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【記者発表】2023年秋 『長沢芦雪』展を大阪中之島美術館で開催!!

左から: 大阪中之島美術館 菅谷富夫館長、大阪中之島美術館長沢芦雪展担当 林野雅人主任学芸員、 長沢芦雪展監修協力 岡田秀之福田美術館学芸課長

2023年10月7日から大阪中之島美術館で開催される『特別展 生誕270年 長沢芦雪-奇想の旅、天才絵師の全貌-』の記者発表に参加してきましたので、ご報告します。

※掲載写真は、記者発表会場で映し出された画面を主催者の許可を得て撮影したものです。




長沢蘆雪筆《虎図襖》部分 重要文化財 天明6年(1786)和歌山・無量寺・串本応挙芦雪館蔵

近現代作品のコレクションを主軸に置く美術館で江戸絵画の展覧会なの?と思った方も少なくはないかもしれません。「コレクションにとらわれず、幅広く展覧会を開催していきたい」と菅谷館長からまずお話がありました。

① 従来の見方に縛られることなく、新しい見解を紹介する(館長は「レッテルを貼る」と表現されていました)展覧会を開催。

② 全部を自分たちで完結しようとせず、積極的に外部の協力を得て、高いクオリティの展覧会を開催。

本展についても、新進気鋭の見方を持つ若い研究者を中心に据えて、新しい視点から長沢芦雪展を作ろうとするものです。

江戸中期、18世紀の京都で活躍した長沢芦雪(1754-1799)は、伊藤若冲、曽我蕭白と共に「奇想の画家」の一人としても近年とみに人気が高まってきており、内外で展覧会の開催やメディアで取り上げられることも多くなってきています。「京都の絵師である芦雪と大阪との関りは?」との問いには、芦雪の最期、寛政11年(1799)6月8日芦雪が客死したのが大阪の地でした。本展は、芦雪の画業を紹介する、大阪では初となる回顧展です。

展覧会は4章構成です。


左から: 山跡鶴嶺筆《円山応挙像》制作年不詳、長沢芦鳳筆《長沢芦雪像》部分 千葉市美術館蔵

第1章 円山応挙に学ぶ

長沢芦雪は、丹波国篠山藩の藩士の子として生まれ、父が淀藩に出仕したため淀で育ちました。『平安人物志』(天明2年版)でも筆頭の人気絵師、円山応挙(1733-1795)に10代で入門します。この章では、10代半ばから「于緝(うしゅう)」という号で描いた珍しい最初期の作品から、20代後半からは「芦雪」と署名した作品まで、応挙の画風を踏襲して学ぶ女性像や動物画など、自らの画風を模索する時期の作品を展示します。


長沢芦雪筆《龍襖図》島根・西光寺蔵1786年南紀へ赴く直前に描きました。

第2章 南紀での揮毫

天明6年(1786)10月ごろから翌年2月にかけて、師の代理として紀南地方(現在の和歌山県南部)に赴き、本州最南端の町・串本町にある無量寺をはじめとする寺院で大胆な筆遣いで襖絵を描きました。私たちがよく知る芦雪の大画面の作品が展示されます。


長沢芦雪筆《富士越鶴図》寛政6年(1794)奈良県立美術館蔵

第3章 より新しく、より自由に

紀南滞在後さらに大きく飛躍する芦雪40代の唯一無二の作品が展示されます。


18世紀中期京都で活躍した絵師たちを表でまとめてみると

第4章 同時代の天才画家たち

芦雪が生きた18世紀の京都は、綺羅星の如く、個性豊かな絵師を多く輩出しました。この章では「奇想の系譜」の絵師から、今やだれもが知る伊藤若冲と奇想中の奇想絵師、曽我蕭白の作品も展示し、18世紀京都で活躍した絵師たちの魅力に迫ります。


“魚”印に込めた芦雪の思いとは・・・

記者発表に登壇の福田美術館学芸課長の岡田秀之氏は、本展の監修協力で参加されており、前職MIHO美術館では『奇想の系譜』の著者、辻惟雄館長の元で数々の展覧会を開催されてきました。岡田氏からも芦雪の魅力と芦雪についての新しい見解が紹介され、本展覧会に反映されることとなります。これまでは応挙と芦雪を比較する展覧会が多かったが、芦雪は応挙などの第一世代を経て、彼らから多くを吸収しながら次の世代としてより自由に、より新しい画風を展開する事が出来た。また、応挙に入門する以前の10代前半には狩野派の版本をも独学し、その時代には「線」への拘りが見え、応挙入門後は一端その興味は消えたかのようであったが、やがて別の意味で「線」への拘りが表れてくるのだそうです。《富士越鶴図》の描き方にみられる工夫や応挙からの脱却を現すのか?欠損した芦雪の“魚”印に込めた芦雪の思いなどとてもとても興味深いお話ばかりでした。


前後期で大きく展示替えあり。

長沢芦雪展の見どころ

① 長沢芦雪、大阪初の回顧展

国内にある芦雪の代表作から今回新たに見つかった作品まで、重要文化財4件を含む約100件を一堂に。(前後期で大規模な展示替えあり!)

② 芦雪が得意とした障壁画(襖絵)8作品を展示

西光寺(島根)、無量寺(和歌山)、高山寺(京都)、薬師寺(奈良)、大乗寺(兵庫)の襖絵が揃って出品されるのは23年ぶり!

③ 愛しき動物がいっぱい

大人も子供もワクワク、キュンキュン。生き生きとした動きに会話が聞こえてきそうな、芦雪ならではの動物の描写は必見。

④ 蘆雪作品を大画面で紹介。

卓越した技法や繊細な筆遣いに注目します。(制作協力 DNPアートコミュニケーション)


長沢芦雪筆《方寸五百羅漢図》部分

【開催概要】特別展 生誕270年 長沢芦雪-奇想の旅、天才絵師の全貌-

会期:2023年10月7日(土)~12月3日(日)

会場:大阪中之島美術館 4階展示室

開場時間:10:00-17:00 [入場は16:30まで]

休館日:月曜日 [10月9日(月・祝)除く、10月10日(火)]

観覧料:一般 1800円(前売・団体 1600円)

高大生 1100円(前売・団体 900円)

小中生 500円(前売・団体 300円) 

*前売券販売期間:2023年7月7日(金)10:00 – 10月6日(金)

*お得なチケット情報:2枚セット券(ワクワク特割チケット)価格2800円で当日券より800円もお得!販売期間:2023年7月7日(金)10:00 – 10月6日(金)

展覧会公式サイト :http://nakka-art.jp/exhibition-post/rosetsu-2023/

 

九州国立博物館へ巡回します。2024年2月6日(火)~3月31日(月)

 

大画面の奇抜で大胆な作品からもふもふの可愛い子犬まで、初公開の作品も含めて誰もが楽しめる展覧会となりそうです。乞うご期待ください!




プロフィール

morinousagisan
阪神間在住。京都奈良辺りまで平日に出かけています。美術はまるで素人ですが、美術館へ出かけるのが大好きです。出かけた展覧会を出来るだけレポートしたいと思っております。
かつて関西のアートサイトに読者レポートとしてアートブログを掲載して頂いていたご縁で、展覧会担当の広報会社さんから私個人に内覧会や記者発表のご案内を頂戴し、「アートアジェンダアートブログへ投稿」という形を広報会社さんに了解頂いて、アートブログを投稿しています。アートブログは全くの素人の個人としての活動です。
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