5.0
物凄い写生力。「高精細画人」も納得です。
会期終了のギリギリに、やっと見て来ました。混雑と言う程の事はありませんでしたが、割合多くの方がみえていましたね。練美さんはいつも、地域の方々にとても親しまれているようですね。今展は前後期の展示替えがあったので、ぐるっとパスでグッと割引きにもなるし、練美さんがもう少し近い場所なら、二度来たかったところです。練美さんのHPで紹介されている、練馬区美術館・長野県立美術館(巡回)の各担当学芸員の対談動画は、とても面白く、事前にとても良い予習になりました。
池上秀畝は明治時代から昭和にかけての日本画家で、特に山水・花鳥画を得意としたそうです。馴染みがあるのは、かつては年4-5回以上は行っていた目黒雅叙園(現ホテル雅叙園東京)の百段階段『秀畝の間』ですね。国立近代美術館の六曲一双屏風《初冬》や額画《咆哮》は何度も見ましたが素晴らしいです。《夕月》もいいですね。松岡美術館の六曲一双屏風《巨浪群鵜図》もなかなか好きです。池上秀畝は長野は伊那の旧家で、紙商兼小間物問屋の次男。秀畝は次男ですが、祖父の頃より稼業より画業、父は画業と趣味三昧、と言うところだったらしいです。そんな環境で生まれ育った秀畝は物心つく頃にはすっかり描くことを覚えていたとか。父に連れられ上京して翌年内国勧業博覧会で評価されることになる荒木寛畝の最初の弟子になった人。寛畝の《孔雀図》は凄いです。最初に尋ねたところは父が気に入らず、菱田春草のように開校した東京美術学校に入れる気もなかったらしいです。寛畝を選んだお父さんは目利きだったのですね(笑)。
《四季花鳥図》の四幅は壮観です。旧派と新派の比較の話は、あまりピンときませんでしたし、京都画壇と東京画壇のことも今一。いずれにせよ結局秀畝は全てをミックスしたようなオールマイティーな感じの作品が多い感じです。秀畝は山水・花鳥画を得意とすると先に書きましたが、実際秀畝は、自分に描けないものはないくらいの勢いで、仏画でも歴史画でも何でもこなしています。技術は凄いのですが、ちょっと意地っ張りなのかもしれません。それに新しいもの珍しいもの好きですね。今回目玉のオーストラリア大使館所蔵の杉戸絵は、保存状態も極めて良くて、実に素晴らしいのです(2枚《桃に青鸞図》《松に白鷹図》が池上秀畝、反対側の2枚《牡丹に孔雀図》《芭蕉図》が荒木寛畝で、裏表合わせて8面… Read More