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「六甲ミーツ・アート芸術散歩2023 beyond」が始まりました\(^o^)/

作品No.25武田真佳〈case〉@六甲ガーデンテラスエリア

それに先立ちプレスプレビューに参加してきましたので、ご報告いたします。

コロナ禍の以前は、夏の終わりから晩秋まで六甲山上で開催されてきた現代アートイベントは毎年の楽しみでした。

コロナ禍となって以来久々の六甲山です。電車、神戸市バスと乗り継いで、六甲ケーブル下駅では、作品No.1菅原陸〈となりにいてあげる〉がお出迎え。六甲ケーブル山上駅ではインパクト大の作品No.2轟木麻左臣〈ピエロ、ルーレット〉が待ち構えていました。六甲ケーブル山上駅を出ると吹く風は涼しく大阪湾も一望です。六甲ケーブル山上駅は「近代化産業遺産」にも選定されているのでお見逃しなく。バスでの移動前に2階から通じるお隣の天覧台からの眺望に深呼吸です。爽やか~。こちらにも展示がありますのでお忘れなく。(前日の激しい夕立のために再度組み立て中でした。)

かつてゴルフ場だった「六甲カンツリーハウス」、一番てっぺんまで上るのがかなりキツクなっていた私ですが、現在はフィールドアスレチックとなって展示会場から除外されています。また六甲山上のメルクマーレのような六甲枝垂れも別のアートイベントが開催中で展示会場から除外されています。今回から整備された「トレイルエリア」は、六甲ケーブル山上駅前から入れるようになっています。

OFFICIAL GUIDE MAP”によれば、全トレイルエリアの鑑賞目安時間は120分となっています。

※トレイルエリアを歩かれる方は、しっかりした靴とリュックでお出かけ下さい。

受付とオリエンテーションを済ませて、希望者はバスに乗って総合ディレクター/キュレーター高見澤清隆氏直々に主だった展示ご案内頂きました。展示作品については、多くの作家さんからご説明頂きました。開催期間中は作家さんがメンテナンスしていることも多く、作家さんとお話することも可能です。

それではガイドツアーを振り返りながら、特に印象に残った作品を画像でご紹介しましょう。


作品No.29わにぶちみき〈BeyondtheFUKEI〉

まずは六甲有馬ロープウェー六甲山頂駅

1階入ったすぐ作品No.28土屋さやか〈ひらがなサーカス〉土屋さんは子供教育にも携わってきた作家さんです。天井から吊るされたたくさんの色とりどり作品、壁面を飾る作品は柔らかそうな触感や優しさや思いも伝わります。2階のかつて使われていたロープウェーは今やインスタレーションの一部となっている。大自然を背景にした作品No.29わにぶちみき〈Beyond the FUKEI〉会期中に自然の影響を受けてどのように変化していくのだろう。作品の対面にあるロープウェーの旧操縦室に映る像やロープウェーの中の作品もお見逃しなく。

ロープウェー六甲山頂駅から歩いて六甲ガーデンテラスを目指します。作品No.27ノセレーナ<ピョンコス>左手山側には笹の中にポップな写真作品を眺めながら先に進む。突き当りの広場にドーンと存在していたのは鉄のオブジェ作品No.26橘宣行〈フライングギドラ〉、作家さんの許可があれば乗ることもできます。少年たちはテンション上がりそうです。さらに先に進み左手にここからの眺望も素晴らしい「見晴らしデッキ」のあるレストランの前を通り過ぎ、右手上に六甲枝垂れを眺めながら六甲ガーデンテラスへ。夕刻の沈みゆく太陽をバックにした六甲枝垂れは本当に美しいです。見晴らしの塔にも上ってみましょう。

見晴らしテラスの先に立っているのがメインヴィジュアルの作品No.25武田真佳〈case〉です。作品のお隣で自分自身も目の前に広がる景色に向かって両手を広げてみたくなりました。

作品No.24佐俣和木〈Re: Think Sports~あなたの身体と向き合う10個のスポーツプログラム〉山上各所に六甲山の環境と身体との関係から作家さんが考えた独自の体操の映像作品です。一緒に身体を動かしたくなるかもしれません。


六甲高山植物園西入口入ってすぐから 作品No.19北浦和也《PicniconCircleCircus》 を望む

ここから再びバスに乗って六甲高山植物園へ向かいます。

西入口から東入り口に向かって上っていく感じです。歩く道の側に咲いている花や珍しい植物にもレンズを向けてパシャリ。ショップアルピコラ前で「ひかりの森」で映像インスタレーションを手掛ける赤坂有芽さんからショップの板壁に穴を開けて覗く作品No.17《柔らかな外皮》の説明を受けて先に進み、上記写真の作品No.19北浦和也《Picnic on Circle Circus》をぐるりと回って見上げる。高山植物園にある小便小僧を模した像が逆立ちして水を吹き出しながら、六甲山に多く生息する色鮮やかな雉を支えていました。「こぶし基金賞」を受賞した作品No.20柴田まお《Camouflage Print》作家さんから制作の意図や風雨で作品が倒れてしまい大変だったお話などを伺う。さらに進むと黒い幅広のビニールで回りの木々を囲い、地面に黒いビニールが間隔を置いて敷かれて、「820」「822」「824」数字が見える。作品No.23鮫島弓起雄《山を解く》黒いのは等高線で、数字は標高を表していました。山が海に迫る神戸を象徴するような作品で、ここまでの道程を数字で再確認しました。


作品No.22加藤美紗《溢れる》部分

上の広場にキラキラと光るものが見える、キレイだ!惹きつけられるようにドンドン近くに。作品No.22加藤美紗《溢れる》透明度と強度のある球体のブロックに水を詰めて約700個で構成した作品です。周りの景色を映し、隣り合うブロック同士が反射して、晴天のこの日はキラキラと輝いていました。触ってもOKということで、押してみると“ぷにょぶにょ“雨の日は雨粒を載せて、雨粒を映し、秋にはきっと紅葉も映すのだろう。周りの環境の変化も映し出していきます。使用した水はナント7トンだそうです。

作品No.21黒瀧舞衣《The Flower of Life》木彫で積み上げた生命の花は作家さん本人のお顔と似ていました。急な階段を上って東入口へ。本来ならコチラから下っていく方が楽で、そのまま道路を歩いてもROKKO森の音ミュージアムにも近いし、「ひかりの森~夜の芸術散歩」開催日には西入口からSIKIガーデンへ繋がっています。


作品No.5五月女かおる《食事の風景》

バスで兵庫県立六甲山ビジターセンター(記念碑台)

作品No.5五月女かおる《食事の風景》本来なら牛の顔側から撮った写真の方が、ワイヤーだけで形作った作品の造形、全体像が分かり易かったのですが、他の写真には人物が写り込んでいたりしたので、説明する作家さんが写った画像にしました。「六甲ミーツ・アート芸術散歩 2023 beyond 公募大賞」グランプリ受賞作品です。高級ブランド牛の神戸で観る?観察する、食べられる牛が草を食む作品で複雑な気分でした。牛さんの中にも頭を突っ込んでみてもよいそうで、まさに牛さんの気分。


作品No.6川本亮《六甲の蟻塚》

朽ちていく作品。作品No.6川本亮《六甲の蟻塚》東大医学部卒とあり、本業は他にある異色の経歴の作家さんです。中南米に見られる蟻塚からインスピレーションを受けた造形で、土や木くずを主成分としたこの造形は会期期間中に自然の風雨にさらされて風化してきます。夜には中南米で見られる光を放つ昆虫を模してライトアップされるそうで、風化する蟻塚の中から洩れる光を見てみたい。「神戸市長賞」受賞作品。

さぁて午後からは、今回から整備されたトレイルエリアを歩きながら、トレイル沿いにある作品を鑑賞します。歩くのは25分ほどですとの説明でした。山荘やお洒落な家が道沿いに建ち、カフェもあります。横道へそれると下方にデジタル画面が見える。作品No.33横手太紀《星のいるところ》画面の前にオラウータンのような物体が動いている。剥いだ鹿の皮を重ねたものらしい。翌日の夕刻は物凄い夕立で作品は大丈夫だっただろうか。前日も激しい夕立がありトレイルエリアはかなりぬかるんでいました。


作品No.32中﨑透《Sunny Day Light/ハルとテル》

実った「小さいな恋の物語」作品No.32中﨑透《Sunny Day Light/ハルとテル》神戸老舗子供服メーカーの坂野家がかつて使っていた山荘を丸ごとインスタレーションとした作品です。朝ドラにもなった神戸子供服メーカーに生まれた少女ハルとそのお隣に山荘があった少年テルの小さな恋の物語を主軸として、少女の成長とファミリーヒストリーが展開します。作家中﨑がハルから直接聞いたお話をエピソードとして文字で提示し、エピソードから着想した作品が並列して、門からはいって家の周りを一周しながら心温まる物語は進んでいく。目の前のインスタレーションを観ながらも、きっとあそこの女学校だなどと思いを巡らせて、神戸ならではの作品でした。「主催者特別賞」受賞作品です。

日本最古のゴルフ場側のトレイルもあるそうですが、今回は別のルートで(もゴルフ場の一部も見えます)アップダウンのあるまぁまぁの山道で、道のすぐ横には神戸名物イノシシさんの掘った穴が続いていました。途中に「ヴォーリズ六甲山荘」の前も通りました。作品No.31モリン児《鱗玉スプートニクのある所》を回り込んで、

ようやっとROKKO森の音ミュージアム敷地内に到着。


作品No.30川俣正《六甲の浮き橋とテラス》

作品No.30川俣正《六甲の浮き橋とテラス》森山未來キュレーションによる夕刻からのオープニングパフォーマンスの舞台でもあります。8月26日は神戸の一部は停電になるほどの激しい夕立だったので大丈夫だったででしょうか。


作品No.9コニシユウゴ(たま製作所)《Moon Plants》

ROKKO森の音ミュージアム前からSIKIガーデン~音の散策路~

池の上に浮かぶ不思議な小屋?作品No.9コニシユウゴ(たま製作所)《Moon Plants》舞台美術などにも携わっている作家さんで、小屋?を覆う素材も自作されているらしいし、夜には発光するそうで、池の中で光る光景も見てみたい作品です。小屋の中には水中植物もあり、自分を取り巻く自然環境への作家の思いも内包する。「六甲ミーツ・アート芸術散歩 2023 beyond 公募大賞」準グランプリ受賞作品。


作品No.10船井美佐《森を覗く、山の穴》

野外アート作品展示ゾーンには素材の異なる4つの作品が会期終了後も展示されます。

作品No.10船井美佐《森を覗く、山の穴》鏡に写しだされる空や風景も、季節や天候と共に移り変わってきます。作品と自然の境目がなくなり背景に溶け込んでいくようです。

 

展示会場は9つ、展示作品数は51件。アップできる画像数が限られており、画像として紹介できなかった作品が殆どです。「風の教会」内にあった作品No.48椿昇《Daisy Bell》記者発表のブログで掲載した2015年の八木良太《Echo of Wind》の静寂な作品とはあまりにも違っていてインパクトがありました。

もちろん全てを回れた訳ではありません。下界よりは涼しいとはいえまだまだ暑く、紅葉の頃に再訪出来たら嬉しいです。今回から「表現の向こう側(にあるもの) Beyond Representation」と言うテーマが設定されています。その意味も考えることもさることながら、ガイドツアーに参加されていた若い女性たちはすぐに仲良くなりワイワイと本当に楽しそうでした。地図を片手にこの先にはどんな作品があるのかとワクワクしながら現代アートを巡る芸術祭は誰もが楽しめるアートイベントです。

コロナ禍前有馬温泉街は食べ歩く外国人観光客で溢れかえっておりました。ロープウェーで有馬に降りて汗を流すのがお薦めですが、予約が取れるかは???です。

【開催概要】六甲ミーツ・アート芸術散歩2023 beyond

  • 会期:2023年8月26日(土)〜11月23日(木・祝)

※六甲山サイレンスリゾートのみ8月~10月の毎週月曜休業(月曜祝日の場合は火曜に振替休業)

  • 会場:神戸市・六甲山上9会場

ROKKO森の音ミュージアム/六甲高山植物園/六甲ガーデンテラスエリア/六甲ケーブル/(六甲ケーブル下駅・山上駅・天覧台)/トレイルエリア/風の教会エリア/六甲有馬ロープウェー 六甲山頂駅/兵庫県立六甲山ビジターセンター(記念碑台)/六甲山サイレンスリゾート(旧六甲山ホテル)

  • 開催時間:10:00〜17:00 ※会場により営業時間が異なります。17時以降も鑑賞できる作品があります。
  • 鑑賞パスポート料金 ※詳しくは⇒コチラから
  • 公式サイト:https://rokkomeetsart.jp/




プロフィール

morinousagisan
阪神間在住。京都奈良辺りまで平日に出かけています。美術はまるで素人ですが、美術館へ出かけるのが大好きです。出かけた展覧会を出来るだけレポートしたいと思っております。
かつて関西のアートサイトに読者レポートとしてアートブログを掲載して頂いていたご縁で、展覧会担当の広報会社さんから私個人に内覧会や記者発表のご案内を頂戴し、「アートアジェンダアートブログへ投稿」という形を広報会社さんに了解頂いて、アートブログを投稿しています。アートブログは全くの素人の個人としての活動です。
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