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美の殿堂たる風格を称えた、
「東京国立博物館」誕生の歴史に迫る!

1872年に開館した日本最古の博物館。700件超の国宝・重要文化財の所蔵を誇る、東京国立博物館

美術館紹介

美の殿堂たる風格を称えた、「東京国立博物館」誕生の歴史に迫る!1872年に開館した、日本最古の博物館であり、700件超にのぼる国宝・重要文化財の所蔵を誇る。

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浮世絵にも描かれた、黄金のしゃちほこが注目を集めて大盛況となった博覧会が、「東京国立博物館」誕生のきっかけ

わが国最古の博物館である「東京国立博物館」誕生のきっかけとなった博覧会がある。
1872年(明治5年)3月10日、文部省によって、湯島聖堂(現在の文京区)において初めて開催された博覧会である。この「湯島聖堂大成殿」において行われた博覧会は、20日間の会期が予定され、午前9時から午後4時までの開館時間が設けられていた。

二代目 歌川国輝(一曜斎国輝)によって、当時の博覧会での展示風景が描かれた浮世絵がある。画面手前には、山椒魚の入った水槽があり、中央には堂々たる大きな黄金の鯱(しゃちほこ)が。当時の出品目録による記録では、600件余りが陳列されていたそうだ。正面の堂内には絵画・書跡・珊瑚・金工品が、右の棚には剥製・骨格見本・額画、左の棚に染織品・漆器・楽器・陶器類など、まさに博覧に供するありとあらゆるものが描かれている。

とくに黄金の鯱が観覧者の注目を集め、博覧会は大盛況となり、3月末までだった会期を4月末日までに延長せざるを得ないほどであった。博覧会の入場者総数は15万人、1日平均約3,000人もの観覧者が足を運んだ。

当時の人々にとって、このようにガラスの陳列ケースが室内に並んだり、ケース内に陳列品が並ぶといった光景は、物珍しく、「美術品を鑑賞する」という新しい概念との出会いでもあった。東京国立博物館は、政府によるわが国最初のこの博覧会の開催をもって創立・開館の時としている。

大久保利通によって提唱された「内国勧業博覧会」が、東京国立博物館、奈良国立博物館、京都国立博物館の誕生へとつながっていく。

博物館として開館した後、間もなくの明治6年、内山下町(現在の内幸町)に移転し、次いで明治15年には現在の上野公園に移った。

上野には、江戸時代に徳川幕府のために建立された広大な寺領を有した東叡山寛永寺があったが、明治元年の戊辰戦争でその伽藍は灰塵に帰していたため、明治8年12月には、博物館建設予定地として内務省に引き継がれた。翌9年には、博物館が上野公園を管轄することとなった。こうして博物館の上野移転が本格化していった。

それに拍車をかけたのが、内務卿 大久保利通によって「富国強兵・殖産興業」のスローガンとともに提唱された「内国勧業博覧会(ないこくかんぎょうはくらんかい)」であった。「内国勧業博覧会」は、近代化促進、産業発展を目的とした政府主導の博覧会であった。

1877年(明治10年)に開催された第1回目の内国勧業博覧会では、閉会後にも継続的な利用を目的として煉瓦造の美術館が、寛永寺本坊跡に建てられた。博覧会の中心的会場となったこの建築物は「美術館」の名称を使った最初の建物としても記念すべきものとなっている。出品者数は、1万6000人余、102日間の会期中の入場者は45万人を越えたという。蒸気機関車の出品があったほか、臥雲辰致(がうん たつむね)により考案された紡績機のガラ紡機が人気を呼んだ。

明治14年に、第2回目の内国勧業博覧会が開催された際には、J・コンドル設計の本館が完成し、1階が美術館として利用されている。2階建の煉瓦造、正面左右に小ドームの屋根飾りをつけた建物は、現在の本館とほぼ同位置に建てられた。会期122日で、入場者は82万人であった。

内国勧業博覧会はこの後、第3回が明治23年に上野公園を会場に開催され、明治28年には京都において第4回が、第5回は明治36年に大阪で開催されて終了している。

明治15年には、上野公園に歴史・美術・自然史・図書館・動物園を含む大博物館が完成し、それ以来、年末年始と月曜日を除き毎日開館されるようになる。明治22年には、「帝国博物館」となり、この時に帝国奈良博物館・帝国京都博物館が同時に設置され、それぞれのちに、東京国立博物館、奈良国立博物館、京都国立博物館となり、現在に至る。

表慶館をはじめ、本館、東洋館、資料館、法隆寺宝物館新館の開館で、現在に至る美の殿堂が確立していく

明治33年5月10日の皇太子殿下(大正天皇) 御成婚の際、それを祝して、実業家 渋沢栄一氏らが中心となり、美術館を建設して献納することを目差して奉祝会が設立された。全国に広く有志を募ると、これに賛同した23,917人、寄付金408,501円が集まり、上野公園内に美術館が建てられることとなった。

明治34年の着工から7年を要して、明治41年に竣工、奉祝会から献納された美術館は、「表慶館(ひょうけいかん)」と命名された。古代ギリシャ・ローマの様式にならった建築で、花崗岩が主に用いられ、設計は宮内省技師 片山東熊によるものであった。

現在の本館は、関東大震災により損壊した旧本館に代わり、昭和天皇の即位を記念し「日本趣味を基調とした東洋式」という条件で公募した設計により建てられた。昭和12年 (1937年)11月に竣工し、翌13年11月10日、天皇陛下の行幸を仰いで開館した。

昭和39年には、収蔵庫を兼ねた陳列館として「法隆寺宝物館」が、43年には東洋美術の総合陳列施設である「東洋館」が開館した。さらに昭和59年美術史研究のセンター的役割を担った「資料館」が開館している。

平成11年7月には「法隆寺宝物館(新館)」が開館。さらに同年10月には皇太子殿下のご成婚を記念して「平成館」が開館した。平成館は、2015年4月にリニューアルオープンしている。2階の特別展示室で開催される企画展は、たびたび大きな話題を呼んでいる。2009年開催の興福寺創建1300年記念「国宝 阿修羅展」では、94万人を超える記録的な入場者数であった。

145年の長きにわたる歴史の上に形作られてきた東京国立博物館。国宝・重要文化財の所蔵700件以上を含む、日本および東洋諸地域の美術品・考古遺物を11万件以上も収集・保管するという、他の追随を許さない圧倒的なスケールである。これからも日本やアジア諸地域の貴重な文化遺産を後世に大切に守り伝えてほしい。また、日本を代表する風格ある美の殿堂で、価値ある文化財、芸術・美術作品との貴重な出会いをこれからも楽しみにしていきたい。

美術館・展覧会情報サイト アートアジェンダ 美術館情報
東京国立博物館|Tokyo National Museum
〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9
開館時間:10:00〜17:30(最終入館時間 17:00)
定休日:火曜日

参考文献:東京国立博物館 ウェブサイト「館の歴史」

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