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真言宗立教開宗 1200 年記念 特別拝観「東寺のすべて」へお誘い

東寺五重塔(国宝)初層 法要風景

東京方面から関西へ帰ってきたとき山科を過ぎて東寺の塔が見えた時は「あぁ帰ってきた、もうすぐだ」と思うのです。東寺は「条坊制」の1つの「坊」の区画がそのままに現在に残ります。真言宗総本山東寺は、2023年の今年真言宗立教開宗1200年に当たり、真言宗立教開宗 1200 年記念 特別拝観「東寺のすべて」が10月9日からはじまっています。それに先立ちプレス内覧会に参加する機会を得て参加してきましたので、ご報告します。

通常公開されている金堂(国宝)、講堂(重要文化財)、食堂、観智院に通常非公開の五重塔(国宝)初層と灌頂院(重要文化財)が加わって特別拝観できます。


桓武天皇の平安遷都まもなく、国家鎮護のための官立寺院として東寺は創建されました。桓武天皇の次に即位された嵯峨天皇は、弘法大師空海に東寺を託し、弘仁14年(823)日本で初めての密教寺院、”真言密教の根本道場”が誕生しました。弘法大師空海は、大伽藍建立の大事業に着手し、1200年もの間に災害や火災などに遭いながらも再建され、創建当時の姿を今に伝えています。東寺の歴史詳しくは⇒


南大門から金堂を望む

慶賀門(東門)から入ったのですが、東寺に来たならここから始めたいと九条通に面した南大門前に立ちました。


国宝 御影堂(太子堂)

国宝 御影堂(太子堂):司馬遼太郎が「京の寺々を歩くなら平安京最古の遺構である東寺の境内を出発点とするのがふさわしく、待ち合わせをするのなら東寺の御影堂の前」と指定されたという。御影堂は弘法大師のお住まいがあった場所で、鎌倉時代の仏師、運慶の子、康勝作の国宝「弘法大師坐像」がおさめられています。檜皮葺の屋根が美しい。


宝物館:東寺では、真言宗立教開宗1200 年の記念事業に向けて、平成22年(2010)に発願し、境内一円の史跡整備や国宝・重要文化財の建造物や文化財の修理を行いました。宝物館の2023年秋期特別公開では「真言宗立教開宗1200 年記念 東寺の宝物を守り伝える-修理の軌跡 継承の志-」(11/25まで、会期中無休)が開催されており、近年重要文化財指定された宝物や修理を終えた宝物を一挙に公開!修理に8年も費やした、初公開となる重要文化財《弘法大師行状絵巻》(南北朝時代)や、8世紀末中国・唐で作られたと考えられる 国宝《兜跋毘沙門天立像》地天女の肩に載り(地天女が足元を押し上げる)、両脇からユーモラスな邪鬼も支えグッと眼光鋭く斜め下を見据えるのは、平安京の入口、羅城門の上に守り神として置かれたと伝わります。狭く感じる展示室に立つ重要文化財《千手観音立像》(平安時代)はとてつもなく大きく、火災に遭ったのだろう痛々しい姿ながら首を傾げた重要文化財《夜叉神立像》(平安時代)は物凄い迫力でした。また前期(~10/21)に日本に現存する最古の彩色両界曼荼羅である 国宝《両界曼荼羅図(伝真言曼荼羅図)》(平安時代)、後期(10/22~)に空海が最澄に宛てた直筆の手紙である国宝《弘法大師尺牘(風信帖)》(平安時代)が特別展示されます。展示中の国宝《両界曼荼羅図》は、平安時代ののもとは思えないほど彩色もくっきり美しく残っていて、大切に守られてきたことが伝わります。

宝物館については⇒


夜叉神堂と食堂

修行僧のための空間であった食堂では、「土門拳 東寺写真展」が開催中。20世紀日本を代表する写真家土門拳(1909-1990)は、東京オリンピックが開催されている東京から逃れ、翌年1965年まで東寺に寝泊まりして撮影しました。写真集『古都巡礼』5冊とは別に大型写真集『大師のみてら 東寺』を作りました。東寺で撮影した代表作約30点を展示して、土門の眼に迫ります。食堂については⇒


本坊へ戻る僧侶

歩いていると太鼓の音や何やらムニャムニャと聴こえてきます。国宝 五重塔 の初層内陣公開前に法要が行われていました。初めて目にする光景に私は吃驚と興奮が入交り、五重塔の周りをグルグル回りまりました。雨の中法要を終えて本坊へ戻られる僧侶さんたちを見送りました。


灌頂院(重要文化財)内での制作者アーティスト小松美羽と《ネクストマンダラ-大調和(虹・彩)》

密教の重要な儀式が行われる場である重要文化財 灌頂院は、一般にはほとんど公開されません。毎年正月8日から14日まで行われる真言宗最高法儀と言われる後七日三修法(みしほ)では、灌頂院に両界曼荼羅(元禄本)が掲げられます。何故小松さんに白羽の矢が当たったのかは不明ですが、2022年4月にこの灌頂院で瞑想し、食堂で《ネクストマンダラ-大調和》を制作し、表装を終えて、特別拝観前日の10月8日に最後の1点を描きいれて東寺に奉納され、ここ灌頂院で特別公開となりました。


小松美羽筆《ネクストマンダラ-大調和(陰陽・白黒)》

灌頂院内は薄暗く身の引き締まるような場でした。四方の壁面の壁画に見守られるように向かい合わせで《ネクストマンダラ-大調和》が展示されています。


国宝 金堂

東寺の本堂である国宝 金堂:焼失して現在残るのは慶長期に竣工した天竺様と和様をあわせた桃山時代を代表する建築です。中に入れば見上げる薬師三尊の大きさにのけぞるほどで、外から見るよりも天井も高くお像も「デカイ!」慶長期の時代背景を反映しているかのようです。お薬師さんの台座にある十二神将像も見事!桃山時代の仏師・康正作のお像です。

国宝 金堂については⇒


重要文化財 講堂

講堂は、和様の優美な建築です。久々にお目にかかる「立体曼荼羅」の世界に講堂に足を踏み入れる前からドキドキワクワクします。基壇に立つと北側の向こうの方を新幹線が通り過ぎるのが見えました。じゃーん!「立体曼荼羅」21体のお像が構成する濃密な密教空間、拝観者はその立体曼荼羅の世界観に酔いしれるように、ほとんどの人が無言でしばし諸仏の前に佇んでおられました。講堂については⇒


五重塔初層内陣:プレス内覧で許可を得て撮影した、五重塔拝観入口から撮影しました。

東寺のシンボル、現存する古い塔の中で最も高い。その分落雷などで4度も焼失しています。五重塔の初層内陣が、4時からプレス向けに公開されました。中央の心柱を大日如来として4面に4体の如来、それぞれに2体ずつ8体の菩薩が取り囲みます、お像は金ぴかに輝いていました。須弥壇四隅の柱も、天井、壁面360度どこを見ても極彩色に荘厳されていました。五重塔については⇒


お寺さんの拝観は基本無休で、当日も一般拝観の方も多く、プレス内覧会とは言え私にはとてもとても堂内や宝物館で仏像や展示品を写真に撮ることは出来ませんでしたし、仮に撮影したとしてもヘボイ私の写真では到底伝わるものではありません。

1体1体のお像の圧倒的な存在感、それらが構成する立体曼荼羅の厳粛で荘厳な密教の濃密な空間、長期に滞在しながら東寺と向き合いカメラにおさめた土門拳の迫力ある写真展で、是非是非この貴重な機会にご自身でお確かめください。

京都駅からなら歩けるアクセスの良さで、春の大きな枝垂桜もとびっきり美しいですが、お庭には紅葉がそこにあり紅葉の時期も良いですねぇ。

まさに「そうだ京都へ行こう!」時間をたっぷりとってじっくりお楽しみください。

 

【開催概要】真言宗立教開宗 1200 年記念 特別拝観「東寺のすべて」

  • 会期:2023年10月9日(月・祝) ~ 31日(火)
  • 会場:真言宗総本山 教王護国寺
  • 拝観時間:午前9時 ~ 午後5時(※拝見受付は午後4時まで)
  • 拝観料:2000円 ★スマホで聴ける無料音声ガイド付き
  • 特別拝観公式サイト:https://toji1200th.jp/index.html
  • 東寺HP:https://toji.or.jp/

プロフィール

morinousagisan
阪神間在住。京都奈良辺りまで平日に出かけています。美術はまるで素人ですが、美術館へ出かけるのが大好きです。出かけた展覧会を出来るだけレポートしたいと思っております。
かつて関西のアートサイトに読者レポートとしてアートブログを掲載して頂いていたご縁で、展覧会担当の広報会社さんから私個人に内覧会や記者発表のご案内を頂戴し、「アートアジェンダアートブログへ投稿」という形を広報会社さんに了解頂いて、アートブログを投稿しています。アートブログは全くの素人の個人としての活動です。
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