5.0
ベルクギュルーン美術館の主要作品を館外で一堂に展示する世界初の展覧会
美術館の名前の由来となっているドイツの蒐集家、
ハインツ・ベルクグリューンが選び抜いたコレクションが所蔵されている、
ベルクグリューン美術館から97点、
日本の国立美術館所蔵・寄託作品11点を加えた、合計108点で構成されています。
日本初公開作品は76点、うちピカソは35点が日本初公開作品。
展示室内写真撮影は、ほぼほぼOKでした。
パブロ・ピカソ
パウル・クレー
アンリ・マティス
アルベルト・ジャコメッティ
この4人に重点を置いた今回のコレクションに
4人が師とも仰ぐセザンヌの、「セザンヌ婦人の肖像」他数点も展示。
あと、キュービスムをともに推進した盟友ジョルジュ・ブラックの作品も数点。
目玉はなんと言ってもピカソ。
青の時代・バラ色の時代・キュービスム・古典主義時代と、
初期から晩年まで、各時代を代表する作品群。
「窓辺の静物 サン=ラファエル」は、明るく爽やかで写実的で目を見張りました。
ピカソといえば、奔放で大胆でダイナミックな作風(?)がほとんど、
みたいに思っていた私にとっては、
ピカソの全時代を初期から流れに沿って見られて良かったです。
クレーは、バウハウス時代を中心とする絵画。
クレーは、ベルクギュルーンがコレクションを築くきっかけとなったそうです。
幻想的でメルヘンチックな可愛らしい小作品が多いように感じました。
グッズに多用されていた「子どもの遊び」が一際可愛かったです。
マティスは、晩年の境地を表す切り紙絵の数々と油彩も数点。
切り紙絵は、どれも躍動感があって、見てて心躍るような楽しさがありました。
ジャコメッティは、円熟期の人間像が主で油彩も有り。
デッサンするように彫刻することを目指した、究極の人物彫刻ではないでしょうか。
「ウ”ェネチアの女 IV」は、
肉をそぎ落として折れそうな見栄えに反して、
モデルの女性の凜とした力強い人柄が偲ばれました。
油彩の「男」は、ほぼほぼ黒一色なのが、引き込まれるような怖さ感じました。
なかでも私が見入ったのは、ピカソの「大きな横たわる裸婦」。
西洋画の伝統的なモチーフである裸婦画といえば、
健康美のシンボルであり、明るくふくよかに描かれているのが一般的であるのに、
これは、それとは大きく逸脱していて、
全体的に暗く、サイボーグのような趣のある、瞳を閉じた、陰鬱な、女性だった。
戦時下で描… Read More