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5日間だけのVIVA ITALIA!な世界―アメリゴ・ヴェスプッチ号―

イタリアンカラーのアメリゴ・ヴェスプッチ号

世界で最も美しい船と言われているイタリア海軍の帆船「アメリゴ・ヴェスプッチ号」が8月25日~30日まで東京湾に初寄港しました。


東京の初上陸に伴って停泊の5日間、接岸する『東京国際クルーズターミナル』施設でイタリアの歴史や文化を無料で体験できる「ヴィラッジョ・イタリア」が開催され、イタリア好きな好奇心から会社帰りに予約訪問しましたのでレポートします。


国際ターミナル

会場は「新交通ゆりかもめ」の「東京国際クルーズターミナル駅」から約徒歩10分。

日の暮れた夕闇の中、赤・白・緑のイタリアンカラーにライトアップされた施設が浮かび上がり、初訪問でも迷子になりませんね(^^)。

ターミナルビルに近づくと、奥にこれまたイタリアンカラーに照らされたアメリゴ・ヴェスプッチ号の優美な姿が見えてきます。


デッキから見える船の全景

大きなマスト3本が立つ立派な帆船。なんというかインテリアでガラスケースに入ったアンティークな船の模型が実物化したようです。

1930年に造船が起工されているので約100年近く経っていますが、れっきとした現役のイタリア海軍士官候補生の航海訓練船。

2023年7月にイタリア・ジェノヴァを出港し、現在20ヶ月間掛けて31カ国を寄港する大航海中だそうです。日本への寄港は17カ国目。ちょうど半分くらいでしょうか。まだまだ長い航海が控えています。


船内にも是非入りたかったのですが、残念ながら日中の特定時間の予約公開中で時間が合致せず。

スケジュールを恨みつつも、ターミナルのデッキから美麗な姿をパシャパシャ撮影します。

ちらほらと船を出入りするイタリア海軍の制服を着た数人グループが全員美男美女(制服の効果か?)だし、心の中で歓声を上げつつターミナルへ。


イベント会場

イベント会場のスクリーンには巨大な船影の画像と、イタリア国旗の中央、白い部分に描かれたイタリア海軍の紋章がくっきりと描かれています。

この紋章がまた凄く格好良い。金色(たぶん)の盾は都市のシンボルが4分割で描かれ、左上から時計回りに「サンマルコの獅子(ヴェネツィア)」「白地に赤十字(ジェノヴァ)」「赤に白十字(ピサ)」「青に白十字(アマルフィ)」を表し、重要な4つの海洋共和国(元々イタリアは共和国の集合)を表現。

そして盾の上の冠は古代ローマ時代のシンボル「勝利の王冠」に由来する「Corona Rostrataロストラタの冠」が配されているそうです。


訪問時のイベントは、イタリア版吹き替えディズニー映画【アナと雪の女王】でエルサ役も務めたアーティスト、セレナ・アウティエリさんによるライブステージ。

イケオジなピアノ伴奏で黒いドレスの長身美女が圧巻のパフォーマンス。朗々とした美声に聴き惚れます。

停泊中の5日間は、毎日ぎっしりとなにがしかのイタリアをアピールするイベントが催されています。


イタリア・ジュニアーレ展示会場

ステージ終了後はターミナル2階のイタリアデザインの歴史や文化を紹介する企画展「イタリア・ジュニアーレ」を鑑賞。

入口は巨大スクリーンにイタリア各都市の映像が流れ、中にはイタリア発祥の生活用品や可愛いデザインのインテリアが展示されています。


フォルムが可愛いベスパ

「ローマの休日」でO・ヘプバーンが乗ったイタリアアイコンとも言えるスクーター「Vespa」ベスパも発見。

丸い反射鏡にライト、ペールグリーンで全体的に丸みを帯びたフォルムが可愛いです。

運転に自信無くて(中古にはブレーキにクセというか効きが甘いのが多いらしい)諦めましたが見ると乗りたくなります。

他にも真っ赤なタイプライターや家庭用のガーデニング散水機、子供のおもちゃとスタイリッシュで可愛いラインナップ。

しかしこの展覧会、主催がメイド・イン・イタリア省に海軍の国防省、共催にADIデザイン博物館と日本側の関与が少ない、というかほぼ無いのか、展示の説明は全てイタリア語と英語の2ヶ国語のみ(泣)。

時間も無かったのでほぼタイトルしか読めなかったのが残念。たぶん語学力がもっとあればスラスラ理解できたんでしょうけど。



農業大国イタリア


別の隔離スペースでは没入型スクリーン展示「ディバイン・イマーシブ・エクセレンス」で、カラフルなイタリア食品がズラリと並びイタリア食文化をアピール。

ヨーロッパの中でもイタリアは有数(EUでは上から5番目くらい)の農業大国。

日本人も大好きなイタリア料理の美食遺伝子は古代ローマから今に脈々と続いているんだろうなとチーズの画像を眺めつつ納得です。

色とりどりな果物とオリーブ、ワイン、チーズ等の画像をみていたらなんだか空腹感が・・・(笑)

会場の近くには2025年の大阪万博イタリア館の縮小模型と、万博のイタリアマスコット人形もありました。

さらにはかつて開催されたトリノオリンピックの聖火トーチも展示されていて、視覚的には大分満腹になります。

滞在時5日間だけの展示とは思えない洗練された内容にはただ驚きです。

後から知りましたが、船にはいくつかの呼び名があるらしく、「イタリア海軍の宝石〜il Gioiello della Marina militare italiana」(←こういう名前、日本人はたぶん名付けできない)の他、「船上のイタリア大使館〜Ambasciata galleggiante」とも呼ばれているのだとか。5日間でもこれだけ完成度の高いPRや広報活動しているのですから納得の呼び名。



出迎えの様子

会場を出て外のデッキから改めて船を眺めていると、ちょうど関係者のパーティイベントだったらしく、お見送りのイタリア海軍候補生達がカンテラを持って出口を整列しています。

見栄えのする人たちが見栄えするシチュエーション、お洒落なカンテラ、船の美麗さとの相乗効果が凄い。

ターミナルでは紺のジャケットに白のタイトスカート、あるいは上下白のパンツスタイルで海軍帽子姿の女性をちらほら見かけ、眼の保養♥と頬が緩みつつも女性の頼もしさに嬉しくなります。

イタリア語の【海 Marina】って女性名詞なんですよね。【船 Nave ナーヴェ】も女性名詞ですし、海と美女は高相性のようです。


30日の夕方に次の寄港地シンガポールを目指して出港し、日本を離れる「アメリゴ・ヴェスプッチ号」。

数時間の滞在ながら、なんだかアドリア海を感じた気がする身としては今後の旅路に幸多からんことをと願ってやみません(今の時期アジアは台風?シーズンですし)。

『東京国際クルーズターミナル』では海の玄関口として、各国や船のPRイベントを今後も催していくそうです。

関東圏のアクセス可能な方、要注目です。


そして航海中も「アメリゴ・ヴェスプッチ号」の活動の様子は発信されています。

ご興味のある方は是非チェックを。

Amerigo Vespucci Tour Mondiale 2023-2025 (tourvespucci.it)


プロフィール

uchiko
美術と骨董、宇宙と化石を愛でるアートウォッチャー。
カロリー消費に美術館、仏閣、史跡散策をして、終わればまったり食べて補給。
2022年よりインスタグラムとこちらのサイトでアートウォッチの記録始めています。
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