書いて描く最後の超人
2024春の関西遠征は京近の鉄斎展からスタート。平日の午前10時半ごろに入場すれば特に混んでもいないし快適だった。
お客さんは平均年齢70歳代ってとこか。最近は老いも若きもって展覧会が多いけど、さすがに鉄斎はあんまり若者受けしないの…readmore
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世に「最後の文人画家」と称えられる富岡鉄斎(1836-1924)。幕末、京都の商家に生まれた彼は、近世都市の商人道徳を説いた石門心学を中心に、儒学・陽明学、国学・神道、仏教等の諸学を広く学びながら同時に、南宗画、やまと絵等をはじめ多様な流派の絵画も独学し、深い学識に裏付けられた豊かな画業を展開しました。
良い絵を描くためには「万巻の書を読み、万里の路を行く」ことが必要であるという先人の教えを徹底して守ろうとした彼は、何を描くにもまずは対象の研究に努め、北海道から鹿児島まで全国を旅して各地の勝景を探りました。そうして胸中に思い描かれた理想の山水を表出し、人間の理想を説いた鉄斎の絵画は、画壇の巨匠たちから敬われ、京・大阪の町の人々に広く親しまれただけではなく、むしろ新世代の青年画家たちからもその表現の自由闊達で大胆な新しさで注目され、生前から今日まで国内外で高く評価されてきました。
幕末に人格を形成して明治初期には神官として古跡の調査と復興に尽力し、やがて官を辞して市井の画家として生き、1924(大正13)年の大晦日に数え年89で亡くなった鉄斎は、2024(令和6)年末で没後100年を迎えることになります。
このたびの展覧会では、この記念のときに向け、彼の画業と生涯をあらためて回顧します。名作として繰り返し取り上げられてきた作品はもちろんのこと、名作として知られながらも名作展では目にする機会の乏しかった作品や、近年になって再発見され、あるいは新たに見出された作品なども紹介します。
また、京都御所の近所の、室町通一条下ルに邸宅を構えていた彼の書斎(画室)を彩っていた文房具や筆録(旅行記や研究用メモ)等も取り上げ、都市に生きた彼の日常も、垣間見ていただこうと考えています。
文人画というと、何か難しい世界のように思われがちですが、鉄斎の生きた時代にはむしろ縁起物として都市の商人たちの間で親しまれていたともいわれます。京都では27年振りの開催となる展覧会が、鉄斎に親しんでいただく機会ともなれば幸いです。
会期 |
2024年4月2日(火)~2024年5月26日(日)
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会場 | 京都国立近代美術館 Google Map |
住所 | 京都府京都市左京区岡崎円勝寺町26-1 |
時間 |
10:00~18:00
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休館日 |
月曜日、4月30日(火)、5月7日(火) ※ただし4月29日(月・祝)、5月6日(月・祝)は開館 |
観覧料 | 一般 1,200円(1,000円) 大学生500円(400円)
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TEL | 075-761-4111(代表) |
URL | https://www.momak.go.jp/ |
2024春の関西遠征は京近の鉄斎展からスタート。平日の午前10時半ごろに入場すれば特に混んでもいないし快適だった。
お客さんは平均年齢70歳代ってとこか。最近は老いも若きもって展覧会が多いけど、さすがに鉄斎はあんまり若者受けしないの…readmore
4.0
どの絵も興味深く観させてもらいましたが、自分的には絵に添えられている書など、「書」が特に興味深く、面白く拝見しました。
沢山の印もその形や文字がおもしろかった。形によっては印の文字の部分が見えず、壁に印の文字の部分が掲示されていたけれど、展示の印と合せながら見るのは自分にはちょっと難しかった。展示の横にも並べて見れるようになっていたらよかったのになぁ、と思いました。
3.0
いわゆる文人画については、関心があるわけでもなく、見方もわかっていない状態。もちろん富岡鉄斎も名前を聞いたことがある程度。絵に描いたような仙人的風貌の鉄斎と文人画の取り合わせは、私には敷居が高いのではないかとも思われた。実際、流し見するくらいしかできなかったが、そんな中でも鉄斎の探究心には興味を引くところがあった。
書斎に鎮座する姿がしっくりくるような鉄斎。展覧会では、多くの交流を大切にし、学びと表現のために行動していたことなどが紹介されているが、そのアクティブさには見習うべきところが多い。鉄斎の独自の美学は、閉じ籠ることではなく、探究心を尽きさせないことで形成されていたようだ。
89歳で亡くなるまでの画業が辿られている本展で何より印象的だったのは、作品に衰えが感じられないこと。むしろ経験と技巧の蓄積が自由さを得て、ある種の力強ささえ感じさせる。鉄斎の作品を通して、生き方の理想のようなものも得られそうだ。
4回の展示替えがある鉄斎展です。
鉄斎は、江戸、明治、大正と生き、89歳という長い人生に、1万点以上の作品を残しました。
1985年に生誕150年記念として京都市美術館で開催された大回顧展は、どうやって展示されたのかは謎ですが、500点以…readmore
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