始まりました!『村上隆 もののけ 京都』@京都市京セラ美術館
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- by morinousagisan
(*掲載画像は、主催者の許可を受けて撮影、掲載しており、画像の無断複製・転載・流用禁止)
関西では初めて、日本国内では3回目、8年ぶりとなる現代美術家・村上隆の大規模個展が始まりました。初日開館前から「村上隆 もののけ 京都」COLLECTIBLE TRADING CARDを求めて長蛇の列が出来、先着5万枚は2月6日に配布が終了してしまいました。
昨秋記者発表に参加させて頂いても、そのスケール感が想像できませんでした。ドキドキしながら記者内覧会にも参加してきました。期待や想像を超え、会場を進むごとに吃驚しながら「こう言うことなのか」と思ったのでした。私のヘボイ画像や拙い文ではこの(様々な点において)画期的、革新的な展覧会についてとてもとても伝えきれるものではありませんが、お出かけになるきっかけ、参考の一つともなればと思います。
本展は、6部屋構成です。新作が90%を占め、国内初公開や代表的シリーズなど約170点を展示します。企画担当は京都市京セラ美術館 事業企画推進室の高橋信也さんです。2015年の森美術館での村上隆展も担当され、村上さんが全幅の信頼を置くこの人が居なかったら今回の展覧会は存在しなかったでしょう。テーマ「京都」の仕掛人です。
東北の震災後京都に住まいを構えた村上さんですが、「京都は五代続かないと『京都人』」とは認めてもらえないらしい。」初代として、真正面から京都に対峙して創りだした「新・村上隆ワールド」の幕開けと言えるかもしれません。
展示室最初に目に飛び込んでくるのが壁面いっぱいの京都の賑わいを描いた洛中洛外図です。洛中洛外図は室町時代末期から江戸時代に京都の街を俯瞰するようにして多く描かれてきました。現代版・村上隆の洛中洛外図は、奇想の絵師の系譜にも連なる17世紀の岩佐又兵衛筆《洛中洛外図屏風(舟木本)》東京国立博物館蔵をもとに、画像のスキャンをAIで線画化し、それを再度人の手で描き直したものだそうです。時代は特定できないが方広寺に大仏が見える事から江戸初期の賑わいを描いたもので、左隻の左上は御所、二条城、賑わう新町、三井の両替屋や室町の着物問屋、扇子の店が多かった五条や踊る女と顔を隠した男がいるのは島原、右隻には八坂神社や清水さんや大仏殿と正面橋も見えています。その間に描かれている金箔の雲をよく見ると髑髏模様、ところどころに村上隆が生み出したキャラクターも登場して、まるでウォーリーを捜せ状態になってしまいます。そういつまでも見ていられて、そのたびごとに発見があるような。
実はこの作品未完成のようなのです。
この様に会場各所でテーマや作品、カイカイキキなどについてご本人が吹き出しで解説、言い訳されており、本音トークを興味深く拝読しました。
反対の壁面は「光琳シリーズ」尾形光琳が描いた扇子をもとに円形の絵画に仕立てたものです。お花をよく見るとキャラクターの笑うお花の顔になっています。
さらに先に進みましょう。髑髏模様のカーテンの先の先にあるのは・・・あっ!
2.四神と六角栄螺堂
轆轤模様の黒い土壁で覆われた八角形の部屋、入って右手が東です。四方の壁にそれぞれの方位の守護神「四神」を、東は鴨川を「蒼龍(青龍)」、西は山陰道を「白虎」、南は巨椋池を「朱雀」、北は船岡山を「玄武」の神獣に見立てて描かれています。部屋の中央に「六角栄螺堂」が聳え立つ。実際の「六角堂」は京都の中心とされ、緊急を知らせる役目も担っていました。華道家元池坊さんが住職を務めるいけばな発祥の地です。死屍累々「もののけ」が彷徨う平安京、説明のつかないことを神獣が守護しています。
暗い部屋を出ると、一変して村上隆の代表的キャラクター「DOB君」の変容と深化の世界へ。
3.DOB往還機
90年代半ばに村上隆が提唱した「スーパーフラット」、日本の伝統的な手法は現在の漫画やアニメにも繋がる日本のオジリナリティで、それが何故に日本国内では「サブカル」と捉えられているのか。1995年に誕生した村上の代表的なキャラクター「DOB君」は、時代と共に時代の空気を吸収してトンドン変容し、進化し、深化しています。日本はキャラクター文化そのものであり、リベート文化の対極にあり、現在も進行中です。
4.風神雷神ワンダーラド
奇想中の奇想の絵師、蕭白や琳派の宗達や光琳など京都を中心に活躍した絵師に村上隆が挑めば・・・
俵屋宗達筆「風神雷神図」は関ケ原の戦いの直後なのでマッチョ、そこから私淑した光琳、抱一、其一も描き、その流れにのって村上が描く現代版風神雷神は、時代を映して能力は高いが脱力系でゆるそうです。向かいの壁面には制作関連資料が展示され、制作過程の一端を知る事が出来興味深く見入りました。
『奇想の系譜』の著者でもある美術史家・辻惟雄先生との『藝術新潮』での連載で辻先生の言葉に発奮して村上自ら筆を揮った《雲竜赤変図》日本初公開です。本展のメインヴィジュアルともなっている《金色の空の夏のお花畑》、光琳筆《孔雀立葵図屏風》の立葵を彷彿とさせる金箔の背景にお花が広がる心浮き立つ最新作です。
5.もののけ遊戯譚
現代美術家・村上隆が現在取り組んでいるもの、最新トレンドを紹介しています。が、私には用語すらよく分からず残念ながらついていけなかったです。
《Murakami. Flowers Collectible Trading Card 2023》煩悩の数108枚を制作したトレーディングカードを40㎝の絵画として制作したもので、この章にあるほかの作品も全てにおいてペインティングとは思えない超絶技巧であるとの説明でした。未来に向かって前進する村上隆の姿が見えてきます。
6.五山くんと古都歳時記
「吉例顔見世興行」の南座でもお披露目された十三代目市川團十郎白猿襲名を彩った祝幕の原画《2020 十三代目市川團十郎白猿 襲名十八番》や五山の送り火の新作なども展示されています。
会場を去る前に村上さんからの吹き出しのメッセージ《展覧会をみおえて、さようならする前に一言》もお忘れなく!
本展に先立ち村上氏はアーティスト・村上隆Youtubeチャンネル◆を開設し、本展の紹介や日本で開催する展覧会の予算、今回導入した「ふるさと納税」、工房制作風景などについてご本人が語っておいでになるのでご覧になることをお薦めします。
もちろん、会場内の特設ショップでは本展オリジナルグッズや京都限定グッズも充実し、ついつい散財しそうな予感。カタログは4月下旬に発刊予定です。
まだ工事中ですが、3月初旬には展覧会場東山キューブ前の日本庭園にルイ・ヴィトンとのコラボレーションによる約10mの巨大彫刻作品が出現します。また、京都の春の風物詩「都おどり」、村上隆によるアーチデザインが花見小路を飾ります。
当然のことながら初めて体験した現代美術家・村上隆の大規模個展、そのスケールに圧倒されて飲み込まれそうになりました。半年という会期で、これからイベントも次々と発表されると思いますので、ちょっと冷静になって再訪したいと思っています。(幸いにもフレンドシップ会員!)
【開催概要】京都市美術館開館90周年記念展「村上隆 もののけ 京都」
- 会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
- 会期:2024年2月3日(土)~2024年9月1日(日)
- 開場時間:10:00 – 18:00(入場は17:30まで)
- 休館日:月曜日((祝日の場合は開館)
- 観覧料:一 般 | 2,200 円(2,000 円)/ 大学・専門学校生 | 1,500 円(1,300 円)/ 高校生 |1,000 円(800 円)/ 中学生以下無料 詳しくは⇒◆
※( )内は前売、20 人以上の団体料金 ※障害者手帳等をご提示の方は本人及び介護者 1 名無料(学生証、障害者手帳等確認できるものをご持参 ください)
☆彡本展は、企業版ふるさと納税を導入で、京都市在住もしくは京都市内の学校に通学している高校生、大学生、専門学校生も入場料無料となりました!(学生証の提示が必要)詳しくは⇒◆
現代美術家・村上隆については、拙ブログをご参考ください。【記者発表】『村上隆 もののけ 京都』を京都市京セラ美術館で開催!!