静嘉堂文庫竣工100年・特別展 画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎 ー「地獄極楽めぐり図」からリアル武四郎涅槃図まで
静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)|東京都
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いつ行くか? 今でしょ。
当展も残すところあと十日となりました。
目玉の《武四郎涅槃図》は通期展示ですので、いつ行っても問題ないのですが、もう一つの目玉《地獄極楽めぐり図》は、会期を4分割して頁替えがあるので、どの場面を見たいかで行く時期が異なります。
全40帖のうち、特に有名なクライマックスの「極楽行の汽車」が出てくるのはその最後の頁替え回ですので、初めてこの作品を見るかたには会期末の今がおすすめというわけです。
実は私はこの作品をこれまで見たことなく、今回楽しみにして行ったところ、全巻一気の御開帳じゃなく、極楽列車には会えませんでした(涙)
でも、前半であれ中盤であれ、暁斎が心血注いで描き上げた地獄極楽図はどの場面を見ても素晴らしい。
画鬼とはいうものの「仏」の一面を見たような気になり、ああやっぱりこの人は稀代の天才画家なんだと思わずにはいられませんでした。
静嘉堂@丸の内の今回企画展は、松浦武四郎と暁斎のコラボ展です。松浦武四郎という人、私は知りませんでした(汗)
高校では日本史取らずに世界史取ったからというのは言い訳ですが。
今年2月に、神戸市博のコレクション企画展で日本の古地図特集やってたのに行ったら、松浦武四郎の蝦夷地に関する図絵や文献が出てて、そこで初めて「北海道」の名付け親である探検家だと知ったわけです。
武四郎は暁斎と交友があったそうで、生前に自分の涅槃図を描かせたのが《武四郎涅槃図》です。
お釈迦様の代わりに武四郎自身が中央に横臥し、その周囲に自分のお気に入りを全員集合させてくれとの注文に、暁斎は忠実に応えています。
解説には、武四郎のあれ描けこれ描けの注文が多くて暁斎は辟易したみたいなことも書かれてました。
でもこの涅槃図って、考えてみればコレクターとかマニアとかで呼ばれる人にとっては憧れみたいなもんでしょう。
自分が惚れ込んだ人、生き物、物品、果ては神様までが看取ってくれる絵を一流画家が描いてくれて大きな掛け軸になっている。
しかもそれを生きている間に見ることができる。まさに本望というか、蒐集家&愛好家冥利に尽きると思います。
当展には、涅槃図の武四郎が身にまとっている大首飾りの実物や、その他モロモロの蒐集品を始めとして、バラエティーに富んだアイテムが出展されています。
脈絡ないようで、実はあるんだというのを涅槃図で答え合わせするみたいな好企画です。
他には武四郎も暁斎も信仰したと言う天神様の絵やゆかりの物、さらにはコレクションをまとめた自筆のカタログ《撥雲余興》もあったりして、こりゃ完全に明治のオタクだなとニンマリしてしまいます。
一つ一つの展示品解説も、いつもの当館の流儀でわかりやすく、かつウイット溢れるキャプションとなっています。
キャプションの頭に1行で表されたミニ見出しには、たった2、30文字ながら見事に作品のエッセンスが集約されています。
毎回思うけど、誰のアイデアだろう。前館長の河野さんあたりかなあ。ご自分の喋りすぎとは一転、お題を課された学芸員さんはご苦労様です(笑)
静嘉堂さんの良いところは名品コレクションの出し惜しみしないこと。太っ腹な三菱さんの気質がよく表れた美術館だと思います。
今回も当館のスター《曜変天目》はちゃんと出てましたし、冒頭で書いた《地獄極楽めぐり図》もいろんな企画展に頻繁に出てきますので近いうちにまた見ることはできるでしょう。
当館は世田谷の奥地にあったときは、閉館前の総ざらえ展に一度行きましたが、まあ不便なとこだわと思いました。(今や某女性アーティストさん御殿で知られるエリアですね)
それが、三菱の本拠地丸の内に移転すると聞いて、洋モノの一号美術館と合わせて、和モノの静嘉堂がすぐそばなら無敵だなあと感じ入った次第です。
かの有名な明治生命館の一画だというので、移転オープン後に初めて来たときはそのビルの大扉から入ったら、警備員さん飛んできて誰何され、美術館はこっちから入るんじゃないと追い出されたのは苦い思い出です。
もうちょっと道路側に案内表示出しといてほしいもんです。
でも、重文の歴史的建築物だけあって無料観覧できる2階の回廊沿いの部屋の数々は一見に値します。
マッカーサーがいたのはこの部屋かなと、思いを巡らしながら見て回ると感慨深いものがあります。