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【記者発表】特別展「雪舟伝説―『画聖』の誕生―」来春 京都国立博物館で開催!!

※記者発表会場の写真は、主催者の許可を得て撮影したものです。

 

9月に東京で記者発表が行われましたが、開催地である京都国立博物館でも記者発表が開催され参加してきましたので、ご報告します。


国宝展以来雪舟の国宝6件が揃うと聞いている雪舟の展覧会がついに京博で開催かと思い込んでおりましたが、「決して雪舟展ではありません!」と強調される。京博では2002年春に雪舟の生涯を回顧する「特別展覧会 没後五百年 雪舟」を開催しているが、今回開催されるのはその種の展覧会ではないらしい。狩野永徳の4件を抜いて、6件もの作品が国宝に指定されている雪舟(1420-1506?)、日本美術史上もっとも重要な画家の一人です。「画聖」とも称される雪舟に対する高い評価は、どのようにして形成されてきたのかを、主に近世における雪舟受容をたどることで検証しようとするのがこの展覧会の趣旨です。


本展の特色

1.雪舟の国宝六件が揃って通期で展示されます。

  •  国宝《秋冬山水図》室町時代(15世紀)東京国立博物館蔵

教科書でもお馴染み、雪舟のもっともよく知られた作品です。

  • 国宝《破墨山水図》室町時代 明応4年(1495)東京国立博物館蔵

雪舟自筆の序文をともなう点でも重要な作品です。

  • 国宝《山水図》個人蔵
  •  国宝《四季山水図巻(山水長巻)》室町時代 文明18年(1486)山口・毛利博物館蔵

長さ16mに及ぶ大作で、こちらは会期中巻替え。

  •  国宝《天橋立図》室町時代16世紀 京都国立博物館蔵

現地での写生をもとに晩年に描いた異色の実景図

  • 国宝《慧可断臂図》室町時代 明応5年(1496)斉年寺蔵

2.雪舟の作品とその影響を受けた作品を展示して実際に見比べてみましょう。

3.雪舟を学んだ様々な画家や意外な画家たちの作品も紹介します。

4.京博だけの展覧会で、巡回はありません。お見逃しなく!


雪舟唯一の花鳥画、無款ながら雪舟筆と考えられている重要文化財《四季花鳥図屏風》室町時代(15世紀)京都国立博物館蔵 と江戸時代の雲谷等益による模本(東福寺蔵)を見比べてみる

展覧会は7章構成となっています。

第1章 雪舟精髄

雪舟の国宝6件を一堂に展示して、雪舟が現在いかに高く評価されているかに迫ります。

第2章 学ばれた雪舟

現在では「伝雪舟筆」とされている作品も含めて、後世に大きな影響を与えた作品に注目します。

第3章 雪舟流の継承-雲谷派と長谷川派

雪舟は多くの弟子を育てましたが、その画系は長続きせず、桃山時代になって雪舟の画風を継承・再生させたのが、

毛利家から雲谷庵(雪舟のアトリエ)と山水長巻を拝領して、名実ともに雪舟流の後継者として活躍した雲谷等顔(1547-1618)と「自雪舟五代」(雪舟より5代)と自称した長谷川等伯(1539-1610)でした。

第4章 伝説の始まり-狩野派の仕事-

狩野探幽(1602-1674)は、雪舟を学んで自己の様式を確立し、探幽様式は江戸時代絵画の基盤となりました。江戸時代の雪舟評価を確立したのは、狩野派であり、雪舟の神格化に寄与することとなりました。

第5章 江戸時代が見た雪舟

江戸時代には、「雪舟」とされる作品が数多く流通していました。当然のことながら、それらのすべてが雪舟の真筆であったわけではありません。しかし、現在では雪舟筆と認められていない作品や、所在が知られていない作品も、江戸時代は雪舟画として受容され、画家像の形成に一役買っていました。

 第6章 雪舟を語る言葉

文字資料に裏付けられる雪舟受容や残された当時の手紙から読み取れる江戸での雪舟人気。

第7章 雪舟受容の拡大と多様化

主に宋・元の中国絵画を学んだ漢画系の画家だけでなく、さまざまな画家に影響を与えました。応挙や若冲、蕭白にもその影響はみられ、更には西洋風の絵を描いた司馬江漢や勝川春章の描く春画巻の中、画中画に雪舟の山水画が描かれているという。



画風は必ずしも雪舟風とは言えないが、「雪渓」という号は、雪舟と牧谿(宋末元初の画僧)から1字ずつ取ったものと伝えられています。

雪舟受容の多様性には

・雪舟の画風を取り入れる

・雪舟作品の図様を継承(利用)

・雪舟作品を模写

・雪舟作品の流通

・雪舟の後継者であるという名乗り

・号に見られるリスペクト

・ステータスシンボルとしての雪舟作品

・受容者の多様性、受容の仕方の多様性

このような受容・評価の積み重ねが、現在に至る雪舟評価の土台となったと考えられます。

 

本展は、国宝7件、重要文化財13件を含む、総件数約90件が展示され、30名を超える画家が登場する、京都限定の展覧会です。

初公開作品もお目見えするらしく、新しい雪舟伝説がここから始まりそうです。


伝雪舟筆《富士三保清見寺図》室町時代(16世紀)永青文庫蔵 と曾我蕭白筆《富士三保清見寺図》江戸時代(18世紀)個人蔵 初公開

【開催概要】特別展 雪舟伝説―「画聖」の誕生―

  • 会期      2024年4月13日(土)~2024年5月26日(日)

[主な展示替]

前期:4月13日(土)~5月6日(月・休)                         

後期:5月8日(水)~5月26日(日)

※会期中、一部の作品は上記以外にも展示替を行います

  • 会場:京都国立博物館 平成知新館
  • 開館時間 9:00~17:30 (最終入場時間 17:00)
  • 休館日:月曜日 ※ただし、4/29(月・祝)、5/6(月・休)は開館、5/7(火)は休館
  • 観覧料:一 般1,800円(1,600円)/ 大学 1,200円(1,000 円)/ 高校生700 円(500 円)/ 中学生以下無料 ※( )内は前売、20 人以上の団体料金 ※障害者手帳等をご提示の方とその介護者 1 名無料(学生証、障害者手帳等確認できるものをご持参 ください)
  • 展覧会公式サイト:https://sesshu2024.exhn.jp/
  • 展覧会公式X(旧Twitter):@sesshu2024



プロフィール

morinousagisan
阪神間在住。京都奈良辺りまで平日に出かけています。美術はまるで素人ですが、美術館へ出かけるのが大好きです。出かけた展覧会を出来るだけレポートしたいと思っております。
かつて関西のアートサイトに読者レポートとしてアートブログを掲載して頂いていたご縁で、展覧会担当の広報会社さんから私個人に内覧会や記者発表のご案内を頂戴し、「アートアジェンダアートブログへ投稿」という形を広報会社さんに了解頂いて、アートブログを投稿しています。アートブログは全くの素人の個人としての活動です。
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