4.0
陶芸の多彩な表現を堪能できます
エントランスから優美な螺旋階段に誘われて地下展示室へ下りると、オブジェとしてその造形美や色彩を鑑賞するために制作された様々な姿の作品たちが。そしてその作品をより美しく見せるために設えられた静謐で上質な空間。その中で作品と対峙する静かでゆったりとした時間を楽しめます。美術館としては展示室のキャパがちょっと小さいので、物量的な意味で星は4で。
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陶芸といえば日用陶器や茶陶をはじめとした道具としての器を想像されるかもしれません。しかし、現代の陶芸には器の形態を用途や機能ではなく立体造形としてとらえる視点があり、また、素材や技法、伝統など陶芸にまつわる要素を独自の視点でとらえたオブジェ的な造形作品が存在します。
個人作家によって展開される多様な制作、その未知なる思考、美意識に、菊池寛実記念 智美術館の設立者 菊池智(1923~2016)は魅了され、20世紀後半以降の日本の陶芸作品を精力的に蒐集しました。そして、1983年には自身のコレクションによる展覧会「Japanese Ceramics Today(現代日本陶芸展)」をスミソニアン国立自然史博物館のトーマス・M・エバンスギャラリー(米・ワシントン)で開催します。
当時40代から50代であった作家たちの作品を中心に構成し、日米の貿易摩擦が問題となるさなかに日本の同時代の文化を紹介する展覧会が受け入れられた経験は、菊池がその後、文化事業に注力していく契機ともなりました。
本展では、同展出品作をはじめ、1970年代から80年代の作品を中心に日本の現代陶芸の展開をご覧いただきます。
会期 | 2025年1月18日(土)~2025年5月6日(火・振) |
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会場 |
菊池寛実記念 智美術館
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住所 | 東京都港区虎ノ門4-1-35 |
時間 |
11:00~18:00
(最終入場時間 17:30)
|
休館日 |
月曜日、2月25日(火) ※ただし、2月24日、5月5日は開館 |
観覧料 | 一般 1,100円 大学生 800円 小中高生 500円 |
TEL | 03-5733-5131(代表) |
URL | https://www.musee-tomo.or.jp/ |
4.0
エントランスから優美な螺旋階段に誘われて地下展示室へ下りると、オブジェとしてその造形美や色彩を鑑賞するために制作された様々な姿の作品たちが。そしてその作品をより美しく見せるために設えられた静謐で上質な空間。その中で作品と対峙する静かでゆったりとした時間を楽しめます。美術館としては展示室のキャパがちょっと小さいので、物量的な意味で星は4で。
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菊池寛実智美術館は現代陶芸の美術館で、オシャレで落ち着く美術館です。陶芸以外の工芸(竹工芸などや、書・墨象など)もたま~にあります。ビエンナーレも楽しみにしています。敷地内にはティファニーの孔雀のステンドグラスもあったりする、旧千葉亀之助邸洋館(登録有形文化財)があります。しばらくのお休みを経ての再起動ということで、行って来ました。
今展は、菊池智がスミソニアン国立自然史博物館のトーマス・M・エバンスギャラリー(米・ワシントン)で開催した“Japanese Ceramics Today”に出展された作品を中心に、およそ1970年代~80年代にかけての日本の多彩な現代陶芸の展開が紹介されています。
私はどうしても頭が固くて、富本憲吉《白磁八角共蓋飾壺》や藤本能道《色絵木蓮と鵯八角筥》に目が行ってしまうのですが、荒木高子の《岩の聖書》なんてのも気に入りました。「土を宝石に変えた鬼才の陶芸家」と称された岡部嶺男に、49歳という若さでこの世を去った20世紀陶芸界の鬼才・加守田章二、司馬遼太郎が「天才」と称した陶芸家・八木一夫の作品も並びます。そして最注目は「陶芸界の野生児」こと鯉江良二の作品、ちょっと不気味な感じの《証言》です。360度から観ていると、色々余計なことを考えてしまいました。静かで洗練された空間に、見ごたえのある作品たち、色々な技法やタイプの異なる作品が並びます。ちょっぴり緊張感を感じつつ、現代陶芸の世界を、味わってみては? 大倉集古館や泉屋博古館や虎ノ門ヒルズ麻布台ヒルズなどのイベントに行ったら、ついでにぜひ一度のぞいてみて頂きたいです。「ぐるっとパス」で入れますので。
5.0
菊池智さんのコレクションをみてその感性が非常にささりました。
他でどんなに銘品といわれる作品を見ても、ではそれを所有したいかといえば、そういう気持ちは起こりませんでしたが、今回のコレクションでは所有したいと思った智さんの気持ちに非常にシンパシーを感じました。
今後の企画も楽しみです。
5.0
半年弱、館内修繕工事のため休館していた菊池寛実記念智美術館の再開第1発め、ということを踏まえての企画展「現代陶芸のすすめ」。
日用品としての器ではなく、立体造形としての作品を収集・展示・紹介してきた智美術館。今回の企画展は1970年代から80年代の作品を中心に「これが現代陶芸です。それを紹介するのが智美です。」という内容になっています。
今まで気にはなりつつ観たことはなかった人、「焼き物は実用品でしょう」と思っている人に是非、という内容です。
菊池智はこう言いました。「いつ、どんな美が私の前に示されるか分からない、そういう未知の感動を追いかける楽しみが、私を惹きつけたのではないでしょうか。思いがけない美をつかめるのが、現代陶芸の魅力ではないかと思っております。」と。
その第一歩にふさわしい、と思って☆5つにしました。
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