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ファッションとしてのきもの
近現代のファッションをテーマにした展覧会に特色がある京都国立近代美術館。日本の伝統的な衣装である「きもの」も当然その例外ではない。しかし形態自体が大きく変化しないからか、「ファッション=流行」という刹那的な言葉が似合わないようにも思えてしまう。実際のところ本展が示してくれるのは、きもののファッション性でもあり、きものという衣服が人々の美意識の変遷を受けていかに多様なデザインを創出していったのか、とりわけ絵画制作にも等しい友禅染が、優美かつ斬新な装飾文様をいかに可能にしてきたかを紹介している。
本展は印象として、どちらかといえば衣装展示は多くない。きものを彩る装飾デザインが生まれる過程や同時代の工芸との連動といった創作の背景に焦点が当てられていて、図案が描かれた裂や図案帖のような資料類、美術・工芸作品からデザインの創意工夫が辿られている。そうしたさまざまなデザインの痕跡を観ていると、きものもまた、森羅万象を美しく身に纏おうとする私たちのファッション的な欲望と共鳴していることがわかってくる。と同時に、きものを彩る文様が絵画作品のような読解を可能にするとすれば、それは伝統美の下地があってこそでもあるだろう。モチーフの主題や象徴性がどのような細部にも潜んでいると思われるのは、「きもの」そのものが日本人の身体と衣服が紡ぎ出す詩的な情景を想起させるからかもしれない。









