3.0
大ボリューム展
連休中ということもあり混むかと思い、朝一番で入館しました。
ですが、思いの外人がおらずゆっくりと観ることが出来ました。
大ボリュームの展示をゆっくり進んで行きながら、キャプションに書かれる年齢を見て驚いてしまいました。
晩年期は正に真骨頂と呼ばれるに相応しい作品の数々で、作品に圧倒されてしばらく動くことが出来ませんでした。
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世に「最後の文人画家」と称えられる富岡鉄斎(1836-1924)。幕末、京都の商家に生まれた彼は、近世都市の商人道徳を説いた石門心学を中心に、儒学・陽明学、国学・神道、仏教等の諸学を広く学びながら同時に、南宗画、やまと絵等をはじめ多様な流派の絵画も独学し、深い学識に裏付けられた豊かな画業を展開しました。
良い絵を描くためには「万巻の書を読み、万里の路を行く」ことが必要であるという先人の教えを徹底して守ろうとした彼は、何を描くにもまずは対象の研究に努め、北海道から鹿児島まで全国を旅して各地の勝景を探りました。そうして胸中に思い描かれた理想の山水を表出し、人間の理想を説いた鉄斎の絵画は、画壇の巨匠たちから敬われ、京・大阪の町の人々に広く親しまれただけではなく、むしろ新世代の青年画家たちからもその表現の自由闊達で大胆な新しさで注目され、生前から今日まで国内外で高く評価されてきました。
幕末に人格を形成して明治初期には神官として古跡の調査と復興に尽力し、やがて官を辞して市井の画家として生き、1924(大正13)年の大晦日に数え年89で亡くなった鉄斎は、2024(令和6)年末で没後100年を迎えることになります。
このたびの展覧会では、この記念のときに向け、彼の画業と生涯をあらためて回顧します。名作として繰り返し取り上げられてきた作品はもちろんのこと、名作として知られながらも名作展では目にする機会の乏しかった作品や、近年になって再発見され、あるいは新たに見出された作品なども紹介します。
また、京都御所の近所の、室町通一条下ルに邸宅を構えていた彼の書斎(画室)を彩っていた文房具や筆録(旅行記や研究用メモ)等も取り上げ、都市に生きた彼の日常も、垣間見ていただこうと考えています。
文人画というと、何か難しい世界のように思われがちですが、鉄斎の生きた時代にはむしろ縁起物として都市の商人たちの間で親しまれていたともいわれます。京都では27年振りの開催となる展覧会が、鉄斎に親しんでいただく機会ともなれば幸いです。
会期 |
2024年4月2日(火)~2024年5月26日(日)
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会場 |
京都国立近代美術館
![]() |
住所 | 京都府京都市左京区岡崎円勝寺町26-1 |
時間 |
10:00~18:00
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休館日 |
月曜日、4月30日(火)、5月7日(火) ※ただし4月29日(月・祝)、5月6日(月・祝)は開館 |
観覧料 | 一般 1,200円(1,000円) 大学生500円(400円)
|
TEL | 075-761-4111(代表) |
URL | https://www.momak.go.jp/ |
3.0
連休中ということもあり混むかと思い、朝一番で入館しました。
ですが、思いの外人がおらずゆっくりと観ることが出来ました。
大ボリュームの展示をゆっくり進んで行きながら、キャプションに書かれる年齢を見て驚いてしまいました。
晩年期は正に真骨頂と呼ばれるに相応しい作品の数々で、作品に圧倒されてしばらく動くことが出来ませんでした。
5.0
何か惹きつける魅力がある絵だなと思っていた鉄斎の絵。その程度でしたが、本展覧会をきっかけにして「鉄斎」を学びたいと思いました。morinousagisanさんの鑑賞レポートを読み、事前に京都国立近代美術館ホームページにリンクのある梶岡秀一さんの講演会をYouTubeで拝見、そして行こうとした当日に、NHK日曜美術館で放映があり、気持ちを高めていざ出陣!(ちょっと大げさかな)
画家ではなく学者として生きた鉄斎、「漁樵問答図」の教訓が学びとなりました。用意周到な事前準備をした上で結果が出ないのは天に恵まれなかっただけで人間の責任ではない、人間の限界を超えた努力は逆に不幸をもたらす(身の丈を知るということかな…)う~ん、深いなあと思いながらも讃の内容が絵から読み取れない…
事前に知ったエピソードで蘇東坡を師と仰ぐ鉄斎が東坡と誕生日が同じ12月19日だったことを大変喜び、「東坡同日生」という印章を作ったというお話、推しの心でちょっとおちゃめだなと思いました。「東坡同日生」という印章の実物がありましたが、その印の作品が見つけられず残念。
「万巻の書を読み、万里の路を行く」を実践した鉄斎、学者としての徹した学び、全国を旅する行動力に感銘を受け、仙人のような見た目からも威厳の高さを感じますが、「葡萄苑図」は家族でぶどう狩りに行った翌日に描いた讃と絵…絵日記やん!と思った瞬間、全国を旅した思い出を帰ってきてから(ときには何年も心の中で温めて)心に残った印象を文章と絵にした絵日記のように感じ、ある意味、絵日記をここまで高尚にする力はすごいなと感心するばかりでした。
終章の富士山図は圧巻、すごい迫力で鉄斎の心の目で見たデフォルメで、鉄斎と言えば富士と言わしめる絵であると感じました。しばらく近づいたり、離れたりして堪能していると、ある事に気づきました。それは、右隻の八合目辺りをよく見ると、岩肌の縦の線が滝の水の流れのように見え、その奥に滝行をする修行僧の姿が…気のせいかもしれませんが、気迫の表れかなと勝手に思っています。
見たかった「三津浜魚市図」「富士遠望図」「妙義山図」がなかったので、後期も見に行きます。
3.0
富岡鉄斎、結構良かったです。
鉄斎って大雅蕪村よりわけわかんない絵を描く人で見た目も相まって超越感があるという。
青年期壮年期が細かくて老年期になるとおおらかになるということもない。
70代から80代にピークを迎えるという点でもわけわかんない人。
終章の緑青とかを用いた屏風がかなりスゴイのだけどココが展示替えが多い模様。
あのヤバイ屏風群を一挙に展示してくれたら圧巻だったと思います。
4.0
鉄斎が書いた「火用慎書」を色紙に印刷したのを台所の壁に貼ってある。あと虎屋の包み紙に鉄斎が描いた「竹に虎」も見たことがある。わりと鉄斎の作品は近いところにある気がして、KYOTOGRAPHIEを見たあとに、京都国立近代美術館へ。
作品も面白かったけど、墨や筆つまり文房具、作品に捺す印、茶道具などのコレクションが鉄斎の人柄を表しているようで興味深かった。収集癖のある都会の人の臭いがする。
一方で、鉄斎は大量の書籍を読んで、儒教に神道、仏教に通じた上に、国内のあちこちを旅というか調査してまわった研究者であるということがよく分かりました。こういった研究の上で絵画が出来上がるというあたりが、文人画という分野にフォロワーが出てこなかった理由のように思えます。文人画というのは、近代的な分野で、近代的な万能の人じゃないと、難しいという気がします。
鉄斎展のあとコレクション展も拝見。そのなかで「鉄斎を慕う洋画家たち」が興味深かった。梅原龍三郎、岸田劉生、須田国太郎などの作品が展示されていて、彼らが鉄斎ファンだったというあたりが面白い。
2024春の関西遠征は京近の鉄斎展からスタート。平日の午前10時半ごろに入場すれば特に混んでもいないし快適だった。
お客さんは平均年齢70歳代ってとこか。最近は老いも若きもって展覧会が多いけど、さすがに鉄斎はあんまり若者受けしないの…readmore
4.0
どの絵も興味深く観させてもらいましたが、自分的には絵に添えられている書など、「書」が特に興味深く、面白く拝見しました。
沢山の印もその形や文字がおもしろかった。形によっては印の文字の部分が見えず、壁に印の文字の部分が掲示されていたけれど、展示の印と合せながら見るのは自分にはちょっと難しかった。展示の横にも並べて見れるようになっていたらよかったのになぁ、と思いました。
3.0
いわゆる文人画については、関心があるわけでもなく、見方もわかっていない状態。もちろん富岡鉄斎も名前を聞いたことがある程度。絵に描いたような仙人的風貌の鉄斎と文人画の取り合わせは、私には敷居が高いのではないかとも思われた。実際、流し見するくらいしかできなかったが、そんな中でも鉄斎の探究心には興味を引くところがあった。
書斎に鎮座する姿がしっくりくるような鉄斎。展覧会では、多くの交流を大切にし、学びと表現のために行動していたことなどが紹介されているが、そのアクティブさには見習うべきところが多い。鉄斎の独自の美学は、閉じ籠ることではなく、探究心を尽きさせないことで形成されていたようだ。
89歳で亡くなるまでの画業が辿られている本展で何より印象的だったのは、作品に衰えが感じられないこと。むしろ経験と技巧の蓄積が自由さを得て、ある種の力強ささえ感じさせる。鉄斎の作品を通して、生き方の理想のようなものも得られそうだ。
4回の展示替えがある鉄斎展です。
鉄斎は、江戸、明治、大正と生き、89歳という長い人生に、1万点以上の作品を残しました。
1985年に生誕150年記念として京都市美術館で開催された大回顧展は、どうやって展示されたのかは謎ですが、500点以…readmore
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富岡鉄斎《富士山図》(左隻)1898年 63歳 清荒神清澄寺鉄斎美術館 第1~2期展示
富岡鉄斎《富士山図》(右隻)1898年 63歳 清荒神清澄寺鉄斎美術館 第1~2期展示
富岡鉄斎《三津浜漁市図》1875年 40歳 清荒神清澄寺鉄斎美術館 第1~2期展示
富岡鉄斎《通天紅葉図》1882年 47歳 清荒神清澄寺鉄斎美術館 第1~2期展示
富岡鉄斎《富士遠望図・寒霞渓図》(左隻)1905年 70歳 京都国立近代美術館 第4期展示
富岡鉄斎《富士遠望図・寒霞渓図》(右隻)1905年 70歳 京都国立近代美術館 第4期展示
富岡鉄斎《妙義山図・瀞八丁図》(左隻)1906年 71歳 布施美術館 第3~4期展示
富岡鉄斎《妙義山図・瀞八丁図》(右隻)1906年 71歳 布施美術館 第3~4期展示
富岡鉄斎《鮮魚図》1910年 75歳 愛媛県美術館 第1~2期展示