4.0
変幻自在のパウルクレー
学芸員による解説会に参加、目から鱗の話がありました。「座っている少女」の作品の作り方として、まずランダムに色彩を配置し、そこから浮かび上がる像から、座っている少女の輪郭線を引くという、通常とは逆の方法で制作されていたということを聞き、パウル・クレーの印象派から受ける影響の独自性を感じました。
また、「鳥=島」という作品は、シュルレアリスムを彷彿とさせる自動筆記した一筆書きのように見える作品ですが、油彩転写で複数の線からパウルクレー自身が一つの線を意志をもって選択して制作されていることを知りました。
カンデンスキーは目に見えない音楽を絵画化し、抽象画を描いたことで有名ですが、パウルクレーも同じく、音楽を絵画化している作品(「パルナッソス山へ」今回は展示されていません。)もあるそうですが、その点については今回の展覧会ではあまり触れられないなかった気がします。
理論派であり、叙情派でもあるから、分類が難しく捉えどころがないパウルクレーですが、純粋に作品を見ても、色彩が綺麗で心惹かれる作品が多く、好きな作家の一人です。