4.0
人の手技によるという驚きと感動 感覚の混乱
「超絶技巧」シリーズ第3弾ということだが、初めての鑑賞。宮川香山の《褐釉蟹貼付台鉢》のようなものを想像していたが、それ以上だった。会場入ってすぐの福田亨《吸水》。一切色付けしていないということもさりながら、蝶が吸っている水滴は、台座となっている木の周囲を削って残したもの(???)とか。否応なく期待が高まる。その後も池田晃将《百千金字塔香合》、前原冬樹《グローブとボール》、長谷川清吉《銀製 梱包材》等々。すべて超絶で、素材と表現されたものとのずれから感覚が混乱するものも多数。鑑賞者も段々興奮してくるのか、展示が進むほど声も大きくざわついていき、監視員が忙しく「静かに」のプレートを示して回っている。最後の方に、昨年亡くなった青木美歌の《あなたと私の間に》が展示され、繊細さに心打たれるとともに厳粛な気持ちとなって鑑賞を終える。人の手技によるという驚きと感動。