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『類は友を呼ぶ』河鍋暁斎×松浦武四郎
テルマエ展とハシゴしての訪問。
静嘉堂の丸ノ内美術館は、有楽町と東京駅のほんとにちょうど中間にあって、どっちから行くか悩ましいです。
結局駅構内がコンパクトな有楽町駅から歩いて向かいました。徒歩10分以内といったところ。
『画鬼』『画狂』と評された河鍋暁斎と、北海道の名付け親『偉人・鉄人』な松浦武四郎が仲良しな友人とは
知らず、解説読みながら個性の強い2人が遺した展示品に『似た者同士』という言葉が浮かびました。
ハイライトはやはり『地獄極楽巡り図:明治2~5年作』と、『武四郎涅槃図:明治19年作』。
どちらも画面に登場人物(?)が多数描かれる群像図です。
暁斎は絵によってはピカソ並みに受ける印象が異なる描き方が出来てしまう人ですが、この群像図でもその能力が遺憾なく発揮されています。
細やかで精緻な礼拝する龍や観音さま、お行儀よく正座するネズミやスズメや金魚(?)、植木鉢(!?)。
背景の古木や海はサラリとした筆遣いが凄いです。
《武四郎涅槃図》は松浦武四郎が生前に自分を釈迦に見立てて涅槃図を描かせたもので、なんというか【趣味全開!!】な1幅。
お釈迦様ではなくて武四郎自身が中央に横臥し、周囲には自分の収集品や好きな物を全部描いて欲しいというリクエストに友人暁斎が応えています。
なので横臥した武四郎を囲むのは大勢の弟子ではなくて、本当に『色々』(笑)。
達磨に菩薩に鐘馗さん、なんかどっかの土産物屋に売ってそうな赤べこみたいなトラの置物。木彫りの鹿の隣は伎楽面か京劇で見るような真っ赤なお面。
上に敷かれた緋毛氈には収集品の像がズラリと並び、閻魔像やカラス天狗、おたふく像の隣になぜか古代エジプトのシャブティ(副葬品)。なぜエジプト?
武四郎はあれもこれもと描き込みの追加注文が多く、暁斎は辟易したようです。でもちゃんと叶えてあげてるから仲良しぶりが伺えます。
暁斎も武四郎も、それぞれ歩んできた人生が波乱万丈すぎるというか濃いというか”いや、無理じゃない?ソレ”と言いたくなる逸話の持ち主。
そんな2人が意気投合して作った、完璧な趣味の世界の展覧会でした。