5.0
待っていた展覧会!
ずっと楽しみにしていた展覧会。
森田子龍といえば墨人会の中心的な存在であり、当時、海外の抽象的な作品を制作していた芸術家たちと積極的に交わり、日本の前衛書を推し進めた人物。
その子龍とスーラージュに焦点を当てた内容だという。これが楽しみじゃないわけがない。
まず良かったのは、何より作品。ちょうど1年前に京都国立近代美術館に飾られていて気に入った作品《寒山》と再会。
改めて見ても良いなとしみじみした。他にも、文字との距離が近い作品、遠い作品さまざまあったが、どれも良い。字の造形と余白のバランスに優れていた書家だったなと改めて認識。
また、この展覧会で良かったのは、ピエール・アレシンスキーが制作した映像が流れていたこと。以前からずっと見たかった映像だったので感無量だった。
スーラージュは、生で作品を見たのは初。見方として、どうしても書的な見方というか、書との違いという観点でみてしまう。
子龍はかつて、『墨美』の中で書の線について「動きとして底に一気貫通するものがあつて、その動きを跡づけるために線というものが生まれる」と述べている。なるほど、動きか。形を構成するためのスーラージュの線と子龍の線はそこが違うのかとひとり納得した。
何はともあれ、素晴らしい展覧会だった。書が好きな人は必見だと思う。また、書に興味がない人も、これも書なのか!という気持ちで楽しんでみてほしい。