4.0
キュビズムは嫌いではなかったが
もともとキュビズムは興味なかった。
ただ、観る機会があまりなかった。初めてしっかり見たのは2023年の『ピカソとその時代』展。そこで2枚のブラックの絵を見て、「キュビズムも嫌いでない」と思った。
今回、キュビズムをがっつりとみて「あ。結構好きかも」と思った。
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キュビスム・レボリューション——フランス・パリ発、世界を変えた美の革命
20世紀初頭、パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックという2人の芸術家によって生み出されたキュビスムは、西洋美術の歴史にかつてないほど大きな変革をもたらしました。その名称は、1908年にブラックの風景画が「キューブ(立方体)」と評されたことに由来します。西洋絵画の伝統的な技法であった遠近法や陰影法による三次元的な空間表現から脱却し、幾何学的に平面化された形によって画面を構成する試みは、絵画を現実の再現とみなすルネサンス以来の常識から画家たちを解放しました。
また絵画や彫刻の表現を根本から変えることによって、抽象芸術やダダ、シュルレアリスムへといたる道も開きます。慣習的な美に果敢に挑み、視覚表現に新たな可能性を開いたキュビスムは、パリに集う若い芸術家たちに大きな衝撃を与え、装飾・デザインや建築、舞台美術を含む様々な分野で瞬く間に世界中に広まり、それ以後の芸術の多様な展開に決定的な影響を及ぼしています。
本展では、世界屈指の近現代美術コレクションを誇るパリのポンピドゥーセンターの所蔵品から、キュビスムの歴史を語る上で欠くことのできない貴重な作品が多数来日し、そのうち50点以上が日本初出品となります。20世紀美術の真の出発点となり、新たな地平を開いたキュビスムの豊かな展開とダイナミズムを、主要作家約40人による絵画を中心に、彫刻、素描、版画、映像、資料など約130点を通して紹介します。日本でキュビスムを正面から取り上げる本格的な展覧会はおよそ50年ぶりです。
◆ 主な出品作家(アルファベット順)
ジョルジュ・ブラック、マルク・シャガール、ロベール・ドローネー、ソニア・ドローネー、マルセル・デュシャン、ナターリア・ゴンチャローワ、フアン・グリス、マリー・ローランサン、ル・コルビュジエ、フェルナン・レジェ、ジャック・リプシッツ、アメデオ・モディリアーニ、パブロ・ピカソ ほか
会期 | 2024年3月20日(水・祝)~2024年7月7日(日) |
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会場 |
京都市京セラ美術館
![]() |
住所 | 京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124 |
時間 | 10:00~18:00 (最終入場時間 17:30) |
休館日 |
月曜日 ※ただし、4月29日と5月6日は開館 |
観覧料 | 一般 2,100円(1,900円) 高大生 1,400円(1,200円) 小中学生 900円(700円)
|
TEL | 075-771-4334 |
URL | https://cubisme.exhn.jp |
4.0
もともとキュビズムは興味なかった。
ただ、観る機会があまりなかった。初めてしっかり見たのは2023年の『ピカソとその時代』展。そこで2枚のブラックの絵を見て、「キュビズムも嫌いでない」と思った。
今回、キュビズムをがっつりとみて「あ。結構好きかも」と思った。
4.0
これまで、いろんな展覧会でキュビズム作品はほとんど一瞥する程度での鑑賞でしたが今回は堪能しました!
というのは、まず第一室目は見慣れた大好きな巨匠作品づくしで気分が大いに上げられ、それから徐々にザ・キュビズム作品に・・・と慣れさせられたからかもしれません。
とにかく初めに「この展覧会はすごすぎる!」と大感激しました。それから素通りしてきたキュビズム作品でも「どれがバイオリン?これが椅子かな?」とじっくり友人とガン見。会話も楽しい展覧会でした。
そして、ロベール・ドローネー《パリ市》があんなにビッグサイズだとは!本物を観る醍醐味、素晴らしい作品でした。
5月中旬の土曜日。村上隆さんの展覧会は激混み(3月に行っておいてよかった!)でしたがキュビズム展の鑑賞者はちらほら。初夏にもう一度行くかもしれません。
キュビスムは「西洋美術」だと思っており、セザンヌからキュビスムへという流れは予習していたが、アフリカ美術が影響を与えていたとは知らず、様々な美術作品から吸収した画家達の貪欲さを感じた。また、セザンヌ→キュビスムという直線的…readmore
4.0
西美からの巡回で、東京での感想も拝読して楽しみでした。会期が長いのでちょっと後回しになりましたが、京都市京セラ美術館では、同時期に村上隆とジブリを開催し、混んでいなくて1点1点と向かいあえて個人的にはラッキーだったけれど、良い展覧会なのにそれほど入ってないことに残念な気もしました。
セザンヌからピカソとブラックとなーんとなくぼやんと知ってるつもりの「キュビズム」を細かい章訳で時代順に展開していくとても分かり易い展覧会でした。
「キュビズム」難解なのではと思い
本展の前に山田五郎のYouTubeも視聴し、入門書をと『もっと知りたいキュビスム (アート・ビギナーズ・コレクション)』も図書館で借りて読みました。この本の表紙は本展のメインヴィジュアルと同じで、この本もお薦めでございます。
広く展開していくキュビズムを追っても全体像、その流れをしっかり把握できたわけではあんりませんが、繰り返し見て行くことで滲みていくのではと思っております。
京都市京セラ美術館の前、鉄斎展開催中の京国近美のコレクション展でも「2023年度の新収蔵作品アルベール・グレーズ《キュビスム的風景、木と川》を中心に、「キュビスム」に関係する作品をご紹介します」と展示がありますので、一緒にご覧になると良いかもしれません。
5.0
こちらAgendAさんから頂いた券で伺った展覧会。
自分がイメージしていたキュビスムがいろいろなキュビズムの一つでしかなかったことがわかって、自分の中のキュビスムの概念が広がったことにまず感謝したい。
自分が好きなキュビスムの絵は「分析型キュビスム」に属していたことがわかった。
そしてキュビスムの歩みのなかで初めの方にあることも。
また写真の明るい色彩のドローネーの絵は「オルフィスム」というキュビスムの一つであることも知り、奥様のソニア・ドローネーの絵と共にその色彩に目を奪われた。
今回の展覧会で初めて知った名がファン・グリス。これからは彼の作品も注目してみていきたいと思った。
思いがけない出会いも。好きな画家アンリ・ルソーの絵が第1室「キュビスム以前」の部屋に展示されていて、偶然の出会いを楽しんだ。
第1室「キュビスム以前」から始まり第14室「キュビスム以後」で終わる展覧会。
キュビスムに対する興味が広がること間違いない。
キュビズム、キュビスム、キュービズム、キュービスム、最近は発音重視派の勢力拡大により新旧入り乱れた呼び方が飛び交ってますが、昭和人はキュービズムだし、ポンピドーです(笑)
ポンピドゥーなんて、モレシャンさんが言うのなら素敵だけ…readmore
4.0
You tube「meet your art」で美術研究家・国立西洋美術館館長、田中正之さんのアート講座「キュビスム」を学び、目からうろこでした。ピカソが有名な大画家になった理由は、ピカソが「キュビスム」をやったからであり、その拠り所はセザンヌである。大筋は知っていたのですが、そこまで強く断言されると認識が大きく変わりました。特に、セザンヌの静物画は様々な視点で描かれているので、その見方について、右側から見たときと左側から見たときを比べながら見る見方を教えていただき実践しました。実際にはまだピンと来ていないところもありますが、もっと勉強しようという気持ちにはなりました。
また、ロベール・ドローネーの「パリ市」で描かれている「キュビスム」は現代版「古典主義」との解釈が大変面白く、アンリ・ルソーのセーヌ川と橋の元ネタを探しましたが、これだという絵は見つからず…
ピカソ、ブラックが成し得た「キュビスム」は絵画の描き方、美術作品の素材を根本から変えた「大革命」であったことが理解できました。
4.0
ポンピドゥーセンターを中心に日本の美術館所蔵の作品も含め約130点から構成され、多様な作家がまんべんなく紹介されていて贅沢なラインナップの展覧会だった。アフリカ美術に始まり、絵画、彫刻、書籍、映像などさまざまな資料を参照することで、表現性のみならず時代の変容も辿りやすい。正直、キュビスムにはそれほど関心を持ったことがなかったのだが、本展をきっかけに深堀りしてみたくなった。
キュビスムといえばピカソやブラックだが、印象的だった作品はやはり、展覧会ヴィジュアルでもあるロベール・ドローネー《パリ市》。本作は思っていたより大きな作品で迫力があった。とはいえ圧迫感はなく、形態をかろうじて保ちつつ解体するようなキュビスム的表現と淡い色彩が心地よかった。本作は比較的具象的だが、ほかの作品にはキュビスムらしく形態が不明瞭なものもあり、題材が浮かび上がってくるかこないか、ぼんやり凝視する瞬間もちらほらと。
鑑賞時点では、同時開催中の村上隆展に来館者が取られているせいか、キュビスム展のほうは比較的空いていてゆったり観覧できた。本展は一部を除きほとんどの作品が撮影可能なので写真も撮りやすい。
5.0
何が描いてあるかわからない…。
いや、その通り…判別がつかないもの。これこそがキュビズムの本質であり、モダンアートの源泉です。
複数の視点を組み合わせて対象を描く、多視点のアプローチで対象を分解・再構成することにより、その本質を描こうとする試み「キュビスム」。この単語を聞いてアレルギーを起こす人が多いですが、展示内容は広くキュビスムをビッグ・バンとして、その後の多様な展開を視野に入れています。
展示の序盤こそ、セザンヌやアフリカ芸術の影響を受ける前史としての「血統」証明の要素が強いですが、ピカソとブラックの過激な挑戦とそれが果たした伝統の解体、そしてその後の映画、建築や装飾芸術へと花開く一連の芸術運動へと展開する様子が紹介されます。
シャガール、ブランクーシ、モンドリアンという20世紀のスターたちの作品も多数展示されていますし、この規模の展示は恐らく当分お目にかかれないと思います。 人間の認識におけるパンドラの箱を開けた一大ムーブメント「キュビスム」。会期中、何度か足を運んでしまいそうです。
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ロベール・ドローネー《パリ市》 1910-1912年
Centre Pompidou, Paris, Musée national d’art moderne - Centre de création industrielle (Achat de l’ État, 1936. Attribution, 1937)
© Centre Pompidou, MNAM-CCI/Georges Meguerditchian/Dist. RMN-GP
マリー・ローランサン《アポリネールとその友人たち(第2ヴァージョン)》 1909年
Centre Pompidou, Paris, Musée national d’art moderne - Centre de création industrielle (Dation en 1973) © Centre Pompidou, MNAM-CCI/Audrey Laurans/Dist. RMN-GP
フェルナン・レジェ《婚礼》 1911-1912年
Centre Pompidou, Paris, Musée national d’art moderne - Centre de création industrielle (Don de M. Alfred Flechtheim en 1937) © Centre Pompidou, MNAM-CCI/Philippe Migeat/Dist. RMN-GP
ロベール・ドローネー《円形、太陽 no.2》 1912-1913年
Centre Pompidou, Paris, Musée national d’art moderne - Centre de création industrielle (Don de la Société des Amis du Musée national d’art moderne en 1961) © Centre Pompidou, MNAM-CCI/Georges Meguerditchian/Dist. RMN-GP
フランティシェク・クプカ《色面の構成》 1910-1911年
Centre Pompidou, Paris, Musée national d’art moderne - Centre de création industrielle (Achat, 1957) © Centre Pompidou, MNAM-CCI/Philippe Migeat/Dist. RMN-GP
アメデオ・モディリアーニ《女性の頭部》 1912年
Centre Pompidou, Paris, Musée national d’art moderne - Centre de création industrielle (Achat, 1949) © Centre Pompidou, MNAM-CCI/Philippe Migeat/Dist. RMN-GP
フアン・グリス《朝の食卓》 1915年10月
Centre Pompidou, Paris, Musée national d’art moderne - Centre de création industrielle (Achat, 1947) © Centre Pompidou, MNAM-CCI/Philippe Migeat/Dist. RMN-GP
アルベール・グレーズ《戦争の歌》1915年
Centre Pompidou, Paris, Musée national d’art moderne - Centre de création industrielle (Don de l’artiste en 1951) © Centre Pompidou, MNAM-CCI/Audrey LauransDist. RMN-GP
フェルナン・レジェ《タグボートの甲板》1920年
Centre Pompidou, Paris Musée national d’art moderne - Centre de création industrielle (Legs de Baronne Eva Gourgaud en 1965) © Centre Pompidou, MNAM-CCI/Philippe Migeat/Dist. RMN-GP