中世の華・黄金テンペラ画 - 石原靖夫の復元模写
チェンニーノ・チェンニーニ『絵画術の書』を巡る旅

目黒区美術館

  • 開催期間:2025年2月15日(土)~2025年3月23日(日)
  • クリップ数:32 件
  • 感想・評価:7 件
中世の華・黄金テンペラ画 - 石原靖夫の復元模写  チェンニーノ・チェンニーニ『絵画術の書』を巡る旅 目黒区美術館-1
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石原靖夫 復元模写《シモーネ・マルティーニ〈受胎告知〉》
1972-78年 / 卵黄テンペラ、金箔・板 / 226.0×171.0×11.5 cm / 金沢美術工芸大学蔵
(原画= 1333年 / ウフィツィ美術館蔵)
撮影:歌田眞介 1978年
石原靖夫 復元模写《シモーネ・マルティーニ〈受胎告知〉》 部分 聖母マリア
1972-78年 / 卵黄テンペラ、金箔・板 / 作品原寸226.0×171.0×11.5 cm / 金沢美術工芸大学蔵
(原画= 1333年 / ウフィツィ美術館蔵)
撮影:歌田眞介 1978年
石原靖夫 復元模写《シモーネ・マルティーニ〈受胎告知〉》 部分 大天使ガブリエル
1972-78年 / 卵黄テンペラ、金箔・板 / 作品原寸226.0×171.0×11.5 cm / 金沢美術工芸大学蔵
(原画= 1333年 / ウフィツィ美術館蔵)
撮影:歌田眞介 1978年
石原靖夫 《イタリア・ルネサンス期テンペラ装飾標本》
1971年頃 / 卵黄テンペラ、金箔・板 / 42.5×65.5 cm / 東京藝術大学蔵
石原靖夫 《イタリア・ルネサンス期テンペラ装飾標本》 部分
1971年頃 / 卵黄テンペラ・板 / 作品原寸 42.5×65.5 cm / 東京藝術大学蔵
石原靖夫 《イタリア・ルネサンス期テンペラ装飾標本》 部分
1971年頃 / 卵黄テンペラ・板 / 作品原寸 42.5×65.5 cm / 東京藝術大学蔵
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この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION

目黒区美術館では、これまで、画材や色材をテーマにした展覧会とワークショップを継続的に開催してきました。その一つ「色の博物誌」展は、通常の展覧会では紹介されることが少ない、絵画などの表現を構成する色材とその原料、エピソードなどを取り上げ、作品と組み合わせて構成した企画です。また、古典的な技法や絵具制作の再現などをワークショップで行い、人と色材のかかわりという新たな切り口を提示してきました。

この度の展覧会では、1992年からの「色の博物誌」展とともに開催してきたワークショップ「古典技法への旅」から、“中世の華” とも表すべき黄金背景による「テンペラ画(卵黄テンペラ)」の技法を取り上げます。

金箔を背景に、顔料を卵黄で練って描き上げていくこの技法では、金箔に見事な装飾技法が施され、その表現は工芸的な魅力にもあふれています。この黄金背景を伴うテンペラ画は、主にイタリア14世紀から15世紀前半に発展しました。

石原靖夫(1943ー )は、1970年にイタリアに渡り、黄金テンペラの技法を学び、6年の歳月を、ゴシック期シエナ派の画家シモーネ・マルティーニ(1284頃ー1344)の代表作《受胎告知》(1333年、ウフィツィ美術館蔵)の技法研究に費やし、ローマ滞在中に復元模写を完成させました。1978年の帰国後、すぐに東京都美術館で展示と講座が組まれるなど注目を集めました。目黒区美術館では、1992年の「色の博物誌・青―永遠の魅力」展において、この復元模写《シモーネ・マルティーニ〈受胎告知〉》を展示し、聖母マリアのマントに使われたラピスラズリの青について取り上げました。石原靖夫と目黒区美術館の関係はこの時から始まり、2019年3月までに専門家向けの内容でワークショップを7回開催し、テンペラ画という古典技法の普及に努めてきました。

ジョット・ディ・ボンドーネ(1265頃ー1337)に代表される当時の工房で行われていた絵画技法が記された書物が、チェンニーノ・チェンニーニ著 "Il Libro dell' Arte" です。この翻訳版、『チェンニーノ・チェンニーニ 絵画術の書』(岩波書店 1991年)(以下、『絵画術の書』)は、目黒区美術館での石原靖夫によるワークショップで重要な教本となっています。チェンニーニの手稿は1400年頃に成立されたと伝わり、現存する3つの写本をもとに訳された本書は、イタリア美術史家の辻茂の技法史研究により長い年月をかけて日本語訳として完成されたもので、シモーネ・マルティーニの《受胎告知》を復元模写した画家 石原靖夫と、イタリア語に精通する美術史家 望月一史がその翻訳に加わりました。その後、石原はこの『絵画術の書』を、画家としてさらに読み込み、絵画制作にあたっての技法研究を深化させてきました。

本展では、石原が1970年代に制作した復元模写《シモーネ・マルティーニ〈受胎告知〉》とその制作に関する周辺資料、そして、その後の研究をもとに今回新たに制作した「制作工程」と、その手順を収録した動画を展示します。石原が行ってきた、絵画制作の基礎から金箔の置き方、刻印、彩色、緑土を用いる肌の描写などを、『絵画術の書』 が伝える技法に触れながら紹介し、日本の美術館では展示されることが少ない「テンペラ画」の技法と表現の魅力に迫ります。

開催概要EVENT DETAILS

会期 2025年2月15日(土)~2025年3月23日(日)
会場 目黒区美術館 Google Map
住所 東京都目黒区目黒2-4-36
時間 10:00~18:00 (最終入場時間 17:30)
休館日 月曜日、2月25日(火)
※ただし、2月24日(月・休)は開館
観覧料 一般 900円(700円)
大高生・65歳以上 700円(550円)
中学生以下 無料
  • ※( )内は20名以上の団体料金
    ※障がいのある方とその付添者1名は無料
    ※他の割引との併用はできません。
    ※入館のための日時指定予約は必要ありません。開館時間内に直接お越しください
TEL03-3714-1201
URLhttps://mmat.jp/exhibition/archive/2025/20250215-450.html

目黒区美術館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION

目黒区美術館 目黒区美術館

感想・評価 | 鑑賞レポートREVIEWS

5.0

テンペラという技法

テンペラという技法を今まで知らなかったのだが、金箔を用いた作品作りがこんなにも緻密で、多彩で、魅力的な作品とは知らなかった。作品の途中に作成途中の映像があり、よりテンペラについて知ることができて良かった。

THANKS!をクリックしたユーザー
uchikoさん、morinousagisanさん、アバウトさん

4.0

やっぱ金箔を磨くってのは大事なんだなあ

金箔の厚みって日本と海外ではやっぱ違うのか

顔料を解く練材に何を使うかで発色がどう違うか
どのような製作工程をとるか

そのすべてが丸っと開設され楽しめる展示だ

興味を惹かれるポイントはいろいろあるのだけど
金箔の輝きに目を奪われる
会場を一巡りしたあともう一度気になるところを確認するために
会場を再度一巡り

好奇心を大いに満足させてくれる展示だった

THANKS!をクリックしたユーザー
morinousagisanさん

4.0

テンペラについて知る貴重な機会

石原靖夫氏のテンペラ復元の研究・技術、そして情熱に敬服します。

シモーネ・マルティーニ《受胎告知》の復元模写の完成度の素晴らしきこと。隅々まで、探求と技巧を尽くした制作に息をのみます。

テンペラ画の制作方法についてはよく知らず、でした。金箔をひいて、それを背景に卵黄で練った顔料をのせて、精密な装飾を重ねてゆくという技法のプロセスが、本展でとてもよくわかりました。また、聖母マリアのマントの青、ラピスラズリ鉱物から作られる深みあるウルトラマリン色へのこだわりの展示も興味深く。
展覧会入口近くに展示されているルネッサンス期テンペラ装飾の標本は技巧の総集編。こういうモノは、じっくり見て、飽きないですね。

実は石原氏による講演会(予約不要、先着順)の開催日に訪問したのですが、開館時には定員に到達していたそうで、参加叶わず。大変貴重な機会を逃してしまいました。とはいえ、ユニークで意欲的な本展、どうもありがとうございます。

THANKS!をクリックしたユーザー
アバウトさん、黒豆さん、ファイさん

5.0

技術をつなぐ

テンペラってどうやって描くんだろう?、という謎が解けました。
製作過程が映像も交えて丁寧に説明され、膠や鉱物を顔料に使うところや、金箔に模様を刻むところなどは、日本画や漆工芸に通じるところもあるかも。

石原氏はイタリアで黄金テンペラを学び、日本に帰国。目黒美術館のワークショップで黄金テンペラを指導したお弟子(?)さんたちの作品も並び(見事な作品たち!)、中世から現代へ、西洋から日本へ、師匠から弟子へ、時空を超えて技術が伝承される壮大なつながりに感じ入りました。

シモーネ・マルティーニ〈受胎告知〉は模写は、もうほんとに美しく、特に衣の模様の精緻なこと!模写に纏わるエピソード等ところどころの石原氏のコメントは、なるほどなぁと背景をよく知ることができました。

羊皮紙の祈祷書や、顔料の材料のラピスラズリの大きな塊や金箔が展示されたり、充実した満足度の高い企画でした。目黒区美術館は一帯を含めた再開発計画が話題になっていますが、美術館の歴史とポテンシャルの高さに敬服です。

シモーネ・マルティーニ〈受胎告知〉の模写と、展示室外のアトリエ等、一部撮影可でした。

THANKS!をクリックしたユーザー
morinousagisanさん、アバウトさん、Camdenさん、さいさん

3.0

テンペラ絵画術

古典絵画術の色材、画材、技法、制作工程などを丁寧に紹介している展示でした。
テンペラ、フレスコって中世西洋絵画でよく目にするけど実はよく分かっていない用語だったりします。
2階に上って右側の部屋に映像3本が放映されていました。
まずはそのうちのダイジェスト映像だけでも見てから実際の展示を見たほうが
その技法の凄さが伝わり理解しやすいと思います。
映像全て、キャプションなども読み込んでいくと結構時間かかるかも。
図録あり。写真撮影可能エリアあり。

THANKS!をクリックしたユーザー
シンディさん、Camdenさん、karachanさん、morinousagisanさん、komagatayaさん、他2人

4.0

14世紀イタリアの黄金テンペラ画を制作手順も含めて紐解く

チラシを見て、金箔を大量に使った豪華な《受胎告知》が気になった。それはウフィツィ美術館が収蔵するシモーネ・マルティーニの《受胎告知》を復元模写したもので、それも作品をかざるだけでなく、その制作工程を、動画も含めて紐解く、とのこと。そして、目黒区立美術館は画材や色材をテーマに「色の博物誌」という一連の展覧会を開催してきたことも気になるところ。今回の展示は、その延長線上にあるようで、かなり力が入っているように見える。それに、こういう工芸と絵画の両方の要素を持った作品はどうやって作るのか、というのは、そこそこ興味深いので、目黒へいってみました。

まず気になるのは《受胎告知》の展示。撮影OKというのは嬉しい。それと《受胎告知》の聖母マリアの顔の部分を使って、下書きから彩色まで7段階を見せて黄金テンペラ画の制作手順をかなり詳しく解説している。この辺は時間を掛けてじっくり拝見。このほか、羊皮紙と羊皮紙に描いたテンペラ画の展示とかもあります。そして、制作手順を動画で見せるコーナーもあるので、結構、時間がかかりますが、これも楽しい。

撮影は一部可。図録あり。展示替えなしです。

THANKS!をクリックしたユーザー
アバウトさん、Camdenさん、karachanさん、黒豆さん、morinousagisanさん

5.0

技術はこのように海を越えて紡がれていくのか

テンペラが何かとも知らず訪れましたが、大変よくわかるように展示されていて勉強になりました。
中世からルネッサンス時代の絵画の技法を日本人である石原靖男さんがイタリアから持ち帰り人生を賭けて受け継いでおられることに感動しました。
特に『イタリア・ルネサンス期テンペラ装飾標本』が素晴らしかったです。金箔の組み合わせで九谷焼のデザインに雰囲気が似ているものがあり、影響をうけたのだろうか、などと想像し楽しみました。機会があればまたテンペラ画を見たいです。

THANKS!をクリックしたユーザー
黒豆さん、morinousagisanさん、Camdenさん、アバウトさん、uchikoさん

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出展作品・関連画像IMAGES

石原靖夫 復元模写《シモーネ・マルティーニ〈受胎告知〉》
1972-78年 / 卵黄テンペラ、金箔・板 / 226.0×171.0×11.5 cm / 金沢美術工芸大学蔵
(原画= 1333年 / ウフィツィ美術館蔵)
撮影:歌田眞介 1978年

石原靖夫 復元模写《シモーネ・マルティーニ〈受胎告知〉》 部分 聖母マリア
1972-78年 / 卵黄テンペラ、金箔・板 / 作品原寸226.0×171.0×11.5 cm / 金沢美術工芸大学蔵
(原画= 1333年 / ウフィツィ美術館蔵)
撮影:歌田眞介 1978年

石原靖夫 復元模写《シモーネ・マルティーニ〈受胎告知〉》 部分 大天使ガブリエル
1972-78年 / 卵黄テンペラ、金箔・板 / 作品原寸226.0×171.0×11.5 cm / 金沢美術工芸大学蔵
(原画= 1333年 / ウフィツィ美術館蔵)
撮影:歌田眞介 1978年

石原靖夫 《イタリア・ルネサンス期テンペラ装飾標本》
1971年頃 / 卵黄テンペラ、金箔・板 / 42.5×65.5 cm / 東京藝術大学蔵

石原靖夫 《イタリア・ルネサンス期テンペラ装飾標本》 部分
1971年頃 / 卵黄テンペラ・板 / 作品原寸 42.5×65.5 cm / 東京藝術大学蔵

石原靖夫 《イタリア・ルネサンス期テンペラ装飾標本》 部分
1971年頃 / 卵黄テンペラ・板 / 作品原寸 42.5×65.5 cm / 東京藝術大学蔵

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