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草間彌生の推し活・松本市美術館【 草間彌生 魂のおきどころ】

代名詞・巨大カボチャ

国宝松本城での合同茶会参加の為にウン十年ぶりの長野県松本市訪問。

城下町「松本」はドット柄のオブジェで有名な現代アーティストの巨匠、草間彌生の出身地です。

草間氏の地元として彼女の活動をよりアピールすべく、熱意を醸す松本市美術館は2022年春に長期大規模改修を終えたばかり。

館の再開から2024年3月迄の現在【 草間彌生 魂のおきどころ】を常設扱いで特集しています。

実は大きなカボチャ実物を未だ見ていなかった私、ワクワクの訪問を推し作品いくつかと共にご紹介します。




市内をぐるぐる巡回する草間バス

美術館へのアクセスは、JR松本駅からタウンスニーカー(市内周遊バス)東コースで7分+下車徒歩5分。

この可愛い周遊バスが草間彌生のドット仕様にペイントされていて、すでに草間氏への愛が感じられます。。。


喰われそうな巨大チューリップ

到着してまず目にするのは正面入り口の左側に鎮座する巨大作品【幻の華】2002年作。

3階建ての建物に匹敵する10mの高さと幅18メートルの草間作品中最大サイズを誇るポップな植物がお目見えです。

色彩がとにかくカラフル!

巨大なチューリップの花は赤地に白・オレンジの水玉もしくは紫地に白で、葉は黄色と蛍光ブルー、茎も黄緑や黄色と鮮烈カラー。

うねった茎はそれぞれ明後日の方向に花弁を垂れ、下の鑑賞者に向いた花部分は食虫植物のような様相です。

そのまま人間が頭から喰われそうですねwインパクト抜群です。


シンプルな会場入口

推し作品をいくつかピックします。

①【傷みのシャンデリア】2011年:ミクストメディア

四方を囲まれた真っ暗な空間の中央に、ゆらゆらと灯りが瞬く豪奢なシャンデリアが1つ。

周囲全て鏡張りなので、全方位に自分とシャンデリアが延々と続いています。

過去にも展示された体験型の草間氏代表作の1つで、最近ではイギリスのテート美術館でも展示されてました(行ってませんが)。

暗闇の中、永遠に連なるシャンデリアと自分の姿に圧倒されてちょっと鳥肌でした。

見返してくる自分に思わず総毛だつこの感覚はなんなんでしょう。

タイトルに【傷み~】とありますが、傷む対象は何を指してるのか。。。

②【天国への梯子】2010年:ミクストメディア

シャンデリアに制作年も近く、体験型に共通のコンセプトが見られる作品。

こちらも真っ暗な空間の中、蛍光ライトの梯子が浮かび上がります。

鏡に反射して上にも下にもどこまでも続く梯子。

上を覗き込んだ時、天井知らずに続く光に旧約聖書の【ヤコブの階段Jacob's Ladder】が思い浮かびました。

けれど天国へ続く梯子なのに、見ているとシャンデリアと同様に鳥肌めいた感覚になるのはなぜなのか。。。


カボチャ2.5mは大きい

自伝や書籍でも紹介されていますが、草間氏は幼少期から【統合失調症】と精神病診断を受けており、視界が水玉や網目で埋め尽くされたり、動植物が話しかけてくる幻覚を見たそうです。

その恐怖から逃れるため 自分の見ている幻覚を絵に描くのが創作活動のはじまりであり、本人も以下のようにコメントしています。

「絵を描くことは切羽詰まった自らの熱気のようなもので、およそ芸術からほど遠いところから、原始的、本能的に始まってしまっていた。」

------------------「わが魂の遍歴と闘い」『芸術生活』1975年

芸術活動は自分が美しいと感じたり、これを表現したい、と自発的なスタートが一般的ですが彼女の場合は幻覚という強迫から逃れるための手段なんですね。

シャンデリアや天国への梯子という無限空間を見て感じる鳥肌感というか総毛だつような違和感の原因はこれじゃないかなとふと思いました。


③【大いなる偉大な南瓜】2017年

数少ない撮影可能作品でした。草間彌生と聞いて真っ先に思い浮かぶ、真っ黄色の地に黒の水玉の大きなカボチャです。

お目当てに無言ではしゃぎつつ、遠慮なく写真パシャパシャ・・・凄く写真映えします。

周囲の壁も床も同じ色彩ですが、2.5mのカボチャはひと際大きな存在感。圧倒的です。

草間氏は同様のテーマでいくつも創作していて、瀬戸内に浮かぶ香川県の直島に野外展示されているものが特に有名。

(2021年の台風で海に流されちゃったという事故ニュースでも話題になりました)

以前のアートブログ(https://www.artagenda.jp/uchiko/artblogs/166)にも掲載しましたが、ルイヴィトンとのコラボレーションで表参道の限定店舗に展示展開した巨大草間彌生オブジェも真っ黄色の黒水玉ワンピでした。

黄色のカボチャは彼女自身を投影しているのかもしれません。


ベンチとゴミ箱も迫力が増す不思議・・・

この他南瓜に共通するドットパターンがみっしりと描かれた【葡萄】1982年や、箱型シェルターの密封部屋に1組限定20秒入場の無限ライトな作品たち。

詩人としても知られる彼女のコメントもいくつかあり、常に目を逸らせない何かへ闘いを挑むかのような彼女の言葉に胸を突かれました。

彼女は常に自らを突き詰めて、表現に挑み続けている。だからこそ【前衛】と評され続けるのでしょう。

全体として本人所蔵の初期作品含めて年代の幅が広く、表現の変遷も見られてものすごく満腹&充実気分でした。

グッズもキーホルダー、Tシャツ、ステーショナリーと充実していて人気過ぎて在庫切れがけっこう多いです。お目当てのグッズがあったら迷わず購入をお勧めします。

建物から中庭に出て目の前のベンチを見ると、ここでもビビットな赤に白い水玉の草間オブジェが!ついでに隣のゴミ箱も!なんだか徹底してますw

この満足感での入館料金、コスパ良すぎではないでしょうか。是非継続でお願いします。


年始のポップアップストアより

年始のアートブログ(https://www.artagenda.jp/uchiko/artblogs/166)にも掲載しましたが、ルイ・ヴィトンとのコラボレーションで世界主要都市キャンペーンジャックをかまし、未だアートの波をひき起こす御年92歳の草間彌生氏。

歴史的な漆黒の城下町松本市。美術館は今後も色鮮やかな草間ドットアートを推しアピールし続けて欲しいです。


会期:2022年4月21日(木) 〜 2024年3月31日(日)【常設展示】

休館日:月曜日(休日の場合は次の最初の平日)、年末年始(12月29日~1月3日)

※展示替えのため休室の場合あり

会場:松本市美術館 コレクション展示室A・B・C

〒390-0811 長野県松本市中央4-2-22

http://matsumoto-artmuse.jp/

アクセス

・松本バスターミナルからアルピコ交通バス・横田信大循環線5分[松本市美術館]下車

・JR松本駅からタウンスニーカー(市内周遊バス)東コース7分[伊織霊水(美術館北)]下車徒歩5分

・JR松本駅から徒歩12分

・長野自動車道松本インターチェンジから車で15分


プロフィール

uchiko
美術と骨董、宇宙と化石を愛でるアートウォッチャー。
カロリー消費に美術館、仏閣、史跡散策をして、終わればまったり食べて補給。
2022年よりインスタグラムとこちらのサイトでアートウォッチの記録始めています。
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