ヴァン クリーフ&アーペル【LIGHT OF FLOWERS 花と光】at下鴨神社
秋真っ盛りの京都。過日の正倉院と名水巡り旅の最中、インスタ情報で当日立ち寄ったヴァン クリーフ&アーペル【LIGHT OF FLOWERS 花と光】展。
世界遺産下鴨神社での思いがけない別空間のひとときと花の美を堪能したので、これは訪問推奨すべしとレポートです。
ヴァンクリーフ&アーペルは1906年に創業した世界5大ジュエラーの1つであるハイクオリティジュエリーブランド。
ダイヤモンド研磨士だったアルフレッド・ヴァンクリーフと、宝石商出身のエステル・アーペルが結婚してパリのヴァンドーム広場に設立したのが始まりです。
同ブランドの最大の成果というか有名なのは1933年に「ミステリーセッティング」という爪が全く見えないように宝石を嵌め込む技法を開発したことでしょう。
この爪の見えない技法は本当に難しい。私の乏しい想像力での予想ですけど。要は金属の爪で宝石を留めるところを、宝石自体をちょこっと削って留めるのという方法なので、宝石の価値を損なわず石を削るミッションインポッシブル的な技術。
削った光の屈折とかが宝石の価値を決めるジュエリーの世界で、不可能を可能にする職人さんは今も「黄金の手(マンドール)」と呼ばれているそうです。なんかもう名前から後光が出てそうなかっこ良い響きです。フランス語効果なのか。。。
この「ミステリーセッティング」で特許も取得したヴァンクリーフ&アーペルはハイジュエリーブランドの地位を確立しました。
今回のエキシビションは、ヴァンクリーフ&アーペルと空間表現に長けた華道家・片桐功敦(かたぎりあつのぶ)氏がコラボレーションし、【花と光】をテーマに表現したそうです。
片桐氏曰く
「大切にしていることは、繊細できらびやかなジュエリーも最初は大地の石であったということ。
自分が花に手を入れ切って、持ち込んで、生けて見せるという過程と、メゾンの職人やデザイナーたちが石をどうカットしてどう収めるかという過程は近いものがあるように感じています。
枯れていく花の命と、長く形を留めるジュエリーの花が共演する場所として、アミニズムをベースにして信仰の対象となっている下鴨神社は大変ふさわしいと思いました。落ち葉の社は御手洗場のような存在で、そこで身を清め、限りある命の世界を見た後に、川を渡って変わらない普遍の花の姿を楽しんでいただくというストーリー。
季節の移り変わりとともに、刻々と姿を変えていく様子も楽しんでいただければ」とのこと。
コンセプトに沿って正面鳥居を抜けて、紅葉と落葉の始まった糺の森の左側、さざれ石より手前の小川沿い(下鴨神社の境内にはいくつか小川が流れてます)にまず1か所目の展示に辿り着きます。
木漏れ日にキラキラ輝く水面の光を受けて、落葉の社やしろ(外見ミニ古墳)と、小川に溶け込むような生花が鎮座します。土壁に切り取られた秋の森は額縁の絵画のようです。
そして切り取られたような別空間は細殿のジュエリー展示会場が最も顕著で、ヴァン クリーフ&アーペル「黄金の手(マンドール)」達が創る【貴石の美】が遺憾なく発揮されています 。
靴を脱いで入った細殿の中は20畳程の長方形スペースになっており、壁面と天井には和紙が張り巡らされて、ほんわりと照明の光を柔らかく包んでいます。
白いベージュカーペット中央に置かれた御影石のような展示ケースは、枯山水の玉砂利の海に浮かぶ舟に見立てられる舟石のように見えますね。
中には濡れ炭のような白砂が敷かれて、中央を境に石庭のような砂紋が整然と描かれ、砂の小川に宝石の花や蝶が端然と光ります。
ダイヤモンドの小花ブーケ、タイガーアイの蝶やターコイズやラピスラズリのクリスマスローズなど、時を止めて咲き続けるジュエリーの花々や蝶が散りばめられ、
キラキラと輝いています。もう綺麗。。。それしか言葉が出ませんね。
あまりに美しいのでガン見してしまいました(笑)。ですが私だけでなく特に女性陣は国籍問わず皆さま熱心に宝石の花と蝶を見つめていました。
森の中で色付くもみじや楓・楢・銀杏という自然の錦の中、小川の自然に溶け込む儚い季節の生花と、砂の小川の中で永遠に変わらない花の美の対比。
時間を忘れて堪能しました。なによりこの美しい空間が無料なんです。京都って凄い。。。。
古都の社での稀少な機会、お近く訪問の際は是非足を延ばしてみてはいかがでしょうか。
【INFORMATION】
公式HP https://www.vancleefarpels.com/jp/ja/events/light-of-flowers--exhibition-2.html
〈ヴァン クリーフ&アーペル エキシビション「LIGHT OF FLOWERS 花と光」
会場:世界遺産 下鴨神社(賀茂御祖神社)境内
会期:2022年11月3日(祝・木)〜12月12日(月) 10:00〜17:00
予約不要、入場無料
問合せ:ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク 0120-10-1906