
ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展
国立国際美術館|大阪府
開催期間: ~
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クレーに開眼
「ナントカ美術館展」てのを私は信用していない。
どっかの海外の美術館が長期休館かなんかで、当たり障りのない作品を貸してくれるような場合、あるいは、目玉1点とその他大勢で総花的に数合わせしました的な展覧会とかで、期待以上の作品が来るなんてことはあんまりないように思うわけだ。
実際、その予想はたいてい当たって、高い料金に見合わないなあ、貴重な時間を損したなあと会場を後にしたことは過去何度もあった。
で、ベルクグリューン美術館。
どこやねん、それ?
ベルリンにある国立美術館で、ベルクグリューンというのは美術商さんの名前。コレクションを国が買い上げて、展示してた私設美術館は国立へと昇格したんだそう。
そのコレクションは当然初来日で、タイトルが「ピカソとその時代」。
豪華4大巨匠、ピカソ、クレー、マチス、ジャコメッティの競演だ。
だけど、私のいつもの予感は拭いきれない。
どんだけのもんが来てるかは、あんまり期待せずに会場へと入った。
結論から言うと、これは私の邪念を覆す良い展覧会だった。
確かに、上記4巨匠の作品が均等ではなく、マチスとジャコメッティははっきり言ってバーターだ。
でもピカソとクレーで、十二分に楽しめる。そしてそれは数だけでなく質も。
ピカソ作品は全46点。うち油彩画がほぼ半数なのが嬉しいね。
「青」もあれば「バラ」もある。そしておなじみのヘンテコ女性も大勢登場だ。
でも、私が好きなのは「正常な」女性。ピカソが目(手?)をつけた女性はみんな美女なので、普通に描けば美しいに決まってる。そしてそれを裏打ちする天才的な技量はあるわけだから。
ピカソの名がタイトルに入った展覧会は多いけど、中身に油絵がどんだけあるかというと、どうもペン画やスケッチや版画でお茶を濁したような企画が多い。
それもまたピカソの凄腕を味わえるには違いないが、やっぱり油絵で見てこそのピカソだろう。
晩年は春画ばかりで完全な好色爺になってしまった20世紀の超天才だが、そうなる前の全盛期の作品が当展にはたくさん来てるので、是非行ってみてほしい。
クレー。全34点。
当展の目玉はこっちだろう。当サイトでも、東京展も大阪展もクレーに惹かれたというレビューは多い。
私もそう。正直、クレーをここまでいいと思ったことはなかった。
それは一目見てガツンと来る良さじゃなくて、ジワっとくる感動というか、奥深さ。
クレーが「人」を描いた絵なんて記憶になかったのだが、当展でそれを発見、宇宙人みたいな人間が実に面白い。
そして、クレー独特の抽象文様画。彼の世界観に想像を巡らす時間は本当に楽しい。
やっぱ、ある程度の数をまとめて見るべきだね、この作家は。
私の人生で一度だけヨーロッパに行ったことがあり、その時立ち寄った地にベルンがあった。
当時は美術に全く興味なかったので、そこがクレーの故郷だとも全く知らず。当然ベルン美術館にも行かなかった。
それから数十年後の今、もし外国の美術館に行くとしたらどこがいいかと問われたら、ルーブル、オルセー、プラド、MoMAなんかと同列で、ベルンのパウル・クレー・センターを挙げたい。
マチス。全16点。
数は少ないけど、色彩の魔術は楽しめる。少数精鋭という言葉が相応しい。
4月に都美で始まる個展の序章ということで、楽しみに待ちス(笑)
ジャコメッティ5点。うちブロンズ像3点、うち来日品は2点。
もっと見たいのは山々なれど、ま、致し方なし。
あの極細、ゴツゴツ感の人の腕や脚、何かに似てるなあとずっと思ってたんだけど、判明しました。
グリコポッキーのアーモンドクランチのやつでした(笑)
国立国際美術館は2年ぶり。いつものように、企画展の後はコレクション展を見て回った。
が、今回の「メル・ボックナー」は大ハズレだった。
床にチョークで線引いて、丸書いて、河原で拾ってきた石を並べただけ。ご丁寧にその配置図面まで展示してある。
国家公務員の学芸員さんやスタッフさんが、それ見て並べる光景を想像しただけで笑えてくる。
蓼食う虫も好き好きだけど、このフロアに客がいないのは虫が食わない蓼もあるってことだ。