたらとピアノを弾く姿や一心不乱に釣り鐘を叩いてる姿はちょいと
滑稽にも見えるがCM上の演出ならばそれもありなのだろう。
史上最大のTARO展がやってくる、と言う触れ込みだったが、目の肥えた
鑑賞者には今一つかもしれない。
グッズが沢山あるので、お財布に余裕のある方は是非。
5.0
展示室に足を踏み入れた瞬間から、広がっている岡本太郎の世界に圧倒されました。
岡本太郎と聞いてまずイメージするのは太陽の塔。
もちろんそれだけでなく、明日の神話などの有名な作品程度なら観たことがありましたが、一堂に会すると圧巻でした。
極彩色の中に見え隠れする薄暗いナニカ。
岡本太郎の作品に対してはずっとこんなイメージを持っていましたが、今回の展覧会でそれをさらに深く感じました。
特に気に入ったのが1960年代始めの作品群。
呪術的なものを背景に制作されていて、その世界観や線の呼吸に引き寄せられました。
また、所々に展示してある立体作品群も見応えがありました。
後半には晩年の作品もあり、こちらも良かったです。
特に、過去作を自身で加筆していたとは知らなかったので驚きました。
しかも、まるで別作に見えるぐらいに加筆するとは。
一度でも自分が納得して完成させたものに手を加えるというのは、容易ではありません。
この姿勢にも、芸術家・岡本太郎たる所以があるのだなと感じました。
また、途中には映像なども流れていました。
その中で印象に残ったのが、調和とはぶつかり合うことだと言っていたこと。
現在の私のイメージする調和とは異なり、ハッとさせられました。
激動の時代を生きた岡本太郎。
あれほど変化のある時代を生きたからこそ、生まれ得た芸術家なのだろうと改めて思いました。
岡本太郎に興味のある人もない人も足を運ぶと何か得るところがある、そんな展覧会だと思います。
5.0
大阪万博で 太陽の塔を見て 感動したとき依頼 どんな作品があるのか知りませんでした。 今回作品展を見ることができて 本当にすばらしいと 心打たれました!生きていることが 芸術である! 感動しました。
4.0
混まないうちにと思い、10月下旬の平日(水曜日)に行ったのだが、結構な人。ただし、撮影はほぼOKという太っ腹。さすが岡本太郎!
川崎市の岡本太郎美術館のコレクション展で見ている作品も多かったが、渋谷駅にある巨大壁画《明日の神話》の1/3下絵(1968年)、《「殺すな」意見広告》1967年、従軍画家時代の油絵(1942年)などもあり、岡本を通覧できる。代表作の《痛ましき腕》1936年、《重工業》1949年、《夜》1947、《森の掟》1950年、ほぼ絶筆の《雷人》1995年も一気通貫に見られる。なお、1980年代90年代に1940年代50年代の旧作に手を入れていたようで、6点の作品の比較ができるが、いずれも悪く変わっている。太郎といえども晩年は衰えていたとも感じられる。
併せて青山の岡本太郎記念館も訪問。絵画作品はあまり良くないが記録映像が3本見られる。こちらは11/20まで。
5.0
圧倒的な岡本太郎の展覧会です。
入場してすぐに所狭しと繰り広げられる代表作品達。
暗めの会場に極彩色の作品達があちこちで「バクハツ」しています。
知っていた作品も、これだけ集まるとまた相乗効果で違って見えます。
上のフロアでは太郎の軌跡が辿られ、
バクハツ以前の導火線がチリチリしている作品も探れます。
そして椅子や鯉のぼり日用品等々多岐にわたる品々も、
当時を知っている私には懐かしさも。
最後のフロアは、「太陽の塔」と「明日の神話」に関して。
これは語る必要は無いかな……。
そして晩年の作品群で〆となる形は実に見事でした。
全体として時代順にこだわらない展開は、
岡本太郎を把握するのにとても良い展示構成でした。
都美館のフロアが、こんなに狭かったっけ?と思えるほどでした。
欲を言えば、もっとデッサンや構想スケッチが見たかったけど、
それを入れると会場が本当に足りないw。
10/26(水)事前予約で11時半入館。人は多めだけど混雑と言うほどでは無し。
土日は早めに予約が必須。会期が進むほど平日もきっと……。
映像以外、作品は撮影可。
4.0
岡本太郎、大変充実していました。
バクハツ、太陽の塔、縄文大好きオジサンくらいの認識だったのですが面白かったです。
初っ端からTARO STYLEの絵画、彫刻の連続です。
次のフロアの画業初期の作品群を興味深くみる。自画像スケッチ良いなぁ。
最後は太陽の塔とグッズエリア広い!
映像以外、ほとんど撮影可能だったと思います。柱上部にも作品があって要注意。
皆さん思い思いに楽しんでいました。
特段ファンというわけではありませんが少しでも興味があれば行って損はないと思います。
既に幅広い年齢層の人たちでとっても賑わっていました。
お早めにどうぞ。
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