アートとデザインのWinWin・草間彌生ワールドから癸卯年を占う
1月中旬夜、会社帰りに東京の原宿、「ルイ・ヴィトン × 草間彌生」ポップアップストアを訪問。
仕事始めの通常モードになってからの2023年、アート初めは現代アートの巨匠草間彌生となりました。
日が暮れた宵闇の中の会場、浮かび上がる原色の黄色のドットが眩しい・・・ものすごい目立ってます(笑)。
昨年12月から都内各所で催されている「ルイ・ヴィトン × 草間彌生」コラボレーションイベント。
東京タワーのお膝元・増上寺に設置した巨大バルーンのパンプキン、渋谷スクランブル交差点の電光掲示板ジャック、東京駅前の巨大モノグラム等、ファッションブランドのルイ・ヴィトンとのコラボアート作品が街を彩り、原宿会場はその凝縮とも呼べる展示を兼ねた店舗です。
ドット柄が著名な現代アーティスト草間彌生氏は、ルイ・ヴィトンとのデザインタッグは2012年に続き今回が2度目。
ビビットな水玉に囲まれた世界で、『アートの主張』と『デザインの解決』が鍔迫り合いというかせめぎ合いというか、闇鍋のように混在する草間彌生ワールド。圧倒的な世界が拡がります。
会場スタッフの皆さまはお揃いの白地に黒ドットのスーツ姿。空間の一部というか迷彩服のように溶け込んでます(笑)
見渡せば床、壁、天井、階段のありとあらゆる場所が黄・白・黒の水玉が溢れ返り、眼がチカチカ。。。。
バスケットボールからバランスボール~玉転がし用サイズに至る銀色のメタルボールがあちこちに配置されて照明と来場者を照り返し、小さくいくつも映る自分の姿に【鏡の国のアリス】の主人公のような異邦人気分になります。
そして何と言っても入口すぐ、巨木のような真っ黄色のワンピースで下半身のみの女性オブジェがドーンと目に迫ります。
見上げても天井で確認できず。どうやら上半身は天井ぶち抜いた上のようです。巨大な手には黒地に白水玉柄のヴィトンバッグ。
モノグラムも付いたバッグを見てようやく、そうだ、ここは展示会場ではなく『ストア=店舗』だったと思い出すほど。
コラボレーションの新作であるウィメンズ&メンズのバッグ・レザー製品類、靴、サングラス、水筒、アクセサリーチャームまで、多彩なカテゴリーのアイテムがあちらこちらに陳列していますが、原色ドット空間の中で商品がやや埋没気味に見えなくもない。。。
とはいえオブジェの持つバッグ(黒)と同じモデルは既に完売、連日開店前から並ぶ人気ストアなのだとか。
思い浮かぶのは、学術的というか芸術系の座学のテーマに度々なるQ:『アート』と『デザイン』の違いは?
A:アートは『自己表現』デザインは『問題解決』
同じようでいて、実は対極なものという概念。アートはなるべく制限のない状態で、最大限の自己表現をすること。巨大草間女史のオブジェはまさにそれです。
そしてデザインは、与えられた制限の中で求められる最大の結果を出すためのプロセス。ルイ・ヴィトンというブランドの中で販促となる新デザインが相当します。
対極なようですが、両方とも同じ“創造”という点からもの凄く判別し難く混同しやすいといわれています。
以前に読んだ評論ではアメリカのデザイン教育で、デザインとアートの違いについて『Why?』を『Because』で説明出来なければ、それは明らかにデザインではないのだそうです。
今回の草間彌生コラボに感じる妙な矛盾感は正にこの2つに由るのかな~と2Fに上がって目に飛び込んできた巨大な彼女の上半身を見て思いました。
真っ赤なボブヘアにサングラス姿で絵筆を握り、今まさに何かを描こう、表現しようと腕を上げていて、
その主張の強さに、いや、やっぱりこれ、店舗というよりアート空間の方が割合強いんじゃないかなぁと。
しかしルイ・ヴィトンに求められた注目を集める草間彌生のデザイン力も、しっかり成功を収めているのです。凄いですね。
対極なはずのアートとデザイン、どちらもWinWinの草間彌生。
飛び跳ねるクロウサギに倣うように、2023年はアートとデザインが相乗的に展開して、アートウォッチする私達をワクワクさせる飛躍の年になるのかもしれません。
『乞うご期待!』です。
【「ルイ・ヴィトン × 草間彌生」ポップアップストア】
会期:2023年1月2日(月・振休)~22日(日)※終了しています。
場所:東京都渋谷区神宮前6-35-6
※現在はルイ・ヴィトン世界各店舗にて草間彌生アートが展示中です。
お問い合わせ:ルイ・ヴィトン クライアントサービス 0120-00-1854