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不倒 正統としての写実を貫く
展覧会のタイトルの「不倒」は鹿子木孟郎の雅号である。
鹿子木は渡欧してフランス・アカデミズムの正統に学んだ。当時、渡欧した画家が印象主義といった新しいもの、独創的なものに傾斜する中、ひたすら正統としての写実の道を貫く。新しいものは脚光を浴びがちだが、そのために正統的なものの価値がなくなる訳ではなかろう。倒れることなく写実を貫くという姿勢には感銘を受ける。
そこでの写実とは、ただ似姿を写すということではなく、対象に向き合い、向き合うべき対象を画の中に存在させるということであろう。多くの人体デッサンは確かなものであり、関東大震災時を描いた《大正12年9月1日》は静かにその時の光景を存在させる。《木の幹》のどっしりした姿には、信念を貫くという強い意志が感じられ、鹿子木自身を表わしたもののようである。
泉屋博古館らしからぬ(?)洋画の展覧会は、住友家(住友春翠)が鹿子木を支援していたことに由来する。鹿子木は、自身の作品のほか、泰西名画の模写なども作成し住友家におさめており、その幾つかも展示されている。それらも西洋絵画を伝える確かなものである。









