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「令和の大修理完成記念 東福寺大涅槃図 特別公開」に行ってきました。

臥雲橋から通天橋を望む

特別展「東福寺」@東博 評判上々ですね。

秋には、京都へ戻って京博で開催されます。

東博の天井をもってしても展示できなかった「大涅槃図」が現在特別公開中ということで、

他にも予定がありそれじゃーついでに観てこようとじゃじゃぶりの中出かけてきました。

「涅槃図」は、お釈迦様の涅槃会の際(3/14-16)にしか公開されないのですが、今年は特別に「令和の大修理完成」と「東福寺展」を記念して公開されます。京都での開催に合わせて秋にも公開される予定ですが、みなさんご存じのように秋の東福寺なんてとてもとても行けたものではありません。それこそ通天橋は混み混みで橋が落ちてしまうのではないかと言うほどです。そこで軽い気持ちで出かけましたが、失念しておりました。東福寺は「東大寺」+「興福寺」から来ているように、「伽藍面」広い広い!ちょっとのつもりでも1時間で済むはずがありませんでした。



東福寺の青紅葉

秋の紅葉のですが、あの赤一面が新緑に包まれている東福寺、「青紅葉」ってあんなにも美しいのですね。

「青紅葉」もこの時期だけの特別な景色でした。

じゃじゃぶりのお蔭で、雨に葉っぱも苔も洗われて、生き生きと輝いていました。

眼も心も洗われるようで、その上観光客が少ない\(^o^)/



東福寺 方丈「八相の庭」の北庭

方丈はパスも出来たのですが、三玲さんのモダンな庭もやはりまた観たいと。

方丈のリーフレットから

「彫刻家・イサムノグチはこの庭を『モンドリアン風の新しい角度の庭』と評した。」

モンドリアン!素敵な表現です。

本ブログでは、法堂内の撮影は不可ですので、東福寺の「青紅葉」の画像を添付いたします。


回っているうちに仏殿(法堂)に着いたのは12時を少し回った頃で、解説の方がお昼休憩に入られたばかりでした。

次の解説までは、かなり時間がありますがそれでもせっかく来たのだからと待つことにしました。

吊るされた大涅槃図を単眼鏡でまじまじと見たり、確か猫が描かれているはずと猫を捜したり

天井の堂本印象筆「蒼龍図」を見上げたり、その時に使われた大きな筆をみたり。

涅槃図で隠れているご本尊を隙間から覗いたりしました。

 

東福寺涅槃会の本尊として描かれたこの涅槃図は、縦11m、横6m、「東福寺展」で展示されているご本尊の手(本来は法堂にあるそうです)から分かるように5丈もあったご本尊の釈迦如来像(坐像で像高7.5m)に見合う巨大な涅槃図です。が、法堂は天井が高くとても広いのでその大きさのほどが実感として伝わってきません。

涅槃のお釈迦は180㎝の等身大との説明に、と言うことはお釈迦様の前で嘆き悲しんでいる人たちは実寸大!その末席に自分も立ち会っていると言ことなのですね。

この涅槃図については、拝観時に頂いたA2のチラシと当日の解説からの受け売り多しです。

お釈迦様は、蓮の花を枕にして、所謂「頭北面西右脇臥」。

嘆き悲しむ動物たちも鴛鴦、鳳凰など番で描かれているものが多い。豹は、虎の雌と考えられていたので虎の側に描かれています。

「猫」はどこに?それはここでは書かないでおきましょう。

 

この涅槃図を見上げて最初に気づくのが、右上方に描かれるはずのお釈迦様のお母さん摩耶夫人の一団が描かれていないのです。お釈迦様の弟子・阿那律から釈迦入滅の知らせを受けて、忉利天から阿那律に連れられて雲に載って駆け付ける場面がありません。お釈迦様のもとへ向かう摩耶夫人がお釈迦様の枕元目がけて薬を投げた(投薬)が届かずに沙羅双樹の木にひっかかったままの”薬を入れた袋”は、錫杖と共に描かれています。

お釈迦様の側に仕えていた鼠が急いで木に登ってその袋を食いちぎろうとしたところを、猫がやって来て鼠を追い払ったので、お釈迦様に薬が届かなかったことから猫は涅槃図には描かれないとのお話が伝わり、涅槃図公開のお寺ではどこでも伺うお話です。

ところが、東福寺のこの涅槃図には猫が描かれています。それはただ明兆が描いているときに猫がいつも遊びに来ていたから描き込んだと伝わっているそうです。

猫を描いた涅槃図は珍しいので、見たことを覚えていました。「ボストン美術館の至宝展」でみた英一蝶筆の涅槃図です。ここに描かれている猫はなーんと「麝香猫」それも正面を向いていたので鮮明に記憶に残っていました。

東福寺大涅槃図でカメラ目線、正面向いているのが右下の方にいます。「木菟 」です。

ボストン美の図録で確認してみると、英一蝶筆の涅槃図でも正面向いていましたが、左端に描かれていました。

だいたい倒れて描かれている十大弟子の一人阿難、色白のイケメンで描かれることが多いが、明兆は年老いた風貌に描いています。

と、涅槃図をじっくり眺めていると面白いし、涅槃図ごとに特徴があることも分かってきます。

明兆は、伝統的な仏画としての涅槃図でなく、中国の宋元仏画を基にした様式で描き、肥痩のある墨線と濃厚な色彩の明兆が得意とする筆致で描きあげていると説明されています。

濃彩な紅白の牡丹の表装も華やかだなぁと思っておりましたところ、唐草文の一文字や風帯ともに、「描表装」とのことで、その精密な描きにまた見入ってしまいました。明兆凄し!

 解体修理は、ほぼ100年ごとに行われて来たそうで、これだけ巨大な涅槃図を吊るすことから今回の大修理では軽量化も施されています。

東福寺大涅槃図修理完成特別公開については東福寺HPの ⇒ コチラから



東福寺三門



プロフィール

morinousagisan
阪神間在住。京都奈良辺りまで平日に出かけています。美術はまるで素人ですが、美術館へ出かけるのが大好きです。出かけた展覧会を出来るだけレポートしたいと思っております。
かつて関西のアートサイトに読者レポートとしてアートブログを掲載して頂いていたご縁で、展覧会担当の広報会社さんから私個人に内覧会や記者発表のご案内を頂戴し、「アートアジェンダアートブログへ投稿」という形を広報会社さんに了解頂いて、アートブログを投稿しています。アートブログは全くの素人の個人としての活動です。
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