『ティファニーで間食を―TIFFANY Wonder 技と創造の187年―』
5月下旬、定時ダッシュの滑り込みでエキシビション“「ティファニー ワンダー」技と創造の187年”を訪問しました。
会場は【虎ノ門ヒルズ】駅に直結した虎ノ門ヒルズステーションタワーの45階。
エレベーターに1度乗り継いで、8階から直通運転で一気に45階の会場へ上ります。
夕暮れ時の大きな窓ガラスからオレンジと薄紫の夕焼け空が広がり、夜景に向かうビル群と港湾景色がもの凄く綺麗、さすが高層階。
が、見惚れていると会場受付19時になってしまうので足早に会場入口へ。
入口近くには巨大なブランドアイコンのティファニー・ブルー色のジュエリーボックスとキラキラ輝くバードオブジェが鎮座しています。
憧れのターコイズカラーのジュエリーボックスに気分が一気に上がって箱に群がりパシャパシャ写真撮影。
受付案内では入場締め切り時間カウントダウンと音声ガイドをアプリダウンロードするようにとのアナウンスが。合理的ですね。
約17年ぶりとなるという本展は、展示総数約500点、そのうち世界初公開作品が180点、日本初公開が約380点というブランドでも初レベルな大型展覧会です。
ハイブランドとして創業から187年をかけて培ってきた職人技やジュエリーデザインの創造性、日本との絆、宝飾に留まらない社会との関わり等、テーマが多岐に渡りすぎて目移りが忙しい。
盛り沢山な展示は下記の10コーナーで構成されていますが、その中から注目ポイントを迷いに迷って絞っていくつかご紹介します。
ROOM 1 : The World of Tiffany
ROOM 2 : Wonder of Origin
ROOM 3 : Wonder of Design
ROOM 4 : Garden of Imagination Jean Schlumberger
ROOM 5 : In Love with Japan
ROOM 6 :Wonder of Dreams
ROOM 7 : Breakfast at Tiffany’s
ROOM 8 : Wonder of Celebration
ROOM 9 : The Diamond Kings
ROOM 10 : The Tiffany Diamond
注目①ROOM 3 : Wonder of Design
“デザインの偉業”と題した部屋では、ティファニーの代表的なデザイナーたちの著名な作品が展示されています。
若干足元がおぼつかないほど照明を落とした暗い空間に浮かび上がるジュエリーは本当に【主役】という存在感。
なかでも創業者の息子で2代目ルイス・C・ティファニーはアメリカ屈指のデザイナーとして名を馳せています。
代表作は“メドゥーサ ペンダント”。1904年のセントルイス万国博覧会での発表後に紛失し、つい最近オークションで発見、買い戻したいわくつきです。
社長兼CEOのA:ルドリュ氏も展示に際してニューヨーク本店以外で紹介するのは初めてだと注目作品としてコメントしています。
名前からして、ヴェルサーチのような蛇頭の女性モチーフを想像しましたが、中心部分には乳白色の中で虹色にきらめくオパールが輝き、
ヘビの髪の毛というよりクラゲやタコ?脚のようなくねった枝のような彫金がオパールを支えています。
優美なフォルムはアールヌーボーのミュシャが連想されるデザイン。
デザインとは別に、一角に宝石と石を支える金具をくっつける「ストーンセッティング」の職人さんがおり、セットした実物ジュエリーをなんと鑑賞者に順繰りに手のひらに乗せてくださいました!
TVショッピングのダイヤモンドとか、3mmくらいでも1カラットなのに、ソラマメより大きい4cmはあろうかというサイズ。
手がプルプルしてしまい、載せてもらって5秒で職人さんにお礼を述べて返却しました。。。
注目②ROOM 8 : Wonder of Celebration
”祝福の時”の部屋は、野球やテニス、競馬、スポーツ競技のチャンピオントロフィーが並び、上には優勝選手たちが笑顔でトロフィーを授与される映像が流れています。
ハイジュエリーメーカーのティファニーがトロフィーをこんなに作成しているとは知らずビックリしましたが、アメリカ主要スポーツ競技の優勝トロフィーは多くがティファニー製。
例を挙げればバスケットボールNBA優勝トロフィー。
紅白歌合戦以上の視聴率を誇り、当代最高のアーティストがハーフタイムを盛り上げるアメリカンフットボールNFLスーパーボウル優勝トロフィー。
松山英樹選手も毎年参加する最高峰ゴルフ選手権PGA®ツアー・フェデックスカップ。
テニスの全米オープンの男子・女子各シングルスの「USオープン・トロフィー」。
さらには昨年のWBCで大谷選手が掲げたトロフィーもティファニー製。12kgあるとか。重い!
これらは全てニューヨーク州のお隣、ロードアイランド州のティファニー社ホローウェア工房で160年以上前から手作業で作られています。
こちらのコーナーの壁際でもシルバーに文字やモチーフを彫るエングレービング(彫刻)する職人さんが実演中。
金属を彫る道具がいくつも並べられて、使い込まれた道具の把手部分の飴色のテカリに職人さん達の実績が垣間見え、息をひそめてガン見してしまいました。
注目③ROOM 6+7 :Wonder of Dreams夢の世界×Breakfast at Tiffany’sティファニーで朝食を
名画【ティファニーで朝食を】にフォーカスしています。
1837年の創業からNYに店を構え、確かな研磨技術と東洋美術を取り扱う商業センスで急成長したティファニーは、フランス2月革命のドサクサで王侯貴族から由緒ある宝石を買い付けた事で一気に知名度があがります。
そして当初からジュエリーを効果的に見せる為に、劇場や映画のようなドラマチックなディスプレイを得意としており、オードリーヘップバーン主演の自社ブランドタイトルの映画でアメリカを代表するハイブランドの地位を不動のものにしました。
「夢の世界」コーナーでは、細かく横80cmくらいに仕切られた空間にジュエリーを中心にした芸術的なディスプレイが並んでいます。
宝石が主役のディスプレイですが、それぞれの世界観というか、ドラマティックなアピールに鑑賞の皆様、私含めて写真音があちこちで凄いです。
マスコミの記者会見もきっとこんな感じなのかなとふと思いました。
注目④ROOM 10 : The Tiffany Diamond
最後の「ティファニーのダイヤモンド」は正に展示のハイライト。
入口ポスター写真の実物、128.54カラット(‼)のイエローダイヤモンド“ザ ティファニー ダイヤモンド”が部屋の中央に燦然と輝きます。
5羽の鳥がイエローダイヤモンドの周りを羽ばたく最新デザインは、ニューヨーク本店“ザ ランドマーク(The Landmark)”のリニューアルを記念し、
合計75カラット以上のダイヤモンドと10石のピンクサファイヤを使い、製作に2000時間以上かけて2022年に制作されたそうです。
イエローダイヤの石自体は1877年に南アフリカのキンバリー鉱山で発掘されたもので、発見翌年にティファニーが購入。
デザインを変えてのジュエリー披露です。とにかくカナリヤイエローのダイヤモンドが大きいし、小鳥が眩いしでチカチカしますが、注目はこの巨大ダイヤの研磨が可能なティファニーの技術です。
元は地中の鉱石の1つに過ぎないダイヤモンドを、かくも美しくできるティファニーの技術が素晴らしいですね。
こちらには3人目の職人さんもおり、灰色の小さな小石が研磨され、キラキラ輝くダイヤモンドに変化していく様子を見せてくれます。
注目の展示内容の多彩さと宝石の輝きにお腹いっぱいになって会場出口へ向かいましたが、何より印象深かったのは黙々と技術を披露する職人さん達でした。
滅多にお目に掛かれない宝石職人の技術が垣間見れる機会はそうあるものではありません。
そしてアメジストをにこやかに手渡してくれたストーンセッティング職人さんはアングロサクソン系、シルバー彫刻のエングレービング職人さんはドレッドヘアでレゲエなカリブ海感が漂い、
石の研磨を繊細な指使いで披露した方はインド・パキスタン地方のお顔立ちで、外見上の出身エリアがまるで違います。
けれど【ティファニー】職人の一員であるという共通点に『人種のサラダ・ボウル』と評されるアメリカの多様な人種世界が体現したようで、なんだか企業の頼もしさに私の中のティファニー好感度と憧れがMAX越えに。
さすがに帰りに店舗によってアクセサリーをお買い物、、、とは行きませんが、映画よろしくティファニー店舗前のカフェを見つけてクロワッサンを間食にしようと決意しました。
展覧会は6月23日まで(下記参照)。
■「ティファニー ワンダー」技と創造の187年
日程:〜6月23日
時間:11:00〜20:00
場所:虎ノ門ヒルズ ステーションタワー 45階 TOKYO NODE
住所:東京都港区虎ノ門2丁目6-2
不定休