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日本画が描く、愛の深淵と癒し
LOVE(愛)とひと言で言っても、そのかたちは実にさまざまです。
男女の愛だけでなく、家族への愛、動物への愛、敬愛する人への想い、そして故郷を思う心まで――本展は、その幅広い「愛」の表情を静かに、そして鮮やかに見せてくれます。
とりわけ強烈な印象を残すのが、男女の愛を描いた作品群です。
鏑木清方《薄雪》、北野恒富《道行》、池田輝方《お夏狂乱》――これら福富太郎コレクションの3点はいずれも、悲劇的な男女の愛を主題とした大作。鑑賞しているうちに、心の奥底をえぐられるような感覚にとらわれます。
そこへ畳みかけるように現れるのが、道成寺伝説の安珍・清姫を描いた小林古径《清姫》の連作8点。情念、執着、哀しみが連なり、ここで完全にノックダウン。
男女の愛は、どうしても深く、濃く、そして重たいものとして描かれてしまうのだと痛感させられます。
その一方で、家族や動物など、別のかたちの「愛」を描いた作品たちは、驚くほどやさしく、観る者を癒してくれます。思わず頬が緩み、心がほっとほどけるような感覚。
この“重たい愛”と“やさしい愛”の振れ幅、その落差こそが、本展の最大の魅力なのかもしれません。












