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抽象絵画について考える
ネット辞書で調べました。「抽象」とは、対象から共通点を抜き出し、一般化して考える方法、「抽象絵画」とは、事物の写実的な再現ではなく、点・線・面・色彩それ自体のもつ表現力を追求した非具象的な絵画。何が描いてあるのか具体的にはわからない絵画のこと。
印象派を抽象絵画の始まりとした、本展覧会ですが、これまで印象派の絵画を抽象絵画として見たことがなかったので、この視点は面白い見方だなと思いました。また、会田誠さんが抽絵画のスタートはセザンヌだと言っている点も大変興味深かったです。
私個人的には、対象が何であるか分かる絵画は、抽象絵画と思ってこれまで見てこなかったので、ピカソ、ブラックのキュビズムも、描かれている対象がヒト、新聞、楽器・・・等まだわかる、だから具象画の範疇でした。目に見えない音楽を絵画で表現したカンディンスキー、今までにない方法(ドリッピング/ポーリング)で描いたジャクソン・ポロック、目に見えない心の動きを表現したヴォルス、まさに一見何を描いているのか分からない、これが抽象画でした。
私がこの抽象画を見ているとき、「頭(心)の中で何に見えるかな?」と考え、抽象の中に具象を求める自分がいました。そうなると、目の前にある絵画に何が描かれているのかを考えるより、それを見て(それを鏡として)自分の心を見ているような感覚になりました。その意味で、何も描かれていない黒一色の作品、アド・ラインハート「抽象絵画」は、まさに暗闇の中に自分の心の中を彷徨い、そこで出会う何かを見たいと思いながら見る作品である、究極の抽象画だなと感じました。