クールなアングラ世界【大谷資料館】

栃木県中部、餃子推しな宇都宮市郊外の「大谷資料館(おおやしりょうかん)」。
度々テレビでも紹介されている資料館ですが、これまで中々機会がなく、今回つかの間の夏休みで初訪問。
地下のファンタジー空間に大興奮しましたので簡単ながらレポートです。

「とにかく涼しい」「まるで別世界」との前評判を聞いていたので、外気温36℃・炎天下の今こそ行くべきでしょ!と宇都宮から車で大体30分。
山の中というわけでもなく、ちょっと郊外で岩山が増えたな…という印象の道路を看板頼りに向かいます。
駐車場は第1.第2と区分けされつつ100台以上の収容レベル。そこからは炎天下に閉口しつつも徒歩でてくてく資料館へ。
ちょっと登坂で運動不足と暑さにハフハフしながら資料館の出入口に到着です。
小高い岩山の縁に張り付くように建つ館は、なんだかプレハブのようなシンプルな平屋建物。
広大な広さを想像していたので、こぢんまりした外観に「え?ここ?」と一瞬不安になります。
建物に入るとたくさんの映画ポスターが壁のあちこちに貼られていて、これまで場所を利用した映画作品なんだとか。

最初は受付最寄りの地上フロアにある資料展示スペースを鑑賞。
採掘が行われていた江戸時代中期から昭和初期までの採掘方法の歴史や、採掘手段の解説、道具などが並びます。
石も地域によって特色があるらしく、並んだ見本パネルには独特な緑がかったライトグレーの大谷石たち。
大谷石は栃木県宇都宮市の郊外、大谷町を中心に東西5km、南北10km程度分布している凝灰岩(火山の噴火でできる軽石類)です。約1,500~2,000万年前に火山から噴出し石や岩片が海底に蓄積し、固まって生まれました。
特徴は他の石よりも軽くて(あくまで石の中の比較)、加工もしやすい。
緑がかった灰色の淡い色が美しいです。
そして耐火性能にも優れているので、北関東では割と大谷石製の石蔵や民家の塀を見る事ができます。

地下空間への入口案内版の横には【※上着をお持ちください】と大きな字で注意喚起が。
外気36℃の中で動いていたので、一応ショールを持参しつつもそこまでの涼しさになるのか?とけっこう半信半疑でした。
階段を一段一段降りる度に最初はひんやりした涼気に「ほえ~」となりましたが、降りるにつれて下降し続ける気温に
え?…え!?と驚き、階段から全体の地下空間を見渡せる場所に降りて絶句です。
広い!!…そして寒い!
自分の吐く息が白く見えた事にビックリして石壁に掛かっているレトロな温度計を見たら、なんと13℃のメモリ。
外が36℃だから20℃以上の落差です。慌ててショールを巻き付けて、ちょっと濡れて滑りそうな階段を降り続けます。
地下空間、絶景でした。
空間の広さは総面積2万㎡にも及ぶそうで、深さは30m、最も深い箇所は地下60m。
30mは大体ビル10階建ての高さに相当しているので、10階建てビル内部が吹き抜けになってるイメージでしょうか。
全て繋がった地下空間ですが、エンタメ目的ではなく採掘場なので、採掘方法由来の名残りで区画がいくつか分かれています。
演劇の舞台のような半円形になっていたり、切り出した石材が無造作に積まれていたり、石を運んだであろう坂道を中央にしてまとまったスペースがあり、実に探検のし甲斐がある空間です。当然陽の光が届かないので、照明は必須。白だけでなく、赤や青の色鮮やかな照明が周囲を幻想的に照らしています。

壁には至るところにツルハシで岩を打ったであろう窪みや、あるいは機械で石を削り出した直線が見られ、現実に石を切り出した歴史が実感できますね。
硬い岩を地上から何十メートルも掘り進めただろう労力を考えると気が遠くなります。
大興奮のまま写真を撮り、散策可能エリアをくるくる回り、1時間以上地下で過ごしてしまいました。

中はアート作品の展示場としての役割も担っており、訪問時には地底湖のような水の溜まった箇所に華道家・假屋崎省吾氏の赤いオブジェが飾られており、中に入れこそしませんでしたが、奥まった石材が積み重なった場所は、アイルランドの歌姫エンヤが歌ったとの案内板。他にも国内外アーティストが撮影した履歴一覧と、高級ブランド時計や車のプロモーション会場として使用されたとの誇らしげな紹介パネルが壁に飾られていました。
音響の善し悪しは分かりませんが、この独特な雰囲気は映像作品の世界観をどんと押し上げただろうなと思います。
温度も世界観もクールなアンダーグラウンド大谷資料館。
地質的にも歴史的にもエンタメ的にも期待伸びしろがあり過ぎる、訪問推奨スポットです。
