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今年は国宝 雪松図と能面×能の意匠 圧巻
圧巻の能面と能装束、素晴らしいです。観ていて背筋が伸びる思いで、新年の展覧会としてはぴったりですね。毎年この季節は国宝《雪松図屏風》が展示されていますが、年ごとにコラボの相手が変わります。
私が沢山の能面や能衣装を観るのはここ10年くらいでは、2012年銀座松屋さんの「観阿弥誕生680年 世阿弥誕生650年 風姿花伝 観世宗家展」、2014年こちらの三井記念さん「能面と能装束-みる・しる・くらべる」、2018年松濤美術館さんの「大名家の能装束と能面」、2018年三井記念さん「金剛宗家の能面と能装束」、2019年トーハクさんの「上杉家伝来の能面・能装束」、とそんなところです。圧倒的に三井記念さんが凄いです。また三井記念さんの展示は、第一展示室で中置きのガラスケースで能面をアクリル台に立てて展示しているのが良いですね。面の内側は写真でというのは時々ありますが。裏書なども、また演者の視界までも見ることが出来る、ちょっと嬉しい工夫ですね。前回2018年の時はこの形式の展示がなかったので、9年ぶりです。皺やホリ、浮き出す血管、左右の非対称などで、微妙な表情の変化を実感します。今回こちらで一番印象的だったのは『景清(重文)』です。能装束の展示室は写真撮影も可です。唐織の技法や文様について、丁寧なキャプションがありがたいです。続いて展示室5では、目元口元に注目して、わずかな違いからくる表示の変化と年齢や人物の印象の違いについて、キャプションも教えてくれます。そして最後、今回とても感動だったのが能面作家橋岡一路氏からの新寄贈の能面、古面のうつしなど含めた110面です。氏は昨年10月逝去されたとのこと、本当に素晴らしい方を失ってしまったのだと思いました。心からご冥福をお祈りします。面は動きませんのでこちらが顔の高さや見る方向角度を変えながら、じっくりじっくり観させて頂きました。優れた技術は勿論ですが、氏の能面に向き合う真摯な姿勢までもがおもてからも滲み出してくるように感じましたた。
平日の午後、会期末が近いのですが、意外に空いていてゆっくり、この幽玄の世界を堪能できました。