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名画・名品

画家ポール・ゴーギャンのために描いた《ひまわり》。黄色い背景で、黄色いひまわりを引き立てる!?背景色を模索しながら何作品も描いたファン・ゴッホの7点の《ひまわり》を辿る。

フィンセント・ファン・ゴッホ《ひまわり》 1888年 油彩・キャンヴァス
フィンセント・ファン・ゴッホ《ひまわり》 1888年 油彩・キャンヴァス

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この名画・名品を観に行きたい!美術館散歩

私たちが普段、美術館や博物館に足を運ぶときは、あるテーマの企画展や特別展などを鑑賞しに出かけることが多いのではないだろうか。多くの美術館や博物館では、各館のコンセプトに沿って、絵画や彫刻、版画、工芸など様々な作品を収蔵している。それらの作品の購入や寄贈により、形成されていくコレクションがどのようなものか、あるいはそれらの収蔵作品がどのような変遷を経ているかなども、各美術館や博物館の個性や特徴を知って、より深く鑑賞を楽しむ手掛かりとなるのではないだろうか。
「この名画・名品を観に行きたい!美術館散歩」では、そんな美術館・博物館の収蔵作品から注目すべき作品を1点ずつご紹介していく。

フィンセント・ファン・ゴッホ《ひまわり》 この名画・名品を観に行きたい!美術館散歩 Vol.04 / SOMPO美術館

あまりにも有名なゴッホの名画「ひまわり」。実はこの「ひまわり」と題するゴッホによる作品は、世界に複数点存在している。ゴッホによる制作が認められている7作品のうち、残念ながら1点は戦時中に焼失し、現存しているのは6作品である。

そのうちの貴重な1点が、日本にあり、この度「東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館」から新たな名称で移転、開館する「SOMPO美術館」が1987年から所蔵しており、アジアで唯一見られる「ひまわり」として知られている。

この作品が描かれた経緯と色彩に見られるゴッホの挑戦について、SOMPO美術館の学芸員 小林晶子さんにお伺いした。

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1888年8月、フィンセント・ファン・ゴッホは「ひまわり」をテーマにしたシリーズを描こうと考えます。

当時ファン・ゴッホは南フランスのアルルで、仲間の画家たちが集まり共に制作する「共同アトリエ」を計画していました。このアトリエのリーダーになって欲しいと声をかけていた画家ポール・ゴーギャンのため、ファン・ゴッホは部屋をひまわりの絵で飾ろうと考えたのです。

まず初めに、ファン・ゴッホは花の黄色が引き立つよう、“青い背景”の黄色いひまわりの絵を3点描きました(この時描かれた3点のうちの1点は個人所蔵、もう1点は日本の実業家が所蔵していましたが、第二次世界大戦中に空襲のため焼失してしまいました。3点目は現在ミュンヘンのノイエ・ピナコテークが所蔵しています)。
◎ “青い背景”の《ひまわり》参照画像
フィンセント・ファン・ゴッホ《ひまわり》(Google Arts &Culture/Philadelphia Museum of Art)

そして4点目として、今度は“黄色い背景”に黄色いひまわりを描きました(現在はロンドン、ナショナル・ギャラリー蔵)。ファン・ゴッホは全部で6点もしくは12点描くつもりでしたが、4点描いたところで夏が終わり、ひまわりの季節も終わってしまいました。

SOMPO美術館が収蔵する《ひまわり》は、1888年の11月下旬から12月上旬に描かれたと考えられています。

もちろんこの季節にひまわりは咲いていないので、ファン・ゴッホは4点目に描いた「黄色い背景のひまわり」を自ら模写しました。模写といってもコピーをしたのではなく、筆づかいや色合い、花と背景のコントラストなど、少しずつ変化を加えています。

ファン・ゴッホはしばらく前から、青色のように黄色を引き立てる別の色は使わず、黄色一色で描く対象を際立たせる方法を模索していました。「黄色い背景のひまわり」はファン・ゴッホにとって、色彩をより鮮やかにするためのひとつのチャレンジと言ってよいかもしれません。

ゴーギャンのために描いた《ひまわり》ですが、結局二人の共同生活は有名な「耳斬り事件」を機にわずか2か月(1888年10月~12月)で終わってしまいます。1889年1月、病院からもどったファン・ゴッホはアルルを離れてしまったゴーギャンのため、再び「青い背景」と「黄色い背景」の《ひまわり》を1点ずつ模写します(この時描かれた「青い背景のひまわり」はフィラデルフィア美術館が、「黄色い背景のひまわり」はアムステルダムのファン・ゴッホ美術館が所蔵しています)。

SOMPO美術館の《ひまわり》は、美術館のリニューアルに伴い、新しい展示室に引っ越しました。新しい展示室では、より鑑賞しやすくなるよう、壁の色や照明など、あらためて展示の仕方を工夫しています。ぜひ足をお運びいただき、生でご鑑賞いただければと思います。

(SOMPO美術館主任学芸員 小林晶子)

この作品、フィンセント・ファン・ゴッホ《ひまわり》は、リニューアル開館となるSOMPO美術館の「珠玉のコレクション-いのちの輝き・つくる喜び 開館記念展Ⅰ」(※開幕延期)で観ることができる。まさに、“珠玉”の作品である、フィンセント・ファン・ゴッホの《ひまわり》を直接その目で堪能できる、貴重な機会にぜひ足を運んでみて欲しい。

※開館の状況は、お出かけの際に公式サイトをご確認ください。

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「開館記念展Ⅰ 珠玉のコレクション」
開催美術館:SOMPO美術館
開催期間:2020年5月28日(木)※現在開幕未定~2020年9月4日(金)
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SOMPO美術館
〒160-8338 東京都新宿区西新宿1丁目26-1
開館時間 10:00~18:00(最終入館時間 17:30)
休館日 月曜日(祝日・振替休日の場合は開館)

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